一覧ページ

Yesod イェソド

第1話 - Yesod イェソド

2019年05月06日

#ホラー

Lobotomy大好きマン

彼は紫色の短髪で、暗い影を帯びた、瞳孔の無い茶色の目を持っています。彼は一般的なビジネススーツと紫色のネクタイを着用しており、腕には彼のイニシャルである「Ｙ」という文字が書かれた腕章を身に着けています。スーツの下には、黒いタートルネックを着用しています。

イェソドは非常に論理的で、厳格で思いやりのない性格をしています。しかし時折、彼は冷静な人物を「演じる」かのように自分自身を制御することがあります。彼は職員に対する情けや信頼関係が不必要であると信じ、慎重かつ論理的に物事を判断します。それでも彼は、予防策によって職員たちの犠牲を最小限に抑えようと尽力しています。彼には複雑な幻覚があり、皮膚を晒すことを極端に嫌って体の大部分を常に覆い隠しています。

イェソドは職員たちから「酷く理性的」で「冷血」だと言われており、彼はそれを称賛と受け取っています。何故なら彼は、職員たちと個人的な関係を築くことによって、セフィラとしての立場や権限を悪用される事態に繋がると考えているからです。

イェソド

私の名前はイェソド。
情報チームのセフィラです。
I am Yesod, the Sephirah of the Information Team.

イェソドは施設のために働くセフィラの一人であり、情報チームの責任者です。

イェソド

一つでも誤った情報が入れば、取り返しのつかない事態になってしまいます。
管理人ならこれがどういう事か理解できると信じます。
A single mistake from us could cause a disaster.
I am sure you'd understand the gravity of my work.

イェソドは施設内で最も厳格なセフィラの1人です。彼は職員との交流や死に惑わされることなく、冷静に自分の任務を遂行することができます。

〜彼の記憶〜

カブリエル

ガブリエルは、他の誰よりも理性的な職員でした。彼は、同僚のエリヤの死を知っても表情一つ変えませんでした。しかし彼女の死が彼に与えた影響は、些細なものでは決してありませんでした。コギト実験によって、本来この世に存在するべきではない怪物が生み出されました。最早後戻りが出来ない彼らは、エリヤの死を無駄にしないために、彼女の死という実験結果を利用しなければならないことを理解していました。

規則を破って実験室に入ったエリヤに重い責任があると言い、彼は冷静に話を進めます。事件の話のついでに、彼は備品管理のキーの返却時間を破ったDを問題視します。社のセキュリティや規則に問題があると判断したガブリエルは、新たな規制を設けようと考えています。

誰よりも冷酷に見えるガブリエルでしたが、エリヤの死で少なからず精神に傷を負っていました。彼の隠しきれなかった心の傷と動揺は、服装の変化によって外部に現れました。全身を覆い隠す衣服を着用しているのは、薬品の飛沫を防ぐためだと彼は主張しました。

彼はこれ以上誰かの死を見たくないと願いながら、事件を予防するために厳格に振舞いました。しかしある日、彼の理性は強迫観念に変わりました。感情や表情が乏しくなり、肌の露出に嫌悪感を示し、傷がつくほど一心に全身を掻きむしり続けました。

未知の感染症の疑いをかけられた彼は、精密検査を強行されました。彼は全身を拘束されたまま、見ている方が苦しくなるほど必死に拒絶しました。

ガブリエルの主張通り、精密検査の結果には何の異常もありませんでした。しかし、精密検査の影響で彼の精神は更に追い詰められました。強迫観念は強くなり続け、無数の掻き傷が付くほど全身を掻きむしりました。最終的に彼はロボトミー社から姿を消し、死に至りました。

カブリエル

記憶を取り戻したイェソドは、なぜセフィラが生まれたのか、どうして絶望など出来ない身体にしたのか管理人に訴えます。そして、無数に掻き毟った痕がある首筋を見せて、苦しみを打ち明けます。

結果、セフィラとしての中枢のコアが決壊し、イェソドは暴走します。

イェソド

"私たちは絶望する価値さえもないのですか？"

イェソド

"私たちはこの世界に存在してはいけない化物を作り出しました。絶対に許されるべきじゃない"

イェソド

"腐って膿が溢れて出ていた私の身体をあなたは見ていないんですか？"

イェソド

"あなたが読み飛ばしているその一行一字は、すべて誰かの犠牲の上に書かれているのを知っているんですか？"

暴走したイェソドを抑制後、彼は呟きます。

イェソド

悲しい話をするには、我々はあまりも多く歩み過ぎたのではないですか。

感情に頼ったところで、なんら助けになるとは思ってなかったのですか。

ですが、悲しみを受け入れる過程もそれに負けず劣らず大事だったのです。

偽りの理性で固めたところで、その中は腐って膿んでいくのですから。

最初は辛く大変で、壊れてしまいそうでも受け入れ続ければ少しずつ良くなります。

理性が初めて壊れた瞬間で、気分が少しスッキリしたと彼は語っています。彼の体が腐りゆく幻覚と、管理人に対する強い怒りはまだ残っています。しかし彼は、かつて感じることが出来なかった絶望を心の底から感じることができるようになりました。管理人が自分たちに与えたものは「希望の種」で、腐りゆく傷の苦痛からやがて希望が育つと言います。

イェソド:「分別できる理性」