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【第一話】最初の音が消えた夜
始まりは、誰にも気づかれないほと静かだった。いつも力強いラップでグループを引っ張るいるまが、最近、ひどく疲れを見せるようになっていた。連日のハードなレッスンと楽曲作成。最初はただの寝不足だと思っていたし、みんなが「大丈夫?」と聞いても、本人は「寝不足なだけ。お前らこそちゃんと寝ろよ」と、ちょっとからかうように笑っていたから。
けれど、いるまの体はとっくに限界を迎えていた。ある日の深夜、楽屋で次のライブの構成を一人で考えていたいるまは、机の上にそっとペンを落とした。激痛があったわけじゃない。ただ、じわじわと指先から体温が奪われていくような、奇妙な感覚だった。
いるま
いるまは静かにソファに横たわった。少し目を閉じれば、すぐに楽になると思っていた。ここで自分が倒れたら、明日メンバーが心配するから。少しだけ休んで、明日またいつも通りに過ごすつもりだった。けれど、そのまま彼の呼吸は浅くなり、二度と瞳が開くことはなかった。翌朝、LANが楽屋に入った時、いるまはまるで眠っているかのように、穏やかな顔で冷たくなっていた。病名は「過労による急性心不全」。
LAN
呼びかけても、静まり返った部屋にいるまの声が戻ってくることはなかった。最初の灯火が、あまりにも静かに消えた。
コメント
1件
切ないお話でしたね……。いるまの「迷惑かけらんねぇのに」という台詞が胸に刺さりました。自分の限界より仲間を優先するところが、彼の優しくて責任感の強い人柄を感じさせて。最後のLANさんの呼びかけが本当に苦しくて、読み終わったあとも余韻が消えません。くまさん、大切なものを失う痛みを丁寧に紡いでくださってありがとうございます。続きも読ませていただきます🌷