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【終幕】読了しました……! 「いい子」を演じ続けたアリスが、本当の自分を消されて「ミラードール」として完成するラスト、すごく胸に響きました。特にセリーナが崩れていくシーン、アリスの中の本当の感情が一瞬顔を出すのに、ミラードールがそれを上書きしてしまう流れが切なくて。グレンが「アリスじゃないみたい」とつぶやく場面も、元の彼女を知る人たちの違和感が滲んでいて印象的でした。 「普通になりたい」が「普通を演じる人形」になる皮肉、桜城さんの描く人間の歪みの表現が本当に繊細で惹き込まれました。完結お疲れさまです🍀
私はアリス・ガーネット、13歳
どこにでもいるような、ただの女の子
私はずっと、家でも学校でも「いい子」を演じてきた
周りの人の反応を見て、 笑うべき場所で笑い、 怒るべき場所で怒り、 泣くべき場所で泣いていた
しかし、それは私自身の感情じゃなかった 「普通」になるための演技だった
教師
母親
父親
アリス
アリス
周りの人たちも、 一見すれば私を愛しているように見えた
しかし、 実際には私自身は愛されておらず、 「手のかからない、いい子」としての役割を 押し付けられているだけだった
周りの本心はわかっているはずなのに、 普通になりきることができない私に嫌気が差してしまう
父親
母親
アリス
このズレた笑い方、私は嫌いだ 鏡の前で練習しても治らないから、 癖になってしまっているのだろう
ほとんど集中できていなかったレッスンの帰り道
今では一人でいる時ですら、 いい子を演じようとするようになってしまう
アリス
日が沈み、 辺りは暗くなっていることに気づくと、 私は重たいカバンを手に持って、足早に帰路を急ぐ
「いい子」を求められ、 ぎこちない笑顔を作るだけで、 私の心の中は何も満たされず、 ずっと空っぽのままだった
アリス
その時、 奇妙な音楽が私の耳へ届く
その色は夜に溶け込み、 しかし、 光の粒がひとつ、 テントの入り口で揺れていた
何かの文字が書かれているようだけど、 消えかけているせいで上手く読めなかった
アリス
しかし、 私のこの行動が、 後に「普通」を求める私を、 「最も異常な存在」に変えてしまうきっかけだとは、 この時はまだ知らなかった
アリス
アリス
ヴィクター
ヴィクターに連れられてやってきた「作業所」 私は彼に「私ではない何か」に変えられてしまう気がして、 「戻れる」と叫んだ
脳裏にアンディの言葉が過ったからだ
しかし、 ヴィクターは激することもなく、 静かに否定した
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
アリス
アリス
私の言葉にヴィクターは優しい顔をした その表情は、 眉を顰めて歯を食いしばる表情よりも、 余程奇妙なものだった
内なる狂気を秘めているようだった
ヴィクター
ヴィクター
アリス
足元の床が不自然に光り、 私の体はロープで縛りつけられたかのように、 身動きが取れなかった
唯一動かせるのは、 自分の口だけだった
何をされるかわからない緊張感で、 私の心臓の音はどんどんスピードが速くなる
ヴィクター
ヴィクター
奇妙な白い光が、 私の全体を包み込む
アリス
私の叫びはどんどん小さくなり、 誰の耳にも届くことはなかった 永遠に
その後の記憶は、 もうない
光が私の目の前からなくなると、 満足げな表情をしたヴィクターがいました
ヴィクター
ヴィクターに見知らぬ少女の名前を呼ばれました 私ではないはずです しかし、
ミラードール
なぜかその名前に、 返事をしてしまいました 同時に懐かしい感情も、胸から溢れ出てきました
どうしてでしょうか 赤の他人のはずなのに、
ヴィクターは私を見て微笑み、 「新しい名前」を授けてくださりました
ヴィクター
「ミラードール」 とても神秘的で美しい名前を、 私は授かりました
ミラードール
ヴィクター
その言葉を聞いて、 私は胸が高鳴りました
私は次の興行のために、 舞台の掃除を行っていました
グレン
すると、 グレンが違う名前で私を呼びながら、 こちらへ駆け寄ってきました
「アリス」… さっきのヴィクターと同じ間違い 私はその、「アリス」という少女と似ていたのでしょうか? さっぱりです
「どうしたの?グレ…」
ミラードール
グレン
すぐに訂正したものの、 わかってもらえなくて非常に残念です
グレンは、 私に頭が入った箱を渡してきました
その頭は、 私にそっくりでした
ミラードール
グレン
彼がどんな気持ちで渡したのかは、 私には分かりませんが、 いつか使う日が来るのでしょう
私にできることは、 それを持っておくことだけです
「グレン、またパーツ持ってき…
ミラードール
グレン
ミラードール
グレン
私はスペアをつけろと言われましたが、 掃除を後回しにするわけにはいかなかったので、 そのまま彼から立ち去りました
グレンが私を呼び止めましたが、 私は自分の足を止めるつもりはありませんでした
グレン
一瞬だけ、 グレンが何かを言った声が聞こえましたが、 それよりも掃除を優先しました
私が掃除を終えた後、 セリーナが私に声をかけてきました
セリーナ
ミラードール
私がいつものように返事をすると、 セリーナは明らかに動揺した表情をしました
セリーナ
セリーナ
また「アリス」という名前 今まで会ってきた人たちも、 全員同じ名前で呼び間違えていました
「セリーナ、その子は私じゃ…
ミラードール
きっとそうだと思い、 私はセリーナに聞いてみました
もしかして、 アリスと私が似ているから、 重ねているんだろうと、考えました
セリーナ
しかし、 セリーナはまだ私が「アリス」と勘違いしているようで、 声が震えていました
ミラードール
セリーナ
セリーナ
すると、 セリーナは突然、 私に向かって、大きな声で叫びました
ミラードール
ミラードール
私は彼女たちが言う「アリス」を想像して、 声のトーンと振る舞いを完璧に演じました
セリーナ
パキッという音と共に、 セリーナの頬には、 ヒビが入っていました
セリーナのヒビはどんどん広がり、 セリーナの体はどんどん崩れていきます
セリーナ
セリーナ
セリーナ
「違うよ、今までのことも、嘘なんかじゃ…!!」
ミラードール
私の脳内から、 見知らぬ少女の否定する声が聞こえてきましたが、 私はお構いなく、答えを出しました
セリーナ
セリーナはどうやら、 納得がいっていないようでした
遂に両腕が、 完全に崩れ落ちてしまいました
セリーナ
セリーナが喋るたびに、 同じタイミングで体のパーツも崩れ落ちていきます
セリーナ
セリーナはその言葉の続きを最後まで言うことすらできず、 そのまま二度と喋らなくなっていました
今のセリーナの状態は、 割れた窓ガラスと同様の存在です
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターはそのまま、 セリーナの破片を片付けていきます
「セリーナ…ごめんなさ…」
ミラードール
私は、 セリーナの破片を見つめながら、 立ち去っていきました
翌日、 このフリークショーは新しい興行を始めようとしていました
私は手鏡を持ちながら、 髪を整えていました
ヴィクター
ヴィクター
「ヴィクター…早く私を戻し…」
ミラードール
「…」
私は完璧な笑顔を向けて、 楽屋から去りました
ただ… 時々聞こえる謎の少女の声が、 邪魔なんですけどね
ですが、 自然と私の脳内に 話しかけなくなりました
ヴィクター
あなたは「普通な自分」を求めますか? そうすれば、 私のようになれますよ
〜完〜