誰かが僕を呼んでいる。
いや、もしかしたら呼んでないのかもしれない。
真っ暗闇の中で、僕が見たのは青色だった。
午前5時47分。いつもとあまり変わらない時間に起きる。
蒼士
昨日なんか変な速報流れてた気がする
蒼士
とりあえずチェックしてみるか
蒼士
あった…
蒼士
これ、だよな
蒼士
ドッペルゲンガーとか久々に聞いたよ
蒼士
現実味無さすぎて笑えてくる
麻友
蒼士おはよう
蒼士
ん、おはよー
この人は僕の母だ。たまにしか怒らなくて普段はめちゃくちゃに優しい。
麻友
蒼士、今日は私が学校まで送っていくわ。
蒼士
えっ
蒼士
なんで?
麻友
なんでもよ
蒼士
いやあ、いつもは行けるなら自分で行けスタイルなのに急にやっぱりってなるのはちょっと違和感しか
麻友
あなたもニュース見た?
蒼士
なんの?
麻友
ドッペルゲンガーの
蒼士
あー、アレか
麻友
そう。首相の。
蒼士
でもなんで
蒼士
別に僕一人でも行けるよ?
麻友
1人だと危ないから
蒼士
ドッペルゲンガーなんていないから笑
蒼士
信じる方が馬鹿
蒼士
大丈夫だよ
麻友
お願い蒼士
麻友
私の言うことを聞いて
麻友
あなたを失いたくない
蒼士
蒼士
そんなに、
蒼士
そんなに危ないの?
麻友
ええ
麻友
蒼士の友達も狙われてるかもしれない
麻友
もちろん、あなたもね。
蒼士
怖いこと言うなよ
蒼士
僕の友達なんて1人ぐらいしかいない
少し、嫌な予感がしてた。
でも、現実にしたくないから声は掛けなかった。
蒼士
分かったよ
蒼士
とりあえず今日は送ってって
蒼士
悠にもなんかあったら聞くから
蒼士
安心して
麻友
分かった
麻友
蒼士がそう言ってくれてほんとに良かった
蒼士
早く朝メシ食おうぜ
蒼士
お腹すいた
麻友
ちょっと待って
麻友
もうすぐご飯になるから
蒼士
僕もなんか手伝うよ
麻友
ありがとう