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うほほほほ みんなの会話が尊すぎて死にそうになったではないかディフディフ ちなみに余談なんですけど、 帰結の漢字の読み方が分からないただのバカがここにいるんですけど... どなたか教えていただけませんか? にきのご飯TwitterとかYouTubeとかでプレゼントキャンペーンやってくんないかな... にき、まってるよ!((((多分ない
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
注意!! ・地雷さんはUターン! ・青黒大前提(強調すな)の黒さん愛されです ・青さんが黒さん過激派👊🏻 ・nmmn ・黒さんのご飯とメンバーにまつわるお話。
月見。
んん・・・?
顔に触れるひんやりとした朝の空気。それに比べて随分とあったかい布団の中。
目覚めたばかりの自分を早々にまた夢の中へ引き込もうとしてくるその誘惑になんとか抵抗しながら、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
締め切ったカーテンの向こうに、明るさが見えた。
・・・朝だ。
今日は休日だった。だから今が何時だろうとどうでも良いことだったのだが、二度寝を選ばず枕元にある筈のスマホを手探りで探したのには、理由があった。
いつもと、目覚めが違うのだ。
カーテンが開く音。布団越しに俺の体を揺らす手。
まろ、おはよう
そう言って微笑む、愛しい人。
そう。いつもは、彼の声によって起こされていた。
彼の声から始まる朝を迎えず、自分で起きるのなんていつ振りだろうか。
だからか感じる違和感。一体今は何時なんだろうかと漸く見つけたスマホを拾い上げ、その画面を映し出す。
青
10:56
予想外の数字が、そこに並んでいた。
桃
白
水
赤
三者三様ならぬ四者四様。リビングで各々くつろいでいたそいつらに、ワナワナ震える体。
青
桃
青
白
桃
青
水
青
水
赤
ったく朝から突っかかってきて面倒臭い二番やな。
・・・ん?てかちょっと待てよ。
青
水
白
桃
赤
水
桃
水
白
口を挟む隙すらなく進んで行く会話。おいコラちょっと待て。色々言いたいことはあるけどちょっと待て。
青
ぱっと見渡した感じではラップがかけられた皿が何処にも見当たらない。
冷蔵庫に入れてあるよ、がここの模範解答だ。そうなのだが。
桃
水
赤
白
青
そこは模範解答しとけよ!イレギュラーなんてクソ喰らえ!!
今日まだ彼に会えていないこと、自分はほったらかしでコイツらはあにきのご飯を悠々と食べていたこと、ぐうと鳴るお腹。全てにむしゃくしゃする。コイツら絶対許さん。
桃
青
水
赤
呆れ顔のりうらが溜息を吐く。いやお前も悪いからな!?さっきしょにだが言ってた感じお前も食ったんやろ!?
青
無駄に怒って疲れた。どっと襲ってくる疲労感と空腹に、リビングのソファに倒れ込む。
桃
白
水
青
赤
ソファに顔を埋めたまま答えた。最年少の呟きなんて無視だ。あにきの料理が美味い?そんなん当たり前やろ。
桃
白
水
赤
青
しみじみと話したないこの言葉に、一斉に噛み付く。りうらも喋ってこそいないがその目は何言ってんだこいつ、と言っている。少し盛った。
桃
逆に訳が分からないと言いたげにないこが声を漏らす。いやいやないちゃん、とあほとけが大袈裟に手を動かした。
水
白
青
赤
訪れる沈黙。バチバチとぶつかり合う視線。
・・・譲れない戦いが、今ここに始まろうとしていた。
桃
水
白
赤
青
桃
白
水
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桃
青
水
白
赤
桃
置いとくな。こちとら同担拒否なんだよ。
まぁまろのあにき愛とコイツらのあにき愛なんて比べるまでもないけどな!と心の中で高らかに叫ぶ。仕方ない、聞いてやろう。
桃
眠たい朝。
温かい布団にいつまでも包まれていたい。そんな望みを叶えてくれない朝。ひんやりとした空気が布団の外に待っている。
朝起きるのは嫌いだ。別に苦手じゃないし毎日自分で起きるけど、どう足掻いても朝は憂鬱。
今日も仕事だと考えれば心無しか体が重い。次の休みまではまだ間がある。
まだ寝ていたいとごねる自身の体を、せーのっ、と心の中で呟き勢い良く起こす。同時に布団をガバッと剥がせば、その寒さに思わず体を硬くした。
今日もまた一日が始まってしまった。夜帰って来てから家でぐうたらする時間だけ伸びないかな、なんて叶いもしない願いを考えながら、俺は部屋を出る。
