マイク・モートン
鉄の扉の前で軽く身繕いした。乱れた襟元を正して、髪を撫で付ける。ドアノブを回して中に入ると、すぐに男の声がノートンを迎えた
ノートン・キャンベル
リビングに入るとマイクがソファに寝転んでテレビを見ていた。愛想笑いの延長のような声ばかり大きな笑い声がテレビから流れている。
マイク・モートン
ノートン・キャンベル
お腹が空いていた訳ではないけれど、口寂しい気持ちはある。何かあれば口に放るくらいはしたいかもしれない、そんな気持ちで問いかけると、マイクが身体を起こしてテーブルを指さした。テーブルには食べかけのスナック菓子、パーティー開けした銀袋の上には粉々になったポテトチップスのカスと、一枚だけ残った丸々としたそれ。マイクは最後の一枚を手に取ると顔を上に向けてぱくりと、そのポテトチップスを口に放り込んだ。パリパリと不愉快な笑い声と同じくらい不愉快な音を響かせながらマイクがにんまりと笑う。反射的にムッとした顔を作るがすぐにため息と一緒に霧散させた。 ノートンはキッチンに向かい冷凍庫を開く、何かあるだろうかと見回して、冷凍の枝豆を見つけた。枝豆をザルにあけて水にさらす、まだ氷ったままだが面倒だったのでさっさと皿に取り出した。
もっPu
マイク・モートン
ノートン・キャンベル
皿をテーブルに置いてマイクの隣に腰掛ける。さっき直したばかりの襟元を崩す、少しだけ何やってるんだろうと馬鹿らしくなった。ちょうどそのタイミングで、スマホのバイブが震える。
マイク・モートン
ノートン・キャンベル
マイク・モートン
ノートン・キャンベル
スマホはさっきまで一緒に居た彼女からのものだった。謝罪が綴られたトーク部屋に、ノートンはため息を零した。世間一般では喧嘩になるのだろうが、ノートンからすれば些細な行き違いだ。頭を冷やしてまた何事も無かったように互いを尊重できればいい。けれど大抵の女はこういう時まるで世界の終わりのように謝罪を重ね、最後にしたくないとのたまう。そんなこと一言も言った覚えはないというのに。 ノートンはこうしたやり取りが酷く億劫だった。自分の顔色を伺う女が苦手で、いつも付き合う女は自立しているキャリアウーマンが多かった。金銭的に、精神的に自立していれば、自分の些細な行動など気にも止めないだろうと。実際は、そういう女ほど面倒臭いことが多かっ
もっPu
マイク・モートン
ノートン・キャンベル
マイク・モートン
マイクがまだ凍ったままの枝豆を手に取って、身の部分を指で強く押している。ずるりと凍ったまま豆が出てきて、マイクはそれを見てほくそ笑んでだ。
ノートン・キャンベル
マイク・モートン
テレビのリモコンを手に取った瞬間に止められる。面倒臭いやつだなと思いながら視線をテレビに向けた。テレビではよくある退屈なバラエティが流れている。芸人を筆頭としたタレントがひとつのテーマにうるさいほど騒いで、パッと見では盛り上がっている。ノートンには、あまりに退屈な番組ではあったけれど。
ノートン・キャンベル
マイク・モートン
ノートン・キャンベル
マイク・モートン
翡翠の瞳がついっと細くなり、数度瞬くその度に、部屋のライトに反射して星が煌めくよう輝いた。
ノートン・キャンベル
ノートン・キャンベル
マイク・モートン
チャンネルを変える。この時間のニュースを見るのが好きだったので、迷わずニュース番組を選んでつける。 マイクは身を食べきってからになった枝豆のさやをポイッと皿に戻して、大きく伸びをして立ち上がった。
マイク・モートン
失礼すぎる呟きを残して、本当の嘘つきが部屋に戻る。ノートンはマイクの背中を見送って、些か出しすぎたかと、枝豆の山に手を伸ばす。 枝豆はまだ、凍ったままだ。
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コメント
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(´∀`*)ケラケラ←
うん(?)
ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ…w