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ユアン

はぁ。

私の気持ちを鏡写しにしたかのような曇り空。

今日もこの街は 平和で、愚かだ。

ユアン

覚えてなさいよ…あいつら。

"罰ゲーム"と称され課せられた悪戯。

この街を仕切っている吸血鬼に人間のフリをして近づくこと。そして、油断しきった吸血鬼にナイフを……

ユアン

よくもまあ、こんなくだらないこと考えつくわよね

ユアン

いくらコウモリだからって、ずっと人間に化けていられるわけじゃないのに…

ユアン

これが終わったら喉元引き裂いてやるんだから。

話しかけてきたからつるんでいただけなのに、度々こんな事があったらたまったものではない。

ユアン

ま、今回は私が油断したのも悪いしね

殺すわけではないし、私は逃げ足が早いから大丈夫。

ユアン

…行きましょうか

ルミナ

あれ…?

ルミナ

あの〜こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ?

ユアン

う、ん…?

ルミナ

あ、おはよう〜

ユアン

あ、すみません…こんな所で…

ルミナ

ううん、いいの。でも、こんな遅い時間に一人でいたら、お母さんが心配するよ?

ユアン

あ、私、その…喧嘩してきたので…家には帰れないんです。

ユアン

不躾なのは承知ですが、一晩だけ…泊めていただけないでしょうか?

ルミナ

…うーん

ルミナ

ボク、吸血鬼だけどいいの?

ユアン

え、あ、大丈夫ですよ?私は全然…

ルミナ

そっかあ〜

ルミナ

こんな所で長話もなんだし、中へど〜ぞ

ユアン

…ありがとうございます

ルミナ

お客さんが来ると思ってなかったから汚いけど、空いてるところに座ってて〜

ユアン

(うっわ…なにここ。足の踏み場もないくらい散らかってるんだけど)

ルミナ

片付けない訳じゃないんだけどね

ルミナ

勝手に散らかるから、もう諦めちゃったんだ〜

ルミナ

お茶ど〜ぞ。紅茶大丈夫?

ユアン

あ、はい。頂きます。

ユアン

………凄く甘いですね

ルミナ

あれっ?今日は少なめに入れたのにな

ルミナ

人に出す量よく分かんなくて。不味かったら残しててもいいよ〜

ユアン

あ、はあ。

ユアン

(とんでもなくズボラな吸血鬼ね…
紅茶もそうだけど、服も物も全て散らかっているのは納得いかないわ)

ルミナ

わっ、とと

ルミナ

あは…ボクが置いたのにボクが引っかかってどうすんだ〜

ルミナ

ごめんね、ボクちょっとバカだから

そう言って笑った吸血鬼はどこか寂しげで、嫌でも胸に残った。

ルミナ

そう言えばキミの名前は?

ユアン

…ユアンです。吸血鬼さんは?

ルミナ

あは、ボクはルミナ。そのままルミナって呼んでくれて構わないよ。

ユアン

…よろしく

ユアン

(警戒するまでもないじゃない。こんなの寝てるところを襲えば一発よ)

ルミナ

喧嘩する時もあるよね〜ボク達だってあるし、人間はもっともっと複雑な生き物だからね〜

ルミナ

一晩だけじゃなくても、気が済むまでここにいればいいよ。キミが良ければだけどね

ユアン

…………

ルミナ

ルミナ

えっと、ボク変な事言った?ごめんね、バカだからさ…

ユアン

…いえちょっと驚いただけです。
ありがとう、ございます。

ルミナ

い〜え。

最初は演技かとも思ったけど 直ぐに違うと分かった。 こいつは正真正銘の馬鹿だ。

これが本当に100年もの間この街を支配し続けている吸血鬼なのだろうか

いつでも死にそうで、見てられない

ユアン

片付け…手伝いましょうか。
何も返せないのは申し訳ないので。

ルミナ

え、いいの〜?キミは優しいね

ユアン

………

ルミナ

あっ、ごめん蹴飛ばしちゃった

ユアン

またですか…

馬鹿というより、俗に言う"天然"と呼ばれる輩なのだろう。何も無いところで転んだかと思いきや、今度は物に躓いて盛大に転ぶ。

ユアン

(結局掃除進んでないんだけど…)

ルミナ

あは、ごめんね

こいつは笑いながら何度も謝る。 申し訳ないという気持ちは全く感じ取れない。

ルミナ

ね?こんなだから片付かないんだ

ルミナ

片付けてもすぐ汚すし。片付けないまま、諦めた方がマシなんだ〜

ユアン

…い、ですよ

ルミナ

え?

ユアン

不衛生です!自分がドジだからって、部屋を片付けなくていい理由にはならない!

ユアン

私がこの部屋を見違えるほど綺麗にしてやりますよ。ルミナはそこで大人しく座ってて下さいます!?

