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私の彼は苦い
コーヒーが大好きで
いつも教室の角で
コーヒーを飲んでいる
ヒナリ
ねえねえ、何飲んでるの？
ミツヤ
コーヒーだけど
ミツヤ
見てわからない？
かなりの毒舌でもある
私はそんな彼が好きだった
彼は勉強が出来て
成績も優秀だ
ヒナリ
ここ聞いてもいい？
ミツヤ
放課後にして
彼のコーヒータイムは 邪魔してはいけない
絶対に
彼はとても静かだけど
怒るととても怖い
静かなのに
まるでライオンを相手にしているかのように
不思議と迫力がある
彼と目が合うと
とてもドキドキしてしまう
一直線の視線をくらい
彼を好きになる人もいるのだとか
私は想いを告げた
苦い彼から甘い言葉が来るのだろうか
それともコーヒーを選ぶのか
どっちなんだろう
ヒナリ
実は…あなたのことが好きです
ヒナリ
付き合ってください
恋は苦い味…
いつか甘い恋をしてみたかったな
なんて願っていたけど
今回で確信した
相手はあなたじゃないとだめなんだ
ミツヤ
これ飲んでみ
ヒナリ
え…私コーヒー飲めないよ
ミツヤ
コーヒー飲めたら
ミツヤ
付き合ってもいいよ
まさか…そんな軽く見られてたの？
いいじゃない、飲んでやるわ
ヒナリ
ヒナリ
苦っ
一口で既に限界だった
やっぱり…諦めるしかないか
ミツヤ
今度はこれを飲んでみて
別の水筒を出してきた
別のコーヒーも苦そうだ
ヒナリ
…
ミツヤ
大丈夫
ミツヤ
飲んでみて
ゴクッ
ヒナリ
！
とても苦そうなコーヒーなのに
とても甘い
まるで…恋の味
私はあっという間に飲み干していた
ミツヤ
もっと味わって飲めよ
ミツヤ
コーヒーもったいないだろ
ヒナリ
すごく美味しかった
ミツヤ
決定な
ヒナリ
え？
ミツヤ
俺達付き合うんだろ？
ヒナリ
！？
忘れてた！！
ミツヤ
何驚いてんの
ミツヤ
君が告白してきたんでしょ？
ヒナリ
あ、ありがとう
ミツヤ
ミツヤ
ふぅ
今の俺なら
素直に気持ち伝えられたかな
数年後
ヒナリ
この服とこの服
ヒナリ
どっちがいいと思う？
ミツヤ
最終的に自分で決めるんだから
ミツヤ
聞くなよ
ヒナリ
相変わらず冷たいな
数年経っても
毒舌は変わらない
ミツヤ
コーヒーショップ
ヒナリ
行きたいの？
ミツヤ
行きつけがある
ヒナリ
なんで
ヒナリ
なんで一番苦いやつにしたの
ヒナリ
飲めないじゃん！！
ミツヤ
高校のとき
ミツヤ
飲めてたじゃん
ミツヤ
同じやつ
ヒナリ
でも…砂糖無しって
ミツヤ
ここは全部砂糖無し
ミツヤ
必要なら持参するしかない
ヒナリ
えー
ミツヤ
じゃあこれ
袋から取り出した
1つのかけら
ヒナリ
なんでひし形？
ミツヤ
溶けやすさを考慮した
ヒナリ
へー
それを溶かして飲むと
あの日飲んだ
あの恋の味…
ヒナリ
これって砂糖？
ミツヤ
違う
ヒナリ
じゃあなんでこんなに甘いの？
ミツヤ
ヒナリへの愛だから
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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