【青桃】独占欲

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するりと俺の手に触れる手のひら

それは、俺の恋人でもメンバーでもない、今日知り合ったばかりの30代の男のものだった

あくまでもこれは仕事である、ということを踏まえ、ぎこちない笑顔を貼り付ける

不敵に笑うその男性は、大手デザイン会社の社長で、元は俺から契約を取り付けようと連絡をした

そこから今日の直接会っての話し合いにまで漕ぎつけた

男の手が、俺の手を撫でるように動く

男は、その手のひらをずらし俺のふとももに触れようとする

スッ…

出来るだけ自然に距離をとり、話を続ける

男の手が、俺の頭を撫で、そのまま頬に触れる

分かっていた筈だ

社長になる、と決めた時点で。"こういうこと"もしなければいけないかもしれない、と

それでも嫌悪感が拭えないのは、本能的なものか、あるいは…恋人である彼の存在からか

どちらにせよこのまま流されてはいけない

俺は、男が俺の手のひらを握り指先にキスをする姿を無力にも眺めていた

ちょっと耐えれば、契約が取れるし関係も悪化しない筈だ

途端に、男は俺の腰に手を回し客座用の椅子に押し倒す

ガチャ…！

資料片手に扉を開いたまろが固まる

男は怯むことなく言い放つ

まろは男を睨みつけたかと思うと、俺を抱き寄せる

俺を見つめながら目を細める男

俺はまろの耳元に口を寄せる

まろは大きなため息をつき、こめかみを抑える

怪訝な顔をする男に再び目線を戻す

バッグを握り、立ち上がる男

ガチャ…

俺はまろに身体を預けながらソファに座る

まろは俺をくるっとひっくり返し、向き合う形になる

逃がさない、とでも言うような郡青の瞳

声が尻すぼみになってしまったのは許して欲しい

所謂上書き、とやらをするように俺の頭と頬を撫で、太ももに触れるまろ

あいつに触られた時は、ゾワゾワしただけだったのに

まろに触られると、ふわふわする

続けて俺の手に触れたまろが、顔を顰める

チッと舌打ちを溢すと、俺の手を持ち上げるまろ