コメント
16件
これ見ながらライトきいちゃってガチで泣きました。ありがとうございます!
ことねさん…( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ ) ありがとうございます!!( *´꒳`* )
ぐぅさん…ぜひ話しましょうよおお!!! ( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ ) 話しましょおおお( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ )
犠牲の上の幸せ
その大きくなった手を繋いだり、 並んで隣を歩きたい。
その瞳から流れる涙を、 拭ってあげたい。
そのきれいな体を抱きしめ、 優しく包んであげたい。
そのキレイな艶やかなかみにふれ、 そっと撫でてあげたい。
その僕を好きだと言う唇を、 塞いでしまいたい。
…そんな衝動を抑えるのに、 いつも必死だった。
グクside
その日の放課後、 僕は第二音楽室の前にいた。
6限目が終わってすぐに。
テヒョニヒョンは7限目までだから、 ここで待っていたらきっと来るはず。
本当に… テヒョニヒョンが伴奏者の代理を努めてくれているなら、 この教室にやってくるはずだから。
正直、 来てほしい気持ちと来てほしくない気持ちは同じくらいあった。
だって、 もし… テヒョニヒョンがきてくれたら、 今度こそ僕はわからなくなってしまうから。
テヒョニヒョンの、 気持ちが…。
あれだけ突き放すくせに… どうして、 ここまで僕のために動いてくれるの?
テヒョニヒョンは一生徒としてと言ってるけど、 ここまできたら… 誰でも、 勘違いしてしまうよ。
もし、 テヒョニヒョンが代理をしていたら…
どれだけ拒まれてもなんでも、 話をしよう。
僕が、 どれだけ好きか、 ぶつけてしまおう。
________
もう7時限目も終わった時間。
上級者達が下校し始めているのが、 窓の外に見える。
10分…20分… テヒョニヒョンは、 30分が過ぎても来る気配はなかった。
JUNGKOOK
来るわけないか…と思いながら、 ショックを受けている自分がいた。
やっぱり僕は、 自惚れすぎだな。
なんだか恥ずかしくなってきて、 髪を触る。
JUNGKOOK
そう、 思った瞬間だった。
慌てた様子の足音が聞こえてきて、 思わずその足音の方向に視線を向ける。
すると角から曲がってここに来たのは、 息を切らしたテヒョニヒョンだった。
JUNGKOOK
V
JUNGKOOK
JUNGKOOK
僕の顔を見て同じことを思ったのか、 目を見開いてこっちを見ている。
そして、 僕は気づいた。
テヒョニヒョンが… 伴奏の楽譜を持っていることに…。
JUNGKOOK
JUNGKOOK
嫌いだ、 鬱陶しい、 って突き放すくせに、 保健室で助けに来てくれたり、 放課後に遅くまで待っていてくれたり、 知らないけど、
ゆかりさんにも何か言ってくれたようだし、 手伝いだって… 僕の代わりにしてくれるし…。
V
V
V
僕の横を通り過ぎ、 去っていこうとするテヒョニヒョン。
僕はとっさにその手を握り、 引き止めた。
ビクッと、 反応するテヒョニヒョン。
JUNGKOOK
そのまま、 背中に抱きついた。
JUNGKOOK
微動だにしない、 テヒョニヒョン。
JUNGKOOK
V
もうこれ以上ないってくらい好きなのに、 日に日に想いが増していくばかり。
持て余しているこの想いを、 もうどうすればいいのかわからないんだ。
ねぇテヒョニヒョン。
JUNGKOOK
忘れるなんてできない。
思い出になんて、 どう頑張ってもできなかった。
テヒョニヒョンが僕の前から去ってから、 たった一度たりとも、 他の人に目移りしたことなんてなかった。
テヒョニヒョンだけが特別で、 テヒョニヒョン以外はなんとも思えない。
粘着質だって、 重いって、 わかってるんだけど… 自覚してるんだけど…でもっ… テヒョニヒョンしか、 見えなんだよっ…。
すると突然、 こちらを向いたテヒョニヒョン。
その腕は、 僕を優しく包み込んだ。
JUNGKOOK
JUNGKOOK
僕は今、 テヒョニヒョンに抱きしめられている。
信じられない現実に、 頭の中は色をなくす。
V
何? どうしたんですか、 テヒョニヒョン…?