冷たい廊下を歩き、辿り着いたリビング。扉開ければ、鼻をくすぐる良い匂い。
桃
冷蔵庫の前に立ち、こちらに背を向けるその後ろ姿。揺れるポニーテール。
暫くぼんやりその姿を見つめていれば、ぱたんと冷蔵庫が閉まって、彼がこちらを向く。
黒
穏やかな声色と柔らかい笑み。彼からの雪解けの様な挨拶に、寒さで硬くなっていた体から力が抜けるようだった。
・・・この声、この笑顔を、どれくらいの人が知っているだろうか。
桃
黒
桃
黒
桃
こちらに歩いて来たあにきがわしゃわしゃと俺の頭を撫でる。寝癖、なんてくすくす笑いながら、まだキッチンへ戻って行く。
朝ご飯の準備をする音だけが響く。テレビはつけなかった。
静かで、穏やかな朝。この時間は、ほんの少しの間。次の誰かが起きてくるまでの、俺とあにき二人だけの特別な時間。
小さくお腹が鳴る。差し込む朝日とリビングに漂う朝ご飯の匂いに幸福度は増すばかり。
桃
黒
桃
黒
意味の無い呼びかけを咎めることも無く、あにきは小さく笑った。
朝の布団から出た時の寒さは苦手だけど、この温かさが待っているから、それが平日だろうと休日だろうと俺は一番に起きてしまう。
朝から優しい魔法にかけられて、俺の一日が漸くカーテンを開ける。
カタ、と音を立て、テーブルの上に皿が置かれた。
黒
桃
いつもは、りうらや初兎ちゃん辺りが起きてくるからそれまで待って、全員は揃わなくとも数人ずつで朝ご飯を食べる。その時、彼は洗い物だとか洗濯だとか何かと動き回っていて、あまり一緒に朝ご飯を食べることはない。
でも、こういう時は。
机に置かれた二人分の食事。退屈しないようにだろうか。俺が早く家を出なくちゃいけなくて、他の誰とも時間が合わなそうな時、彼はこうやって一緒にご飯を食べてくれる。
気付かなければ当たり前に埋もれてしまうような、優しい彼の気遣い。
黒
手を合わせたまま、首を傾げるあにきに口元が緩む。一緒に、食べてくれるんだよなぁ。
桃
勢い良く君の向かいの席に着いて、同じように手を合わせる。
いただきます!
今日もこの優しい朝が、俺を送り出してくれる。
白
桃
赤
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桃
水
青
白
赤
水
青
桃
水
桃
水
水
黒
目を擦りながらリビングに入ると、ソファに座ってスマホを眺めていたあにきが僕を見て笑みを浮かべた。
水
黒
水
くぁ、と溢れる欠伸を一つ。あにき座っているソファへとのそのそ歩いて、あにきの隣にぽすんと腰を下ろした。
黒
水
寝なくても眠いし寝過ぎても眠い。人間の体って不思議だ。
あにきがちらりと壁にかけられた時計を見て、僕の方へと視線を戻した。
黒
その問いかけに応えるように、僕の言葉より先にお腹が鳴った。
水
黒
待ってろ、とあにきがキッチンへと歩いて行く。
隣から温もりが消えてしまったソファがなんだか寂しい。そのままぼんやりと座っている僕に、キッチンからあにきが「ほとけ」と名前を呼んだ。
黒
そう言っておかしそうに笑うあにきに目を細めたのは、眠いからとかじゃなくて多分、その笑顔が眩しかったから。
黒
水
黒
水
黒
顔を洗ってリビングに戻れば、あにきがテーブルの上にお昼ご飯を用意してくれていた。
こんな時間に起きて来た自分にもちゃんとご飯を用意してくれることを有難く思いながら椅子に座る。これがいふくんとかだったら「自分で用意しろ」って言いそうだもん。あにき好き。
水
鮮やかな黄色の上に線を引く赤。それが描くのは。
水
黄色の空に浮かぶ一等星が、僕の目を惹いた。
水
ハートなら見たことあるし僕も小さい頃とかにやったことあるけど、星なんて漫画やアニメでも中々見ない。
黒
水
そうだ、この人歌とかに加えて料理もハイスペックなんだった。
改めてそう感じながら、なんだかスプーンを入れるのが勿体無いな、と思って僕はスマホを手に取った。
パシャ、と音を立てて、アルバムに保存する。今度誰かに自慢しよ。
水
黒
向かいの席に座ったあにきが、僕を見て首を傾げた。
水
その言葉を聞いたあにきは一瞬きょとんとした後、すぐにふっと表情を和らげた。
黒
水
黒
水
わしゃっと頭を撫でられる。目を細めたあにきの優しい視線がくすぐったくて、思わず目を逸らした。
水
黒
口いっぱいにご飯を詰め込む僕に、リスになっとる、なんて楽しそうに笑うあにきはなんだか嬉しそうで、ご飯の美味しさと相まって僕は幸せに満たされた。
水
あ、これ食べ終わってから言えって怒られるやつだ。
黒
水
黒
水
黒
水
ちょっとはあにきのこと見習って欲しいよね全くもう!
