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教室は、やけに騒がしい。
でも、おれには関係ない。
女子生徒A
女子生徒B
女子生徒A
男子生徒A
……へぇー、転校生来るんだ。 でも、アニメとか漫画みたいに可愛い子なんて、そうそういない。
そんなの、ただの妄想の世界でしかない。
担任
担任が、教室の扉を開ける。
担任の後ろには、転校生らしき女子が 静かな音を立てながら教室に入ってきた。
教室が、静寂に包まれる。
そこに立っていたのは―― 長い白銀髪、無表情。制服の着こなしも、どこか不自然なほどきっちりしていて。
男子生徒B
そう呟いた誰かの声が、教室に響く。
転校生の瞳は、エメラルドのような 美しい瞳だった。 クラスのみんなが、その瞳に魅了される。
???
篠塚レン
おれは、無意識のうちに彼女を見つめていた。 そして、その時目が合ってしまった。
篠塚レン
???
おれはすぐに目を逸らす。 転校生の目を見ていたら、少しおかしくなりそうな気がしたし。
篠塚レン
担任
転校生は一歩、教壇の前に出る。
その仕草すら、どこか儀式のようで。 教室に、緊張した空気が流れる。
桜月イロハ
担任
クラスの人達
篠塚レン
教室に微妙な空気が流れる。
担任
桜月イロハ
担任
担任
彼女は無言のまま、促されるように席に向かう。 誰とも目を合わせず、音も立てず、席に着いた。
篠塚レン
クラスの人達が、ヒソヒソと話し始める。
女子生徒B
男子生徒B
女子生徒A
篠塚レン
興味はある。だけど話しかけるには、距離が遠すぎた。
そして、朝のざわめきは、再び日常へと戻っていく。 ――少しだけ、異質な何かを含んだまま。
そして、昼休みにてーー。
昼休みのチャイムがなった瞬間、 教室が一気に騒ぎ始めた。
女子生徒A
男子生徒A
男子生徒A
彼女の席に、人集りができる。
それを不思議なものでも見るような目で眺めながら、彼女は口を開く。
桜月イロハ
女子生徒A
教室の空気が一瞬にして凍りつく。
女子生徒A
桜月イロハ
そう言って、転校生は立ち上がり、音も立てずに教室を出ていった。
女子生徒C
男子生徒B
女子生徒A
おれはその様子を、遠目で見ていた。
篠塚レン
正直、転校生の事が気にはなった。 だけど、自分から話しかけるほどの勇気もなかった。
それに、こっちにはこっちの、いつも通りの“居場所”がある。
誰も話しかけてこないのは、今日も変わらない。
篠塚レン
人混みを避けて……
階段を上がる。
鉄扉開けた先に広がるのは、空と風。 そしてーー。
一人、フォンスの際で空を眺める白銀髪の女子。 転校生だ。
白く美しい髪が、優しい風に揺らされる。
篠塚レン
彼女はこちらに気づく素振りもなく、ただ遠くの空を見つめている。
昼休みなのに、食事もせず。 誰とも関わらず ただ、そこに’’いる’’。
篠塚レン
おれは転校生には話しかけない。 勇気もないし、何より距離感が掴めない。
篠塚レン
おれは目を逸らして、屋上の隅に腰を下ろす。
弁当を開けながら、空を見た。
それは転校生の視線の先と同じだった。
次の日も、その次の日も。
彼女はずっと屋上で一人、空を眺めている。
クラスの人達も、 みんな気味悪がって話しかける人は居なくなった。
篠塚レン
ここ数日、転校生を屋上で見かけたけど、 お弁当を持っているようにも見えない。
篠塚レン
篠塚レン
篠塚レン
一瞬、おれと転校生の目が合った。
桜月イロハ
だが転校生は無表情のまま、空を見上げる。
篠塚レン
その夜、おれの家。
おれは妹のミヨと、リビングで話していた。
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
おれはどう説明すればいいのか、全く分からなかった。 まるでロボットみたいな彼女。 ミヨにどう説明すりゃいいんだよ
篠塚レン
篠塚ミヨ
ああ、もう。こいつ。 青春物語の影響受けすぎだろ……
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚レン
次の日。早朝にて。
おれは自分の分と妹の分、そしてあの転校生の分のお弁当を作っていた。
篠塚レン
その時、声がした。
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
ミヨは おれがいるキッチンの方へ近づいてくる。
篠塚ミヨ
ミヨはニマニマしながらこっちを見つめる。
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
篠塚ミヨ
篠塚レン
そして、その日の昼休み。
おれは自分の弁当と、 転校生の分の弁当をもって屋上に行く。
そこには、案の定。 あの転校生もいる。
桜月イロハ
篠塚レン
篠塚レン
なんだろう、自分で渡すって決めたのに すごく緊張する。 自分から誰かに話しかけようとするのって いつぶりだろう。
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
そう言っておれは弁当を桜月さんに渡す。
彼女は一つ、二つ。瞬きをする。
桜月イロハ
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
篠塚レン
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
そして桜月さんは、屋上の隅に腰掛けて、弁当箱を開ける。
中には卵焼きや、タコさんウインナー、おにぎりなどが入っている。
桜月イロハ
彼女はそう言って、箸で卵焼きを掴んだ。
卵焼きを見つめたあと、一口。
桜月イロハ
篠塚レン
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
桜月イロハ
おれはため息つく。 口合って良かった。
桜月イロハ
篠塚レン
篠塚レン
桜月イロハ
篠塚レン
篠塚レン
おれは、少しだけ嬉しく思った。
篠塚レン
篠塚レン
新たな学校生活が、始まった。