コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕に与えられた期限は一ヶ月
そのあいだに皇女の夫にふさわしい男性と、初兎様のお相手に相応しい女性を見つけなければならない
だけど、普段どおりに公務はこなさなきゃいけないし、推し活の時間を減らしたくもない
っていうか絶対に減らさない
僕の意地とプライドにかけて、全部の条件を満たしてやるんだから
🎲💎🩵
🎲🐱💙
🎲🐱💙
いふくんはそう口にし、僕を皇城の外へと連れ出す
すると、花々の咲き誇る我が自慢の庭園に、数十人の貴族の令嬢・令息達が集まっていた
テーブルにはお茶菓子や軽食がたくさん並んでいる
ガーデンパーティー――僕主催のお茶会の会場だ
モブ貴族達
僕の存在に気付くと、皆が一斉に頭を下げる
微笑しつつ、僕は密かに彼らのことを観察した
服装、立ち居振る舞い、醸し出す雰囲気――――そういったものは顔が見えずともわかるもの
たっぷりと一次評価をしたうえで、僕は集まった皆の顔をあげさせた
🎲💎🩵
右を見ても左を見ても眼福
美しい キラキラしている
もちろん、初兎様の美しさには敵わないけど、大したものだ
元々お茶会の予定は入れていたけど、こんなに大規模な予定じゃなかった
しかも、急に招待客を――――その趣旨に合わせて増やしてくれたいふくんは本当に優秀だと思う
🎲💎🩵
僕が言えば、彼らは
モブ貴族達
と答えた
🎲💎🩵
参加者全員に対してたっぷりと時間をかけることはできない
もちろん、集めた以上全員に声はかけるけど、絶対に優先順位は立てなきゃならないのだ
僕はひとまず一次評価の高かったもの――――場馴れしていておどおどしていなかった令嬢子息たちのほうを見遣り、そのなかからチラチラ視線を感じる数人をピックアップして、声をかけてみることにした
ちむにき
わたしが声をかけると、ひと組の男女が瞳を輝かせた
どちらも見目麗しく、顔のつくりがよく似ている
🎲🐱💙
🎲💎🩵
🎲💎🩵
いふくんの耳打ちを聞きつつ、僕は静かに返事をする
事前評判のとおり、兄のほうはガッチリと筋肉質な体型をしているし、妹のほうは理知的な顔立ちをしている
🎲💎🩵
現時点では『将来有望な人材候補』といったところだろうか
いや――――同年代で初兎様レベルの功績を立てているのがそもそも奇跡なんだけれども
🎲💎🩵
となると、候補者は既に面識のある人間に限られてくる
お茶会の参加者たちを思い返しつつ、僕は静かに唸り声をあげた
🎲💎🩵
とはいえ、早々と可能性を捨ててしまってはもったいない
実はとんでもない逸材かもしれないし、妹は初兎様のお相手にふさわしいかもしれないもん
僕はニコリと微笑みかけた
🌟❤️
🌟❤️
🎲💎🩵
なるほど――――それで2人は僕にお近づきになりたかったらしい
そりゃ、今後の出世に関わるもの
偉い人間に顔を売るのは大事なことだ
🎲💎🩵
ちむにき
ちむにき
2人はそう言って深々と礼をする
残念、僕が思っていたほど野心家ではないようだ
これ以上深い会話をする気がなさそうなので、気を取り直して次に行く
けれど、声をかけた誰もが当たり障りない会話をするばかりで、大した手応えを感じられなかった
🎲💎🩵
なにがなんでも僕に取り入りたいという人間は思った以上に少なかったようだ
それもそのはず
既に初兎様がわたしの結婚相手に選ばれたという噂が立っているし、我が国の女性は存外奥ゆかしい
そんなわけで、僕自ら探りを入れることにした
あの公爵令嬢――――はダメ
僕に対しては丁寧に接してくれるけど、気位の高さが見え隠れしているし、初兎様と結婚したら『自分が上』っていう態度をとるタイプだわ
そんな人と初兎様を結婚はさせられない
あっちの伯爵令嬢――――は可愛いけれど、あまり機転が利かなかった
本人も勉強は苦手だと言っていたし、残念ながら初兎様には似合わない
この子爵令嬢は――――総合的には悪くない
綺麗だし、受け答えや教養面も申し分ない
けれど、これといった決め手に欠ける
最上の女性を初兎様の結婚相手にって思っているのだから、この女性も厳しそうだ
🎲💎🩵
これでも皇女 人の上に立つ立場だし、これからそういう機会が増えるのは間違いない
けれど、現状『ここがダメ』『ここが足りない』なんて言えるほど人間ができてるとは思わない
だってまだ16歳だし 言うほど人生経験積んでないもん
🎲🐤❤️
とそのとき、背後から気安く声をかけられた
振り返れば、帝国内でも珍しい赤色の髪にポンパという髪型
僕のいとこ――公爵令息のりうちゃんがそこにいた
🎲💎🩵
🎲🐤❤️
🎲🐤❤️
🎲🐤❤️
騎士装束に身を包み、りうちゃんが微笑む
🎲💎🩵
物怖じしない態度、育ちの良さからにじみ出る気品、自信、実績
なによりもその身に流れている皇族の血の存在が大きい
僕達皇族は魔力を持たない
いや、正確には持てないといったほうが正しい
けれど、その代わりに神力と呼ばれる唯一無二の力を授かっている
それは国を守り、大地を浄化し、人々を癒し、導く力だ
血というものは、婚姻を繰り返す内にどうしたって薄くなる
始祖と比べたら、僕の神力なんて雀の涙程度だろう
だからこそ、皇族は皇族同士で婚姻を結ぶことが多い
薄くなってしまった血を、少しでも濃く保とうとするのだ
他に候補となりそうな人間が見つかれば話は別だけど、時間もあまりないことだし、りうちゃんを担ぎ上げるのが一番手っ取り早い気がする
🎲🐤❤️
りうちゃんは言いながらふふっと笑う
僕は首を横に振った
🎲🐤❤️
🎲🐤❤️
🎲🐤❤️
🎲💎🩵
🎲💎🩵
🎲💎🩵
詳細は省きつつ、わたしはりうちゃんにことの次第を説明する
🎲🐤❤️
🎲🐤❤️
彼は最低限の情報を与えるだけで大半のことを理解してくれる
会話をしていてとても楽な相手だ
🎲🐤❤️
🎲🐤❤️
さすがのりうちゃんも、この場に令嬢を集めた意味についてはすぐには理解できなかったらしい
僕は左右を確認してから、声をひそめた
🎲💎🩵
🎲💎🩵
🎲💎🩵
🎲🐇💜
🎲💎🩵
けれど、かえってきたのはりうちゃんとは違う声――――というか、絶対間違えようのない最上の響きだった
🎲💎🩵
うしろを振り返り、驚愕に目を見開けば、初兎様がニコリと微笑んだ