・・・それにしても、あにきと二人だけなんてなんだか新鮮だ。
ないふが仕事、りうちゃんが学校でいないのは見慣れた光景だけど、大体そういう日は僕、初兎ちゃん、あにきの三人で過ごすことが多い。
それが、今日は初兎ちゃんもいなくて二人きり。勿論気まずさとかそんなものは一ミリもないけど、珍しいことになんだかそわそわしてしまう。
こうしているとなんだか、普段はしないような話まで浮かんできてしまって。
水
黒
水
あにきのご飯が一番美味しいしあにきも文句を言わないから、この家では殆どあにきがご飯を作ってるけど。
この前テレビで偶々ついていた番組で、女の人が不満げに漏らしていた言葉を思い出す。
水
僕達は美味しいご飯で満たされて、作ってくれるあにきは嫌な思いをしてるなんて、そんなの嫌だ。
僕の言葉にあにきは暫くぽかんと口を開けて、そして、ぶはっと吹き出した。
水
あれ、僕何か変なこと言った!?
黒
頬杖を付いて、あにきがにっと口角を上げた。
黒
水
黒
な!と歯を見せて笑うあにきに、今度は僕がぽかんとする番だった。
・・・そして、じわりじわりと心が温まっていく。
やっぱり凄いなぁと、心の底から彼を尊敬する。
歌だけじゃない。料理やその他の技術、そして人柄まで、彼は僕の何十、何百歩先を行っているんだろう。
その優しさで構成された彼の全てが、大好きなんだよなぁ。
黒
そう言って立ち上がるあにき。彼の中で、今の話はもう終わろうとしているのだ。彼にとっては当たり前のことを話しただけで、ただの世間話とほぼ変わらないことだから。
でも、でも。
僕だって、この気持ちを返したいよ。
水
突然声を上げた僕に、ん?とあにきが振り返る。
水
そう言い放てば、あにきはふっと目を細めて口を開いた。
黒
白
赤
桃
青
水
白
赤
白
白
鼻歌を歌いながら、カチカチとパソコンのマウスを動かす。
キーボードを数回叩き、またマウスを動かして。
カタッと軽やかな音を立ててエンターキーを叩けば、僕の今日のノルマは達成。
白
すっかり固まってしまった体をほぐす為に、ぐっと腕を上に伸ばす。部屋にこもってパソコンと向かい合ってからどのくらい経っただろうか。
白
満足げにうんうんと頷く。実は歌ってみたの編集をしていたのだ。なんならその音源だって今日録ったばかり。
最近あまり歌ってみたを投稿出来ていなかったから、久しぶりにと言うことで力を入れたらつい夢中になりすぎてしまった。
一度お昼をリビングでいむくんと悠くんのご飯を食べてからささっと部屋に戻って来たのが一時過ぎ。時計を見ればもう三時を回っていた。
時間が経つのってあっという間やなぁと実感しながら、僕は椅子から立った。
・・・なんか、飲み物でも取りに行こうかな。
甘いもの食べたいなぁ、今度いむくんとなんかスイーツでも食べに行こ。なんて考えながら、僕は部屋を出た。
白
リビングに入ると、悠くんがキッチンに立っているのが見えた。
何やらフライパンを握っている。思わず僕は時計を見た。まだ三時である。
こんなに早くから夜ご飯の準備してたっけ、なんて思いながら、飲み物を取るために冷蔵庫へと歩を進める。
黒
白
黒
短い会話を交わし、水を飲んで喉を潤した僕は、これから何をしようかなぁとぼんやり考えた。今日はいむくんが他の仲良い活動者さんと会うらしく家に居ない。いむくん友達多いからなぁ。他三人は安定だ。
まぁ、いつも通りラップねりねりしますかね。
そう思ってまた部屋に戻ろうとした僕に、初兎!と悠くんが背後から声をかけてきた。
黒
白
唐突な言葉に首を傾げる。いや、別にやらなきゃいけないことは無かったし素直に頷くが、一体どうしたというのだろう。
白
黒
フライパン片手に、悠くんがきゅっと口角を上げた。
