TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

会議後。

アーサーさんは、私を近くの小さな公園まで連れていった。

日が傾き始め、2人の影が長く伸びていた。

黄昏時、だった。

アーサー・カークランド

…なぁ

本田菊

はい?

アーサーさんを見ると、熱のこもったエメラルドグリーンの瞳と目が合う。

アーサー・カークランド

俺は…
菊、お前のことが好きだ
愛してる

動揺を悟られぬよう、顔を逸らして口を開く。

本田菊

もう…そう何度も仰らなくても、存じておりま…

アーサー・カークランド

もう、はぐらかさないでくれ

本田菊

えっ…?

なんだか、いつもと違うただならぬ雰囲気を感じて、思わずアーサーさんの顔を見てしまった。

それが、いけなかった。

アーサー・カークランド

いい加減、思い切り振ってくれ

アーサー・カークランド

俺は本気なんだ
本気で菊に恋してる

アーサー・カークランド

だから…

アーサー・カークランド

これ以上、はぐらかして俺を苦しめるのは、やめてくれ…

今にも泣き出しそうな、とても、苦しげな表情だった。

本田菊

え、あ…えっと…

本田菊

え……?

本田菊

ちょ、ちょっと待ってください

本田菊

ほ、本気で…私を好き…?

アーサー・カークランド

ああ、俺は本気で…

アーサー・カークランド

って、お、おい待て、
どこに戸惑ってんだよ…?

アーサー・カークランド

あんだけ好きだって伝えたよな…?!

本田菊

だ、だって、アーサーさんには愛している女性がいらっしゃるではないですか!

本田菊

二股しようとしているのですか!

アーサー・カークランド

い、いや…
愛している女性がいるって…何の話だ?

本田菊

え……?

本田菊

(話が噛み合わない…
一体どういうことでしょう…?)

本田菊

…私、1年ほど前、ショッピングモールで、

本田菊

…アーサーさんが、女性に「愛している」と言っているのを見かけたんです

本田菊

……っ

本田菊

フランシスさんも一緒だったんですよ!私の勘違いじゃありませんからね!

いろいろな感情が入り交じって、いつの間にか涙が頬を伝っていた。

私、今酷い顔をしている気がします…

アーサー・カークランド

え?!
い、いや、そんなの…記憶にないんだが…

本田菊

すっとぼける気ですか!

本田菊

アーサーさんがまさかそんな遊び人だったなんて!

本田菊

もう!アーサーさんなんて知りません!

顔を見られたくなくて。 このままだと気持ちが全て口から溢れてしまいそうで。

私はアーサーさんに背を向けて走り出した。

アーサー・カークランド

え!?あ、おい!待て!

アーサー・カークランド

(そんなこと…あったか…?)

身に覚えがなく、困惑しながらも、

なぜか、ここで菊を放したら取り返しがつかなくなるような気がして、必死で菊を追いかけた。

アーサー・カークランド

待ってくれ菊!

菊に手を伸ばす。

でも、届かない。

菊に触れたい。菊の手を掴みたい。

本田菊

嫌です!追いかけてこないでください!

菊の涙が、夕日に照らされて光った。

アーサー・カークランド

…っ

愛する人にあんなにも苦しげな表情を自分がさせているのだという罪悪感と、

あの表情をさせているのは他でもない自分なのだという優越感が、

心の奥底でぐちゃぐちゃになって、まるで自分が自分ではないかのようだ。

アーサー・カークランド

(「国」である自分が、こんな「感情」を持つ日がくるなんて…な…)

角を曲がる瞬間、 菊のスピードが落ちる瞬間、 その一瞬を狙って、菊に手を伸ばす。

本田菊

わっ…!

アーサー・カークランド

捕まえた…!

逃がさないように後ろから菊を強く抱き締める。

アーサー・カークランド

なぁ菊、教えてくれ
本当に身に覚えがないんだ

アーサー・カークランド

お前以外に愛してるなんて言った覚えはないんだよ…

アーサー・カークランド

俺がいつお前以外の奴に愛してるなんて言った?

俺がそう言うと、菊はボロボロと涙を流して泣き出した。

本田菊

うっ…ううっ…

アーサー・カークランド

えっ、わ、悪い…

アーサー・カークランド

あ〜もう泣くなって…!

ポケットから出したハンカチで、なるべく優しく菊の涙を拭う。

アーサー・カークランド

俺は…お前を泣かせたい訳じゃないんだよ

アーサー・カークランド

なんでこうも上手くいかないんだろうな…

きっと届かぬ馬鹿みたいな恋

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

307

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