悠真
…ごめんなさい。
ない💕
え…?
ゆうす💛
悠真…?
悠真…いつの間に目を覚ましたんや…? もしかして、今までの会話とか 聞こえてたんかな…?
急に謝罪の言葉を 述べた悠真に対して、 俺たちは驚きを隠せなかった。
ゆうす💛
悠真…何で
謝ってるんや…?
謝ってるんや…?
悠真
僕…寝ている間に
何かしちゃったんでしょ…?
何かしちゃったんでしょ…?
悠真
だから2人を
困らせちゃってるん
だよね…?
困らせちゃってるん
だよね…?
悠真
…僕、寝ている間の
ことは覚えてないけど…
ことは覚えてないけど…
悠真
何かしたことは
ちゃんと分かるよ…?
ちゃんと分かるよ…?
ない💕
悠真…
俺たちは何を言えばいいのか 分からず仕舞いだったが、 悠真は何かを察して もう一度謝罪の言葉を述べた。
悠真
迷惑かけちゃって、
ごめんなさい。
ごめんなさい。
そう言うと悠真は、 丁寧にお辞儀をして 静かにリビングから姿を消した。
ゆうす💛
あッ…
ゆうす💛
行ってもうた…か。
ない💕
自分の部屋かな…?
ゆうす💛
多分そうやろな…
悠真も気持ちの整理が
ついてないんやと思う…
悠真も気持ちの整理が
ついてないんやと思う…
ない💕
…ごめん、俺が
大きい声出したから…!
大きい声出したから…!
ゆうす💛
いやいや!💦
今回のことは誰も
悪くないんやから!
今回のことは誰も
悪くないんやから!
ゆうす💛
ない💕も、自分を
責めすぎなや?
責めすぎなや?
ない💕
わ、わかった…
悠真の部屋
悠真
…
…一緒にいるのが辛くて リビングから出てきちゃった…
また失敗か、と肩を落としながら ベッドに座って壁にもたれた。
悠真
いつになったら…
僕はみんなに
恩返し出来るのかな…
僕はみんなに
恩返し出来るのかな…
もう、僕の目の前は真っ暗だ。 何も考えられないし、 希望なんて見つからなかった。
悠真
愁くん…ボソッ
とっさに僕は愁くんの名前を呼んだ。
来てくれないのは 分かっているはずなのに。 どうすればいいか 分からなくなってしまって、 届かない声を漏らしてしまう。
すると…僕の心臓が 強く鼓動を打った。
悠真
ドクッ!
ッ…!!
ッ…!!
愁
お!悠真~!
久しぶりだな!
久しぶりだな!
悠真
愁くん…
…そっか、愁くんが ここにいるってことは 僕の感情で姿を作り出しているから… 僕には今、感情がないんだった。
愁
…もしかして悠真、
俺の名前…呼んでくれた?
俺の名前…呼んでくれた?
悠真
あ…ごめん。
迷惑だったよね…
迷惑だったよね…
愁
いやいや!
全然迷惑じゃないから!
全然迷惑じゃないから!
愁
ちょっと俺の心が
温かくなった気がした
からさ…もしかしたらって
思って!
温かくなった気がした
からさ…もしかしたらって
思って!
悠真
名前呼ばれるの…
嬉しいの?
嬉しいの?
愁
そりゃ嬉しいよ!
前にも話したかもだけど、
俺には仕事仲間はいるけど
友達とかはいないんだってw
前にも話したかもだけど、
俺には仕事仲間はいるけど
友達とかはいないんだってw
愁
だから名前とか
呼んでくれる人は
少なくてさ~…でも今日、
悠真が名前を呼んでくれたから
俺は嬉しかったってこと!
呼んでくれる人は
少なくてさ~…でも今日、
悠真が名前を呼んでくれたから
俺は嬉しかったってこと!
悠真
へ~…
愁
相変わらず
リアクション
薄いんだなw
リアクション
薄いんだなw
愁
…で、悠真が
俺の名前を呼んだって
ことは、何か悩み事とか
相談があるって事だよな?
俺の名前を呼んだって
ことは、何か悩み事とか
相談があるって事だよな?
悠真
そう…実は
お願いがあって…
お願いがあって…
愁
お願い…?
どんなやつ?
どんなやつ?
悠真
…僕をさ、
愁くんのいる場所に
連れて行ってほしい。
愁くんのいる場所に
連れて行ってほしい。
悠真
…僕をさ、
愁くんのいる場所に
連れて行ってほしい。
愁くんのいる場所に
連れて行ってほしい。
愁
…は?
何を言ってるんだ、悠真…? 俺のところに来るってことは…
愁
タヒぬってことだぞ…?
悠真
…知ってるよニコッ
そう言って悠真は 作ったような笑顔を見せた。
悠真
僕は…改めて思った。
生きてちゃだめだ…って。
生きてちゃだめだ…って。
愁
き、きっかけは…?
悠真
…最近ね、不思議な
夢を見るんだ。
夢を見るんだ。
愁
不思議な夢…?