悠くんに言われた通り、リビングのソファに座りスマホをいじること数分後。
何かツイートしようかなぁと内容を考えている僕の元へ、足音が近づいてくる。
小さな音を立てて、目の前のテーブルにお皿が一つ。
白
黒
そのお皿を運んで来た悠くんがそう言って笑いかける。僕はお皿と悠くんを忙しなく交互に見て、また「え、え、」と声を漏らした。
白
黒
白
黒
何処となく嬉しそうに笑う悠くんに、僕はまたお皿へと視線を移した。
お皿の上に乗っているのは、二段のパンケーキだった。
チョコソースとバナナが可愛らしく盛り付けられていて、漂う甘い香りにごくりと唾を飲み込んだ。
白
だから今度行きたいな、くらいに思っていたのに。
白
なんで分かってしまうんだろう。それをさも当たり前の様に僕に、僕達に与えてくれるんだろう。
パンケーキを一口食べる。甘くて、優しい味が舌に溶けていく。
悠くんは、時々こうしておやつを作ってくれる。そんなに頻度が高い訳でもないのに、こうやって求めている時に限って、作ってくれる。
黒
そして、こうやってなんてことないみたいに終わらせようとする。
・・・なぁ悠くん。その優しさってな、当たり前じゃないんよ。
守り抜きたいと思うほど綺麗で、美しくて、眩しいもの。
白
黒
ずっと近くに立っている悠くんをちょいちょいと手招く。ぽんぽんと隣を叩けば、悠くんは素直に隣に座ってくれた。
白
黒
呆気に取られた顔をする悠くんに、フォークを持った手をまた少し近づける。
白
この幸せを分かち合って、二人で温まりたい。
これからも受けることになるだろう君からの優しさを返すなんてこと、きっと一生かけても出来ないけど。
その幸せに君を連れ出すことくらい、させてよな。
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青
疲労困憊だ。
夜の街をよろよろと覚束ない足取りで歩いて、重たい体をなんとか運ぶ。
今日はいつにも増して忙しかった。帰る時間が早い時に比べてもう二時間以上経っている。これだから社畜は嫌だ。やめたい。やめんけど。
溜息を吐き出して帰路を歩く。ないこも流石に帰って来とるやろ。夕飯タイムはとっくに終わってるだろうな。あぁ、あにきのご飯が食べたい。
肌寒い夜がより一層俺の体力と精神を削ってくるようだった。早く帰ろう、と俺は重い足をまた一歩前へと踏み出した。
青
息を吐くと同時に言ったら最初のたが言葉にならなかった。まぁそんなことは別にどうでも良いのだが。
漸く辿り着いた家に体から力が抜けた。もうこのまま寝てしまいたい。でもあにきのご飯は食べたい。
黒
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俺が帰って来たのに気付いたあにきがリビングからひょこっと顔を覗かせ、こっちへと駆け寄って来てくれた。うわ愛しい。世界平和。
ぎゅっと抱き付けば、うお、と小さく声を上げながらもしっかり受け止めてくれる。体幹あるもんなあにき。そんなところも好き。
黒
青
黒
抱き合った状態のまま、背中をぽんぽんと叩かれる。その温もりだけで、疲労が半分は軽減された気がする。
黒
青
黒
青
じゃあ、折角あにきが言ってくれたんだし入るか。そう思って、俺は一度荷物を置きに部屋へと向かった。
思う存分温まり、風呂を出てわしゃわしゃと髪の毛をタオルで拭きながら、そう言えばさっきあにきはみんな入り終わってるって言ったけど、あにきは入ったのだろうか。とぼんやり考えた。さっき見た感じだと風呂上がりな感じはしなかったな。
青
リビングに入った途端、腹の虫が鳴いた。
・・・良い匂い。
黒
丁度、あにきが手に持っていた皿をテーブルの上に置くところだった。
青
もしかして、夜ご飯の準備してくれてたん?
