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僕は、ロウソクとして生まれてきた
いつかは消えてしまう僕は、誰か他の人間に寄生しなければ生き続けられない
母は言った
「人間のことなど考えるな」
「人間に寄生することが出来ればお前は」
「300年は生きられる」
そんなことを母に言われてから、3ヶ月が経った
このままではあと1ヶ月もすれば死んでしまう
だから僕は、 この場所で最初に出会った人間に寄生する、と
心に強く決めた
…
「なにしてるの?」
ろうそく
ろうそく
茜
茜
ろうそく
ろうそく
茜
ろうそく
ろうそく
ろうそく
ろうそく
茜
ろうそく
茜
茜
ろうそく
茜
茜
にゃこ
茜
茜
茜
茜
茜
茜
ろうそく
ろうそく
ろうそく
母は言った
「人間に寄生すると、された人間の人格は死ぬことになる」
「そして、寄生した私達の人格も死ぬことになる」
「ただ」
「記憶と人格は全て失えど、身体の主導権を握るのは我々ロウソクなのだ」
次の日
トン、トン、トン(足音)
ろうそく
茜
茜
ろうそく
茜
僕達は街端でばったり会った
でも、意外と
あの日は、悪くはなかった
茜
ろうそく
茜
茜
そして
気づけば彼女と出会ってから2週間が経っていた
茜
茜
ろうそく
茜
ろうそく
この日はいつも通り、彼女と待ち合わせをしていた
そんな時だった
…
「なにをしているの?ロウソク」
背筋が凍った
耳元で囁かれるように聞こえたその声は
紛れもなく、母の声だった
…
「なにをしているの?ロウソク」
「お前の妹はもう寄生に成功しているのだぞ」
ろうそく
ろうそく
茜
茜
ろうそく
…忘れていた
僕は、あと2週間で誰かに寄生しなくてはいけない
誰かの命を、奪わなくてはいけない
茜
茜
ろうそく
ろうそく
茜
ろうそく
茜
…僕は
これまであったこと、さっきのこと その全てを彼女に話した
茜
ろうそく
ろうそく
茜
茜
ろうそく
茜
茜
茜
茜
…
…?
一瞬、耳を疑った
ろうそく
茜
茜
茜
ろうそく
茜
茜
茜
茜
茜
茜
茜
ろうそく
ろうそく
茜
ろうそく
茜
寄生をするには
寄生する人間に、自分の肩を触ってもらわなくてはいけない
…
寄生をする直前、 寄生先の人間の記憶がこちらに流れてくる
…
……
「ダメだ!!!」
ろうそく
茜
…
誰かがそう、僕達に言ってきた
でも、その声の主は、どこにもいないようだ
ろうそく
茜
茜
にゃこ
茜
ろうそく
茜
茜
にゃこ
ろうそく
ろうそく
ろうそく
茜
茜
茜
ろうそく
茜
茜
ろうそく
どうやらこの猫、にゃこの声は
これまで彼女にしか聞こえていなかったらしい
茜
茜
茜
茜
茜
にゃこ
ろうそく
全部、知ってる話だった
寄生する時、寄生される側の人間の記憶がこちら側に流れ込んでくる
全部、知ってる話
寄生の件は一旦保留になり、その日は街を歩いていた
そんな時だった
茜
不在着信
彼女から、1件の不在着信が届いていた
携帯を手に取り、彼女に折り返し電話をかけた
…
「どうしたの?いきなり電話なんて」
…
「…いいの」
…
「え?」
…
「全部、どうでもいいの」
「もう全部、知っちゃったから」
…
「ど、どういうこと…?」
…
「…分かってるんじゃないの?」
「”寄生先の人間の記憶が流れ込んでくる” そうでしょ?」
!!
…
「…なんでそれを」
…
「私も、君も」
「同じだったってこと」
「お前の妹はもう寄生に成功しているのだぞ」
…
「バカらしい」
「あれじゃまるで」
「私を見てるみたいじゃない」
気づいた頃には、僕は彼女の家の前にいた
…
…いや
彼女、じゃない
茜
茜
ろうそく
茜
茜
…
終