少女は言いました。
『好きです』と
何年越しの返事なのか…
でも彼は泣いてくれた。
『ありがとう』と…。
その言葉を待っていたのだから……。
中川 志穂
中川 志穂
私はコンクールに出す予定の 小説を書き終えると深い息をついた。
中川 志穂
中川 志穂
恋愛という未知の世界が…
やっと自分の手で描けるようになった。
それも全部…………
斎藤 悠里
隣で寝ている彼のおかげ。
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
ギリギリだった。
最後まで苦戦した。
なのに彼は隣にいてくれた。
私の……ために。
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
私は両腕に抱えていた原稿を悠里くんに向けて突き出した。
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
そう言って彼は原稿を受け取った。
何枚も何枚もじっくりみつめ 次第には涙を流していた。
原稿につかないようそっと。
まるで私は自分の心を見られている気分だった。
だってあの物語に書いてあるのは……
悠里くんへの私の想い…。 ただそれだけなのだから。
文化祭当日ー。
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
悠里くんの制服のそでを掴んで引っ張ると彼から妙な声が漏れる。
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
???
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
ようやく買えたたこ焼きを 彼は嬉しそうに頬張っていた。
楽しんでくれて何よりだ。 そう思うと同時に… 私の中の不安がこみあげて来る。
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
彼が好きだ。
今はそれだけで充分。
充分………だ。
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
無理に笑顔をつくった。
私の悪い癖だ。
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
???
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
何かが割れる音がした。
痛くて鈍い音だった。
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
彼は笑った。
でもそれは… 私の好きな笑顔じゃなかった。
辛そうな笑顔だった。
斎藤 悠里
中川 志穂
彼がいなくなると そこにはただ静けさが迫るばかりだった。
一年前。
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
文芸部1年だった私は ただひたすら流れる人々に 声をかけるばかりだった。
中川 志穂
こんな時、彼氏がいれば 退屈せずにすむのだろうか…
なんて恋愛漫画じみたことを考えながら妄想に浸っていたときだった。
???
中川 志穂
見慣れない制服… 染まった頭髪。穴の空いた耳。
私には未知の存在だった。
中川 志穂
中川 志穂
???
中川 志穂
???
姫島 太陽
姫島 太陽
中川 志穂
話しかけられたからいいと思った。
未知の存在だから知りたかった。
そんな軽い気持ちが……
いけなかった。
姫島 太陽
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
姫島 太陽
中川 志穂
扉が閉まる音がした。
嫌な音だ。
姫島 太陽
中川 志穂
中川 志穂
姫島 太陽
腕を引っ張られた時、 涙が出た。
必死で抗ったのにどうにもならなくて…
男の人の怖さを知った。
あぁ…誰もが少女漫画のようにはいかないんだ。
誰も助けてくれないんだって…
絶望したんだ。
中川 志穂
それでも叫んだ。
姫島 太陽
姫島 太陽
中川 志穂
姫島 太陽
中川 志穂
姫島 太陽
中川 志穂
誤った選択をしてしまった。
私の悪い癖だ。
でももう……誰もこないっ…………
それでも私はっ………
中川 志穂
そう叫んだ。
扉が開く音がした。
希望の音だった。
???
???
???
姫島 太陽
???
???
???
???
姫島 太陽
彼はそのまま走って逃げて行った。
私はずっと震えていた。
???
???
???
???
中川 志穂
???
???
???
中川 志穂
中川 志穂
???
中川 志穂
???
???
中川 志穂
中川 志穂
???
???
中川 志穂
彼は太陽のようだった。
その笑顔が疲れた心を癒やしてくれるのを感じていた。
私より少し背が高いだけなのに… 声変わりなんてしてないのに…
なんで…だろう……
中川 志穂
身体があつい……
???
???
中川 志穂
???
???
???
中川 志穂
???
???
彼はそう言って手を差し伸べた。 私より少し大きな手を。
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
あぁ…忘れていた。 彼は私のことをずっと見ていた。
それなのに私は彼を見てこなかった。 なんて最低なんだろう…。
私ははじめてばかりですぐに失敗する…もう嫌だ。
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
人混みの中で叫んでも 誰も気づいてくれない。
あぁ私って…やっぱり駄目な人。
中川 志穂
人混みがどんどん濃くなる… そのせいかたくさんの人に押しのけられる。
痛い…辛い…無理…しんどい…
泣きたい……。
中川 志穂
思えば彼はいつも泣いている私の隣にいた。それなのに…それなのに
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
ふいに誰かの足がひっかかり 身体が前に傾く。
こけるっ…… 目をつぶったときだった。
斎藤 悠里
腕がひっぱられ、身体ががくんと揺れる。
振り向くとそこには彼がいた。
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
はじめてだった。 怒る彼をみるのは……
とても辛そうだった。
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
なんで……なんで今…
こらえていた涙が溢れるのだろう。
ずっと我慢していたのにっ…
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
ふと彼の細い腕が飛び込んでくる。 抱きしめられていたのだ。
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
斎藤 悠里
中川 志穂
中川 志穂
中川 志穂
斎藤 悠里
斎藤 悠里
彼の優しさはやっぱり暖かかった。
私のなかの『センチメンタル』を 優しく溶かすように。
優しく抱きしめてくれた。
そう…優しく。
私の初恋はたった1人の英雄でした。
ƒ¡ɳ。