それは暑い夏の日のことだった。
葉月
叔父さん
駅を出て直ぐ、路上駐車された車から見知った男が現われる。 それは葉月の母の弟にあたる人物――つまり叔父さんだった。
葉月
叔父さん
葉月
叔父さん
そういって叔父さんは車のトビラを開き、葉月を招き入れた。
少し驚いたのは思っていたよりも最近の車だったことだろう。 エンジン音も少ないのに、車内は冷蔵庫みたいに冷えていた。
葉月
叔父さん
はっはっは、と叔父さんは軽く笑い飛ばし、運転席へと座る。 昔から叔父さんはこうだったことを葉月は今さら思い出した。
叔父さん
思いっきりアクセルをふかしながら叔父さんが言う。 身体がガックンとなりながら葉月はベルトを締めた。
葉月
車に揺さぶられ、葉月は呆れ顔で溜め息をつく。
こうして、葉月の長い夏休みは始まるのだった。
叔父さん
葉月
叔父さんの家に着いた葉月は畳の床に腰を下ろす。 冷房の効いた車から解放されて、ひどく汗ばんだ。
叔父さん
葉月
叔父さん
叔父さんが台所の方へと消えていく。 それを見て葉月は少し気が楽になる。
葉月
葉月
そんなことをふと考えていると叔父さんが戻ってくる。 氷の入った麦茶を二つ。さらにおかわり用に瓶ごとだ。
叔父さん
葉月
葉月は叔父さんからストローの入っている方のコップを受け取る。
叔父さん
葉月
麦茶でカラカラの喉を潤していると、ふと葉月は眠気に襲われる。
葉月
そのまま葉月は、睡魔に抗えずウトウトと寝入ってしまう。
叔父さん
叔父さんがニヤリと笑ったが、葉月はそれに気付くこともなかった。
葉月
葉月
葉月
ヴヴヴ……という音が聞こえてくる。 葉月は、その出所が直ぐに分かった。
葉月
叔父さん
葉月
葉月
異物感に喘ぎ声を漏らす葉月。 状況は全く飲み込めなかった。
叔父さん
叔父さんは葉月ににじり寄る。 不気味な笑みを浮かべながら。
葉月
手足を縛られて身動きのとれない葉月は、ただ身体をよじるだけだった。
※ ※ ※
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お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
応答なし
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
応答なし
お母さん
葉月
葉月
葉月
お母さん
葉月
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
応答なし
お母さん
応答なし
お母さん
応答なし
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数週間後……
~8月31日~
叔父さん
葉月
葉月
叔父さん
葉月
葉月
叔父さん
葉月
叔父さん
葉月
葉月
それだけを言い残して、葉月は駅のホームへと去っていった。
叔父さん
その後ろ姿を見送る叔父さんの目は、酷く、いやらしかった。
葉月にとっての夏休みは、まだまだ終わってなどいなかった。
完
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