ルミナ

…あっ、うん。分かったよ

ルミナ

ユアンは本当に優しいね。なんでボクなんかを気にかけてくれるの?

ユアン

別に気にかけてる訳じゃありません。掃除の邪魔なので話さないで下さい。

ルミナ

あは…うん。ごめんね

ユアン

…はあ

ルミナ

わ、凄いね〜。ボクの部屋じゃないみたいだ

ユアン

はあ…汚すなとは言いませんから、もう少し気をつけて生活して下さいね…

ルミナ

うん、ごめんね。

ルミナ

疲れたでしょ?紅茶いれるね

ユアン

あ、砂糖とミルクは自分でいれますから

ルミナ

了解〜

呑気に鼻歌を歌いながら紅茶をいれるルミナは何故か楽しそうで、もう一度ため息をこぼした。

ユアン

(…本当、ほっとけない)

ルミナ

ベッド使っていいからね。
ボクはまだやることがあるから

ユアン

…やること、とは

ルミナ

うーんボクまだご飯食べてないんだよ

ルミナ

じゃあちょっと外に行ってくるね〜

ユアン

私の血は飲まないんですか?

ルミナ

え、飲んでいいの?

ユアン

普通人間がいたらその人間の血を吸うでしょう。いいカモなんですから…

ルミナ

え〜?それはユアンの普通でしょ?ボクはお客さんには手は出さないよ

ユアン

…………吸いますか?

ルミナ

いいならいいけど…でもボク、人間の血しか吸えないからなあ

ユアン

…え

ルミナ

キミは人間じゃないよね?さしずめ、変化が得意なコウモリ…といったところかな

ユアン

知ってて招き入れたんですね

ルミナ

うーんまあ匂いで分かるからね〜
害はなさそうだし、殺したりはしないよ。

ルミナ

じゃ、ボクは行くから

ユアン

その前に私の用事、先に済ませてもいいですか

ルミナ

いいけど…なに?ボクがいないと出来ないことかな?

ユアン

…失礼します

ユアン

ルミナ

おっ、と?

ルミナ

ナイフなんか持ってたのユアン。
もうちょっとで首切られちゃうとこだったよ

ユアン

首に当てる気はなかったので

ユアン

…ここに私が来たのは仲間内での罰ゲームが元ですから

ルミナ

へ〜…随分過激な罰ゲームだね?
ボク以外にしちゃダメだよ

ユアン

貴女は……危機管理がなってないですよ。こんな怪しいやつを部屋の中にいれて。

ルミナ

だって、ユアンはボクの部屋掃除してくれたよ?敵意を持ってるヤツがすることじゃないよね。

ルミナ

ボクはキミを信じたんだよ。

ユアン

………………

ユアン

何言っても、無駄みたいですね

ルミナ

あは、ごめんね。

ユアン

精々生き長らえて下さいね。
貴女みたいなズボラな吸血鬼、私が殺してあげますから。

ルミナ

殺してくれるんだ。…やっぱり、ユアンは優しいよ。

ルミナ

この街を支配してるっていうのも、勝手に人間が作ったもので他の街に手を出させないようにボクが見張ってるだけなんだよ。

ルミナ

ボクにはなんの力もない。
生きてる価値すらないよ。

ユアン

そうですね。
よく分かっていらっしゃる。

ユアン

そしてこの街の奴らも、生きている意味なんてない。守る理由もないのに、大人しく従っていると舐められますよ。

ルミナ

………

ユアン

では、また会いましょう。Msルミナ。

ルミナ

ユアン…キミはかっこいいよ

ルミナ

自分を貫いて前に進んでる。
ボクには…

ルミナ

ボクにはそんなこと出来ない

ユアン

…ルミナ

ルミナ

あっ、久しぶり〜
元気そうで何よりだよ。

ルミナ

本当に会いに来てくれたんだ。
もう10年も経つのに〜

ユアン

まさか、貴女があの街から失踪していたなんて思ってもいませんでした。

ユアン

ボクには出来ない、じゃなかったんですか?

ルミナ

あはは、これだからコウモリは嫌いだよ。耳がいいんだね。

ルミナ

ユアンがかっこよかったから、僕も頑張ろうと思ったの。

ルミナ

生きたい…とはまだ思わないし殺して貰えるなら殺して欲しいよ。やりたい事も結局見つからなかったし。

ルミナ

でも、これからユアンと探していくから、いいんだ

ユアン

私を信じているとでも?

ルミナ

うん。だってユアンは、僕の友達でしょ〜

ユアン

…全く。相変わらず危機管理がなっていない馬鹿な人ですね

ルミナ

あはは。それが僕だからね

ユアン

…いいでしょう。一緒にどこへでも行きますよ。コウモリと吸血鬼は、セットですからね。

ユアン

ほら、早く行くわよ…ルミナ

ルミナ

あはは…ありがとう、ユアン。

ルミナ

行こっか。僕達だけの未来に

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