悠真
そう。僕はね、
その夢の中で
たくさんの悪口を
言われるんだ。
その夢の中で
たくさんの悪口を
言われるんだ。
悠真
耳を塞いでも
その声は聞こえてくる。
その声は聞こえてくる。
悠真
その後は誰かが
僕に近づいてきて、
僕の首を締めて
殺そうとしてくるんだ。
僕に近づいてきて、
僕の首を締めて
殺そうとしてくるんだ。
愁
誰だよ…
そんなことする奴は…!
そんなことする奴は…!
悠真
…それが僕だった。
愁
え…?
悠真
…今まで気づかなかった。
僕は、自傷行為だけじゃなくて
無意識の中で自分を殺そうと
してたんだ。
僕は、自傷行為だけじゃなくて
無意識の中で自分を殺そうと
してたんだ。
悠真
夢の中で首を
締められている時は、
現実で僕が自分の首を
締めていたんだ。
締められている時は、
現実で僕が自分の首を
締めていたんだ。
愁
そん…な…
悠真
…その行動のせいで
身の回りの人達が
悩んで、苦しんで、
悲しんでいるんだ。
身の回りの人達が
悩んで、苦しんで、
悲しんでいるんだ。
悠真
僕の身の回りの人には…
笑っていてほしいんだ。
僕がたくさん悲しませて
きてしまったから。
笑っていてほしいんだ。
僕がたくさん悲しませて
きてしまったから。
愁
何か…解決策は…?
悠真
…ない。
僕がタヒぬだけ。
僕がタヒぬだけ。
悠真の話を一通り聞いて 俺が絶句していた時、 悠真が口を開いた。
悠真
…愁くん。
愁
どうしたの…?
悠真
…僕がみんなと
シェアハウスする時、
愁くんは『お試し期間』を
作ってくれたよね。
シェアハウスする時、
愁くんは『お試し期間』を
作ってくれたよね。
愁
そうだったな…w
悠真
確かあのお試し期間は…
1週間だったはず。
1週間だったはず。
悠真
もう僕たちがシェアハウス
してから、1週間以上は
経っているよね…?
してから、1週間以上は
経っているよね…?
愁
…うん、
とっくに
過ぎてるよ。
とっくに
過ぎてるよ。
悠真
あの時の約束…
まだ覚えてる?
まだ覚えてる?
愁
…もちろん覚えているよ。
愁
『辛かったらまた
俺のところに来たらいい!』…
だろ?ニコッ
俺のところに来たらいい!』…
だろ?ニコッ
悠真
そうだね…ニコッ
愁
…じゃあ悠真、
ずっと俺のところに
来るんじゃなくて、
1週間だけ俺のところに
いたらいいんじゃない?
ずっと俺のところに
来るんじゃなくて、
1週間だけ俺のところに
いたらいいんじゃない?
悠真
…!!
何で…!?
何で…!?
愁
…悪いけど、これは
『生とタヒの境』に
行くことの条件なんだ。
『生とタヒの境』に
行くことの条件なんだ。
愁
『生とタヒの境』に
1週間以上いると、
悠真は無理矢理にでも
『天界』に連れていかれる。
1週間以上いると、
悠真は無理矢理にでも
『天界』に連れていかれる。
愁
『生とタヒの境』の更に奥…
要するに『天界』には
一度入れば出てくることは
出来ないんだ…
要するに『天界』には
一度入れば出てくることは
出来ないんだ…
愁
そこに行けるのは
人生を生き抜いた者…
…病気や殺された人、
何かしらの理由がある
人だけなんだ。
人生を生き抜いた者…
…病気や殺された人、
何かしらの理由がある
人だけなんだ。
愁
…でも悠真の事を
『必要と思っている人』が
いるみたいだね。
『必要と思っている人』が
いるみたいだね。
愁
だったら天界に
連れていくことは
出来ないんだ…
ごめんね、悠真。
連れていくことは
出来ないんだ…
ごめんね、悠真。
悠真
…大丈夫、愁くんは
悪くないよ。
悪くないよ。
悠真
ごめん、僕ちょっと
疲れてるみたい…ニコッ
疲れてるみたい…ニコッ
悠真
変なことばっかり
話しちゃったね、
ごめん。
話しちゃったね、
ごめん。
愁
大丈夫だよ、悠真。
愁
1週間だけ、
俺のところへおいで!
俺のところへおいで!
愁
また楽しい話、
いっぱい聞かせてよ!
いっぱい聞かせてよ!
悠真
そんなに
たくさんないよ…
たくさんないよ…
愁
…まぁ、それは
置いておいて!
置いておいて!
愁
じゃあ悠真、
ベッドに横になって?
ベッドに横になって?
悠真
ん…(寝転んだ)
愁
…リラックスして
深呼吸をしながら
目を閉じて~…
深呼吸をしながら
目を閉じて~…
そうして俺は、悠真を 生とタヒの境へと誘(いざな)った。