木兎
赤葦
先輩からの唐突な告白に、俺は動揺を隠せなかった。
確かに、俺も木兎さんとは仲良いと思うけど…
黙り込んだ俺を見て木兎さんは俯いた。
木兎
赤葦
木兎さんは気まずそうに頷いた。
赤葦
木兎
走り去る木兎さんの背を見ながら、俺は鼓動の早い胸を押さえた。
木葉
赤葦
赤葦の唐突なカミングアウトに俺は驚いた。
木葉
赤葦
好き、ではあるんだな。
そう察して俺は赤葦をまっすぐ見て告げた。
木葉
赤葦
こちらを見た赤葦はやがて何かを決意したようだ。
赤葦
木葉
木兎を探して駆け出す赤葦を見送り、俺は空を仰いで溜息をついた。
木葉
赤葦のこと、好きなのに。
木葉
1人で帰る道の途中、俺は自分を呼ぶ声がした気がして立ち止まった。
赤葦
木兎
振り返ると、自分が今歩いてきた道の途中に赤葦が走っているのが見えた。
木兎
俺が手を振ると赤葦は顔を綻ばさせた。
次の瞬間
赤葦の上気した顔が青ざめ、引きつった。
赤葦
木兎
振り返ってやっと理解した時にはもう遅かった。
暴走したトラックが自分の目の前に迫っていたのだ。
ドンッという鈍い衝撃が全身に走り、俺の体は宙を舞った。
何か叫びながら駆け寄ってくる赤葦の姿を最後に、俺の意識は暗闇に閉ざされた。
医者
医者の言葉を聞きながら俺はその場に呆然と立ち尽くしていた。
木兎さんが…死んだ?
ベッドの上の木兎さんはまるで眠っているだけのようで!今にも「赤葦!」とあの笑顔を見せてくれそうだった。
俺はベッドの横にしゃがみこみ、木兎さんの手を取った。 まだ、温かかった。
木兎さんの死が、受け止められなかった。
赤葦
その時、俺から連絡を受けた木葉さんが病室のカーテンを開けた。
木葉
赤葦
気が抜けたように告げた俺と、目を伏せて病室を出て行く医者を見て木葉さんは全てを理解した。
辛そうにしながらも、ゆっくりと俺にさとすように言った。
木葉
赤葦
徐々に温もりを失っていくその手を、俺は震えながらひたいに押し当てた。
赤葦
赤葦
赤葦
赤葦
赤葦
赤葦
赤葦
今まで、こんなに泣いたことがあったかってくらい泣き叫んだが木兎さんは目を覚ますことはなかった。
代わりに、温かさを失った手は、俺の手の中から滑り落ちた。
いつのまにか隣に来ていた木葉さんは、俺の肩を抱いて慰めようとしながら泣いていた。
俺たちはいつまでも泣き続けていた。
あれから数年後。
俺はとっくにあの時の木兎さんの年齢を越し、背も伸びた。
木兎さんがいなくなってからしばらくは塞ぎ込んでしまい、あんなに好きだった部活も出なかった。
そんな俺を木葉さんたちや音駒、烏野のみんなまでもが励ましてくれて今ではやっと普通の生活を送っている。
日向や黒尾さんは俺を慰めようとして逆に号泣してたっけ。
今日は木兎さんの命日。俺は1人墓の前にしゃがんでいた。
赤葦
墓石に刻まれたその名に触れ呟くと、木葉さんに声をかけられた。
木葉
赤葦
それから木葉さんもお参りをして、しばらく沈黙が続いた。
しばらくして木葉さんが切り出した。
木葉
赤葦
木葉
赤葦
木葉
赤葦
木葉
赤葦
思いがけない言葉に顔を赤くしながら、俺はゆっくりと頷いた。
木葉さんに優しく抱きしめられ、その温かさに俺は思わず涙をこぼした。
−fin−
コメント
34件
感動😭 泣ける 木兎さんが死ぬなんて… 赤アジィィィ 木葉さァァァん
まじむっちゃ泣けます
ちょっ…おい…いい話だけどうちの× なジャンルやw