いつもはご飯にするか風呂にするかの決定権を俺に委ねてくるあにきが、今日に限って風呂を勧めてきたのは、そういうこと?
黒
笑みを浮かべるあにきに、俺は勢いも気にせず抱き着いた。
黒
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黒
受け流してるように見えて、その言葉にはしっかりと気持ちがこもっている。照れている彼の精一杯。俺には分かる。
この家は、この空間は、この優しさは、なんてあったかいんだろう。
体も心もすっかりぽかぽかになって、俺はもう一度ぎゅっとあにきを抱きしめた。
黒
青
黒
いつもならあにきのご飯を食べまくる胃袋無限男のないこを呆れ顔で見つめるところだが、今日ばかりは人のこと言えないな。
勢い良くご飯を腹の中へと詰め込んで行く俺に、そんな急がんでもご飯は逃げないで、なんてあにきが面白そうに笑った。あ、今の顔かわいい。
疲れた体にあったかくて優しいご飯の味が染み渡る。やっぱりどんなに美味しい料理を食べてもあにきのご飯しか勝たん。
勿論店の料理は美味しいけど、この優しい味は。俺をここまで幸せにしてくれる料理は、あにきにしか作れない。
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黒
そう言って笑うその顔が、あまりにも幸せそうで。
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黒
ガタッと音を立てて、向かいに座る彼の方へ身を乗り出しその手を握った。
突然のことにぽかんと口を開けるあにきの目を真っ直ぐ見つめる。
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なんでだろうな、急に言いたくなったんよ。
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驚いた表情のまま固まった彼は、ふわっと頬を赤らめて、へにゃりと柔らかく笑ったんだ。
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喜んで。そんな最高な言葉を返してくれた彼に、表しきれない愛を込めてそっとキスを落とした。
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赤
夜。すっかり寝静まった家の中で、まだ明かりを灯している部屋がある。
お風呂から上がって速攻部屋にこもり、パソコンと見つめ合ってかれこれ数時間は経っている。
提出期限が明日に迫ったレポートが寝かせてくれないのだ。
いや、ギリギリまで手を付けなかった俺が悪いんだけど!いざ始めてみれば、あれこれ結構時間かかるやつ?と手こずっていた。漸く半分までは来たがまだ道のりは長い。
俺もしかして今日オールコース?明日も大学なんだけど。
時間を確認してみれば、日付が変わっていた。嘘だいつの間に?
割と余裕あるじゃんとか思って歌ってみた録ってた自分が馬鹿だった、と今更ながらに後悔する。いやリスナーさん達が喜んでくれたからそれはそれで良かったんだけど、まさかここでこんな地獄と対面するとは。
あぁもう嫌だ全部投げ出したい自分の体もベッドに投げ出したい。そんな思考が脳を占める。多分今ベッドに沈めば一分もかからず夢の中に落ちるだろう。
溜息と共にがしがしと頭を掻く。本当はもうこの時間には寝ている予定だったのに。
過去の自分やレポートへの文句を心の中で垂れ流しながら、またパソコンに向かった時だった。
コンコン、とノックの音が二回、確かに俺の耳に届いた。
赤
思わず耳を疑った。返事をする前にもう一度時間を確認する。既に一時を回っていた。
誰だろうか、と考える。ほとけっちとか?いやほとけっちがこの時間に起きてるのなんてほぼ見たことない。
じゃあ初兎ちゃん?いや、初兎ちゃんはこんな時間に人の部屋訪ねてくるような人じゃないしな。
ないくんとか?いや、「俺明日早いから今日爆速で寝るわ!」と夕飯の時に言っていた。違うだろう。
まろは・・・無いな。仮にこの時間にまろが起きたとして俺の部屋を訪ねてくる理由が無い。だったらあにきのところに行くだろう。
・・・という、ことは。
黒
赤
思わず目を丸くした。一体どうしたと言うんだろう。
あにきの部屋と俺の部屋は決して近く無い。俺の部屋は一番端だし唯一の隣はほとけっちの部屋だ。
そんな俺の部屋に、はたまたこんな時間に、どうしてあにきが?
