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緑黄
最後の夏祭り
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振り返ったみこちゃんが 浴衣の袖を揺らしながらふわりと微笑む
夕暮れ時の神社には、屋台の明かりが ぽつぽつと灯り始めていた
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俺は苦笑いしながらその背中を追いかける
一歳の頃からずっと一緒にいた幼馴染
出会った時から今まで みこちゃんの隣は俺の特等席だった
…、だけどそれも今日で終わる
この夏祭りが終わったら みこちゃんは遠くの街へ引っ越してしまうから
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いつも通りの優しい声で笑い合う
切ない気持ちを隠すように俺たちははしゃいだ
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みこちゃんの楽しそうな顔を見る度 胸の奥がぎゅっと締め付けられる
本当は行かないで欲しい
ずっとここに居て欲しい
言葉にできない思いが、喉の奥にそっと溜まっていく
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人混みが激しくなって みこちゃんの身体が小さくよろめいた
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俺は思わず其の手を掴んだ
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みこちゃんは赤くなった顔を隠すように、はにかんだ
繋いだ手からトクトクと早い鼓動が伝わってくる
これが俺のものなのか、みこちゃんのものなのかは 分からなかった
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俺はみこちゃんのことが好き
ずっと、ずっと前から
でも、みこちゃんがどう思っているかは分からない
いつも優しくて、誰にでも平等で
俺の事は唯の「幼馴染」だと思っているに違いない
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ヒ ュ ー バ ァ ァ ァ ァ ン
やがて、祭りの終わりを告げる 花火が夜空に打ち上がった
ドーンと大きな音が響き、夜空が大輪の光で染まる
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光に照らされたみこちゃんの横顔は 息を飲むほど美しかった
その瞳に、小さな涙の粒が光っているのが見えた
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みこちゃんが真っ直ぐに見つめる
その瞳にある感情が何なのか 俺には測りきれなかった
唯、その優しい声が 酷く切なく響いた
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花火に紛れそうな小さな声で 俺は生まれて初めての告白をした
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みこちゃんは一瞬目を見開いて、それから 今までに見たことがないくらい 切なくて甘酸っぱい笑顔を見せた
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其れが、恋の答えなのか、 幼馴染としての親愛なのかは分からない
だけど、みこちゃんの頬を伝った一筋の涙が 花火の光を反射してきらきらと輝いていた
ド ォ ォ ォ ォ ォ ン
遠くで最後の大きな花火が弾ける
一瞬だけ夜を昼間の短さへと変えた光の中で
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俺たちは繋いだ手を、どちらからともなく ぎゅっと握りしめあった
雛
6,446
ぁぉ 。
5,222
碓氷 アイコン変えました
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コメント
1件
みぅです🥀 読ませてもらいました…すごく切なくて綺麗な話でしたね。 幼馴染の距離感が絶妙で、二人のやりとりの一つひとつがぎゅっとなる。特に花火の音に紛れて「大好きだよ」って言うシーン、すちくんの勇気が尊すぎて泣きそうになりました。みこちゃんの「いちばん特別」という返しも、恋とも友情とも取れる曖昧さが逆にリアルで良かったです。 最後の花火の光の中で手をぎゅっと握りしめ合う描写、切なさと温かさが混ざって、じんわり心に残りました。浴衣の描写とか、夏の匂いが感じられるような空気感も好きです。続き、読みたいな…🌙