僕は静かに目をつむって、 耳を澄ませた。
そして1分くらい、 たったころだろうか。
その時間は、 僕にとって本当に夢のようだった。
V
夢から覚める一言に、 視界が滲む。
テヒョニヒョンはそっと僕を離し、 顔を背けた。
V
V
呆然と立ち尽くし、 涙で歪んで前が見えない。
V
追い打ちをかけるテヒョニヒョンのセリフに、 遂に涙は溢れた。
本当に…意味が、 わからないよ。
JUNGKOOK
JUNGKOOK
JUNGKOOK
JUNGKOOK
JUNGKOOK
頭がおかしくなりそうだった。
矛盾だらけのテヒョニヒョンの行動と、 セリフ、 態度、 その全てに。
V
V
呆れたようにそう言って、 背を向けるテヒョニヒョン。
JUNGKOOK
僕は未練がましく、 また引き止めようとした。
でも、 もうテヒョニヒョンはいつものような冷たい顔をしていて、 僕を睨みつける。
V
その言葉は、 僕をどん底に突き落とす魔法の言葉。
________
とぼとぼと、 おぼつかない足取りで歩く。
外はすでに暗くなり始めていて、 ふと、 空を見上げた。
ぽつり、 と、 冷たいものが頬に落ちる。
JUNGKOOK
突然降り出した雨は、 一気に勢いを増し、 僕の体を濡らした。
JUNGKOOK
今は、 雨に濡れたい気分。
何を、 と聞かれたら具体的には答えられないけど、 すべてを洗い流したい気分だった。
ふと、 正門付近を見ると、 女の人2人組が相合い傘をしながら帰る姿が見えた。
羨ましい。
その感情が、 胸に芽生える。
僕じゃない2人が、 羨ましくて仕方がない。
テヒョニヒョンに好きになってもらえる可能性を持った人が、 たまらなく羨ましくて仕方なかった。
V
僕は… 僕以外になりたい。
JUNGKOOK
テヒョニヒョンに好きになってもらえない僕なんて、 なんの意味もないんじゃないかと思ってしまう。
今すぐ僕じゃない誰かになって、 愛されたい。
テヒョニヒョンだけで… いいから。
ほかの誰から嫌われたって、 テヒョニヒョンが僕を好きだって言ってくれたら… もうそれだけでいいから。
なんて… そんな僕の願いは、 叶わない…。
立っているのもしんどくなり、 その場にしゃがみこむ。
雨に濡れたせいか、 さっきの出来事のせいか、 体がひどく重い、 ダルい。
心なしか、 冷えきっている気がして、 体を手で覆った。
JUNGKOOK
それは、 心か、 体か、 わからない。
担任の先生
前方から聞こえた声に、 顔だけを上げる。
JUNGKOOK
そこには、 部活動中なはずの先生がいた。
担任の先生
JUNGKOOK
JUNGKOOK
僕を心配してくれているんだろうけど、 そちらのほうが気になった。
担任の先生
JUNGKOOK
JUNGKOOK
たしかに、 時刻は6時すぎ。
もう終わっていてもいい時間ではあるけれど…。
それ以上、 聞く気力もないので黙り込んだ僕。
…頭が… 痛くなってきた。
担任の先生
先生の厚意すら、 なんだかしんどい。
JUNGKOOK
たしかに今、 精神的にもしんどいし、 誰かに甘えたい気分ではあるけど、 でも、 その誰かは特定の人物で、 その人以外には甘えたくない。
その人が僕を好きになってくれないからといって、 他の人に甘えようとは思えないし、 代わりになんてなるわけがない。
テヒョニヒョンがいなくなった場所は、 他の誰にも埋められないんだ。
担任の先生
断る僕に、 しつこくそう言ってくる先生。
どうすれば引き下がってくれるのか… と思いながら、 カバンの中から折り畳み傘を取り出した。