澪
プロローグ
高校一年生のないこは、人と関わるのが少し苦手な内気な女の子。彼女には数少ない大切な友達がいる。無邪気で純粋なほとけ、そして、ネットを通じて知り合った唯一の親友であるまろ(本名:いふ)。まろとは、お互いに顔を合わせたことはないけれど、毎日のようにチャットでおしゃべりしている。
ある日、学校で目立つ男子、りうらと出会う。彼は自信満々で、女の子にモテることで知られる「女たらし」。最初は、そんな彼に少し引いていたないこだったが、ある日突然、彼から声をかけられる。
第一章: りうらとの出会い
「おい、ないこ。」
昼休み。ないこは、一人で屋上のベンチに座って、昼食を食べていた。その時、目の前に突然現れたのは、いつも女子に囲まれているりうらだった。
「え?あ、はい…?」と、驚きながらも答えるないこ。
「一緒に食べないか?ちょっと付き合えよ。」
そう言って、りうらはにっこりと笑った。
その笑顔に、ないこは少しドキッとする。だが、すぐに心の中で自分に言い聞かせた。『女たらしなんだよね、彼…。』
そう思うと、ちょっとだけ心の中でモヤモヤが広がる。
「えっと…でも、私は…」
「大丈夫だよ、ちょっとだけ。」
りうらの言葉に、ないこは断れず、少しだけ彼の隣に座った。
第二章: 鈍感すぎるないこ
その後も、りうらはしばしばないこにアプローチをかけてきた。廊下ですれ違うとき、わざと話しかけてきたり、食堂で偶然隣に座ったり…。
けれど、ないこはそれを全く気にしなかった。彼がなぜ自分にこんなにも関心を持っているのか、まったくわからない。というのも、ないこは周囲の空気を読みすぎるあまり、恋愛に関してはまったく鈍感だった。
ある日の放課後、りうらは学校の帰り道で、わざわざないこに近づいてきた。
「なあ、今日、どこか行かないか?」
「あ、あの…別に予定はないけど…」
「じゃあ、行こうよ。どこでもいいから。」
その優しい声に、ないこは少しだけ胸が高鳴った。でも、それ以上にりうらが誰にでも優しくしていることを知っていたため、彼の気持ちに気づかないまま、軽く断る。
第三章: ほんの少しの心の変化
だが、何度も何度もアプローチされているうちに、ないこは次第に気づくようになった。りうらが時々見せる、他の女子に見せる顔とは少し違う表情があったことを。
例えば、学校の文化祭で、りうらがふと目を合わせたとき、ほんの少しだけ彼の目が優しくなったような気がした。いつも自信満々で、どこか冷たさすら感じさせる彼が、時々見せる表情に心が動かされる。
それに気づくと同時に、ないこは自分の心が少しだけ揺れていることに気がついた。彼のことを…「もしかして、嫌いじゃないのかも…?」と思うようになった。
第四章: まろとのやりとり
そんなある日、まろからチャットが届いた。
「ないちゃん、またりうらくんに絡まれてるの?」
「うん…でも、なんだか前より気になるかも。」
「気になるって…まさか、恋してるのか?!やばい、ドキドキする!」
まろはあくまで冗談交じりに、でも心から喜んでくれている様子だった。ないこは少し照れくさくなりながらも、どこか嬉しそうだった。
第五章: りうらの真意
ある日、放課後に校庭でひとりぼっちでいると、再びりうらがやってきた。いつものように気軽に話しかけてきたが、今日はどこか真剣な表情をしている。
「ないこ、ちょっと話があるんだ。」
「…なに?」
「実は…お前のこと、少し気になってる。」
その言葉に、ないこは驚き、心臓がドキドキし始めた。
「え…でも、あなたは…」
「俺、いつも色んな女の子に声かけてるけど、今回は本気なんだ。」
「本気…?」
その時、りうらが少し照れくさそうに笑って言った。
「だから、今日はお前に告白するつもりだ。」
その言葉に、ないこの胸はさらに高鳴った。けれど、心の中で少しだけ不安がよぎる。『彼が本当に私のことを好きなのか…?それとも、また一時的な気まぐれなのか…?』
最終章: 気持ちを確かめる時
しばらく考えた後、ないこはゆっくりと答える。
「…私、まだあなたのことがよくわからない。でも、少しだけ信じてみたい。」
そう言って、りうらの目をしっかりと見つめた。
その瞬間、彼はにっこりと笑い、優しくないこの手を取った。
エピローグ
こうして、ないことりうらの関係は少しずつ深まり、周りの友達たちもその変化に気づき始める。特に、まろはいつも以上に応援してくれて、時々は恋愛相談にも乗ってくれる存在だった。
そして、ほとけや初兎、悠佑も、そんな二人を温かく見守りながら、ないこの恋が少しずつ成長していく様子を支えてくれるのだった。
