紬
あーもう!
海斗
どうしたん?
紬
朝起きたら髪の毛が寝ぐせでグワーッて
海斗
あー……なるほどね
紬
男はいいよね、髪の毛短いし
海斗
まあ、長い奴は少数だな
海斗
だけど俺だって寝ぐせぐらいつくぞ
紬
でもすぐ直るでしょ
紬
長さがある分こっちの方が大変なんです!
海斗
え、うん……ゴメンナサイ
紬
いっそ切るかな
海斗
坊主?
紬
そんなわけないでしょ!
紬
まあ困らないぐらいに……うーん
肩に髪の毛がつかないぐらいか
海斗
うーん……反対!
紬
え、なんで!?
海斗
想像しづらい
紬
却下します
海斗
えー、でもそれが一番似合ってるのに
紬
ふぉぅ……あ、ありがと
紬
きゅ、急に褒めないでよ!
海斗
褒めて怒られるとか新しいな……
紬
ごめん……でも、そこまで言うなら
このままでもいいかな
海斗
うーん……でも待てよ
海斗
切るなら条件ある
紬
え、なに?
海斗
えーと……
紬
なに、なんで急に恥ずかしがってんの
海斗
いや……その……
海斗
言葉にすると恥ずかしいな
紬
だから、なに!?
海斗
切って最初に見るの、俺がいいな
紬
ふぉっ……ふぅ……
私は変な声が出て、
それ以上はなにも言えなかった。
とにかく幸せを逃したくなくて、
大きく「うん」とうなずいて、
海斗の手を握った。
海斗
約束な
海斗の顔を見て、
自分はこの人が好きだって……
そう、思った。