赤
勿論拒否する理由なんて無かった。俺の言葉に反応して、扉がゆっくり開いていく。
ひょこっと顔を覗かせたあにきが、俺と机の上に置かれたパソコンを見て口を開いた。
黒
赤
黒
分かる分かる、と頷くあにき。
赤
黒
赤
届け物?
リビングに何か置きっぱだっただろうか。なんて思考を巡らせても、何も心当たりは無かった。
俺が首を傾げていると、ずっと顔だけを覗かせていた状態だったあにきが、ちゃんと扉を開けてその姿を現した。
赤
その手が持つ物を見て、俺は目を見張る。
黒
あにきが手に持っているトレー。その上に乗っているお皿から漂う、何やら食欲を誘う香り。
黒
赤
黒
あにきの説明を受け、もう一度机に置かれたグラタンを見る。
チーズの香ばしさがほんのりと鼻を掠める。豆腐で出来ているからか、夜中だけどそこまで重く感じられない。なんならお腹が鳴ってしまった。
黒
まぁぶっ倒れたら看病したるわ、と笑うあにきが、なんだかとても眩しくて。
赤
黒
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赤
ひらひらと手を振って部屋を出て行こうとするあにきに、ガタッと立ち上がる。
黒
どうしたん、と言っている表情を浮かべる彼に、俺は暫く言葉を探した。やっぱりアドリブは、得意じゃない。
赤
どれだけ時間がかかっても、あにきは急かすことなく待っててくれた。
赤
普段は面と向かって言わない台詞。ないくんやまろが言っているのを聞きながら、よくそんな真正面から堂々と言えるな、と思っていた。
だって小恥ずかしいじゃん。なんか、ほら、母親にいつもありがとうって中々言えない男子高校生みたいな。
でも今日は、今は、言わなくちゃいけないと思った。伝えたかった。
黒
赤
どんな言葉が返ってくるかと思えば、次に聞こえたのはあにきの笑い声だった。
黒
ありがとな、おやすみ。そう言って、あにきが部屋を出て行く。ぱたんと閉まった扉を暫く眺めてから、俺は椅子に座った。
グラタンを一口、口に含む。冷めていない。でも熱過ぎない。
・・・美味しい。
暗くなってしまったパソコンの画面を、マウスを動かして再び映し出した。
知ってるよ、自分の分の夜食作ってたなんて嘘だってこと。
そもそもグラタンに作りすぎも何もないだろう。下手な嘘だったなぁ。
今この身体を温めているのは、グラタンだろうか。それとも彼の優しさだろうか。
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静かな夜に、キーボードの音が響いた。
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またもや始まる視線バチバチタイム。なんやねんこいつら。少なくとも譲る気ないからな俺は。
その時、ぐうぅぅ、と大きな音がその場に響いた。
全員の視線が一点に集まる。
水
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立ち上がったしょにだがそこまで行った時、玄関の扉が開く音がした。
全員一斉に黙り込む。近付いてくる足音、そして開く扉。
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水
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黒
首を傾げて理解していないらしいあにきに、も〜!とほとけが声を上げる。
水
そんなほとけの言葉に、あにきが目を見開いた。
桃
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赤
青
黒
ぱちぱちと瞬きを繰り返して暫く黙っていたあにきが、何か言おうとして口を開いて、一旦閉じる。
黒
青
そして、ふわりと表情を和らげて笑った。
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そう言ってキッチンに歩いて行くその背中を見つめて、俺達は目を合わせ笑い合った。
これ以上そのご飯を美味しくして、俺達を一体どうしたいんだか。
何か話すこともなく、俺達は彼が料理する音を聞きながらその穏やかな時間に身を委ねていた。
目の前に広がる、大好きなご飯。
この匂い、この味、この時間が、俺達にとっての宝物で、かけがえのない時間だ。
さぁ今日も、みんなでこの幸せを味わおう。
せーの、
いただきます!!