しぇいど
ウルベロスの「開」に追い込まれたしぇいどは、切り札を使用する。
「開宴」
その声と共に、フィールドは歓声が鳴り響くライブ会場になる。
ただし、いくつか不思議な点があった。
まず、観客が居ないこと。観客席には代わりにピンク色のペンライトが突き刺さっていた。
そして、先程まで戦っていたドレディアが衣装を着て踊っていること。 不可思議極まりない空間であった。
ニグ
唯一フィールド近くにいて巻き込まれたニグが、そう零す。
しぇいど
答えたしぇいどは、戦いの場には場違いな…むしろこの場では正しいのかもしれない、ライブ限定のロゴ入りTシャツを着用していた。
ウルベロス
ウルベロスが手をかざすと、大量の闇がその体から吹き出す。
それに対しておもむろにしぇいどは刺さっているペンライトを掲げると、ウルベロスの元に飛び込む。
ニグ
しぇいど
その掛け声と共に、ペンライトが光り輝いたと思うと、青いオーラを纏った大剣になる。
ウルベロス
その大剣は、まるで闇なんてないようにウルベロスの体を切り裂く。
ニグ
しぇいど
その声と同時に、ペンライトは役目を終えたと言わんばかりにその光を失う。
しぇいどはウルベロスにダメージを与えたことを確認すると、次々と観客席のペンライトを抜いて、ウルベロスに畳み掛ける。
あるペンライトからは原始の力を纏った化石が現れ、あるペンライトはしぇいどに炎を纏った舞を授けた。
ウルベロス
ウルベロスは着実にダメージを受けていた。しかし、それでも戦闘不能にするには程遠い。何も無い空間からいきなり闇が吹き出し、しぇいどに襲いかかる。
ニグ
闇を「横凪」で吹き飛ばすと、ニグは叫ぶ。
ニグ
しぇいど
しぇいど
しぇいど
ReBirthしたしぇいどの能力、「開宴」。その効果は、最初に構築した結界内に存在するペンライトを振ることでポケモンの技の中から1つランダムに使用できる、というもの。
この能力の最大の特徴は、能力による攻撃は「必中」となる、ということ。故に、彼女の攻撃は闇にも、実況者力中和にも邪魔されることなく攻撃を放つことが出来る。
手にする瞬間まで何が使えるか分からないランダム要素と、良い技を手にした時にそれが必ず当たる安定感を兼ね備えた特異な能力。
それが「開宴」なのである。
ウルベロス
そのような手段を取ってきたしぇいどに対抗するため、ウルベロスは闇を空中に静止させると、それにエネルギーを送り始める。
莫大なエネルギーが闇に注ぎ込まれることにより、一部の闇はまるで稲妻のように一足早く地面に襲いかかる。
しぇいど
降り注いだ闇を回避して、しぇいどはこの戦いを有利に進める技が来るよう願いながら、ペンライトを手に取る。
しぇいど
しぇいどは、手に入れた技を確認すると、1度大きく深呼吸する。
しぇいど
そう問いかけられたニグは、闇をかわしたり吹き飛ばしたりしながら反撃のチャンスを伺っていた。
ニグ
その返事と共に、ニグはしぇいどの元に駆けていく。その間も闇は降り注ぎ続けるが、その闇からはしぇいどが様々な技でニグを守る。
ニグ
しぇいど
ニグはツルハシを構えると、思いっきり床に向かって振り下ろした。
ニグ
「犬噛」!
ツルハシはまるで獣の牙のように床に食い込み、その床には放射状の亀裂が入っていく。そこにニグの実況者力が流し込まれ、爆発するように床が砕けて宙に舞う。
それらに阻まれ、闇はしぇいどに当たることは無い。
そんな中、しぇいどはポーズを取り始める。
流れるように3つのポーズを取ると、しぇいどの頭上に眩い光が集まる。
しぇいど
生命の息吹を感じるその光は、莫大なエネルギーを秘めた闇に押し勝ち、霧消させた。
ウルベロス
しぇいど
そう言って、近くのペンライトを引き抜き、ウルベロスの元に跳躍する。
その瞬間、誰かの声が響く。
謎の影