東京
うっ……う………

東京
……なんだこれ………

寝ぼけ眼で自分の手を見ると、指は細く、肌は驚くほどキメが細かい。慌てて布団をはぎ取ると、そこには見覚えのない曲線を描いた自分の体があった。
東京
は……? え、嘘だろ……

喉から出た声は、聞き慣れた自分の低い声ではなく、鈴を転がしたような、透き通った少女の声だった。混乱が脳を支配し、東京が鏡の前で自分の姿に絶句していた
東京
そういえば………遊ぶ約束してたな………

大阪
入るよ〜

大阪
えっ………

東京
あ、いや、大阪。これはその、違うんだ……

大阪
誰? なんで東京の部屋で東京のパジャマ着てるの?

大阪
て言うか、東京はどこ言ったのよ………

東京
俺だよ!! 東京だよ!! 起きたらこうなってたんだって……

大阪
嘘つけ、うちの幼なじみは、もっとこう……シュッとした、ちょっとスカした男だよ!!

大阪
こんなモデルみたいな可愛い子じゃない!!

東京
じゃあ、小学校の時、大阪が給食のたこ焼きを喉に詰まらせて、俺が背中叩きすぎて泣かせたことあっただろ!!

大阪
……なっ////// それは……偶然知ってるだけかも………//////

東京
じゃあ、中2の時、大阪が誰かに告白されて振られた後、俺の部屋で『一生独身で食い倒れてやる』って言いながらお徳用チョコ全部食ったことも知ってる!!

大阪
ストップ…/////やめぇ…//////それ以上言ったら、誰であれド突くよ!!/////

大阪
ほんとに東京なの………?

東京
だから、最初から言ってるだろ………

大阪
東京、めっちゃ可愛いじゃん。これはモテるよ、東京『ちゃん』w

東京
ちゃん付けで呼ぶな……… 冗談言ってる場合じゃないだろ、どうすんだよこれ…

東京
(自分の体をみてみるか………)

東京
っ…………

一瞬触れようとしたが、指先が触れる直前で、あまりの「女子感」に脳が拒否反応を起こした。自分の体なのに、他人の体を触るような猛烈な背徳感に襲われ、弾かれたように手を引っ込める。
東京
(次は、男子としてアイデンティティ――股間だ)

おそるおそるパジャマのズボンの中に手を差し込み、探ってみる。しかし、そこにあるはずの「いつもの感触」はどこにもない。
東京
……ない。本当に、何にもない……

大阪
ねえ、本当に女子になっちゃったんだよね!!

東京
ちょ、大阪、何する気だよ……

大阪は無表情のまま、確認するようにそこを直接触ってきた。指先に伝わるのは、間違いなく女子としての身体のラインだけ。東京の脳に、かつて経験したことのない衝撃が走る。
東京
……っ!!

東京
やめろよ……気持ち悪い!! 気持ち悪すぎだって!!

東京
なんだよ今の…!!お前、何考えてるんだよ………。

東京
男の時だってそんなことしなかっただろ!! なんで女子になった途端にそんなデリカシーのないことできるんだよ

東京
ああもう、最悪だ!! 感覚が……指の感触がまだ残ってる感じがして、マジで吐き気がする。気持ち悪い。生理的に無理だ!!

東京
幼なじみだからって許されるラインを余裕で越えてるだろ!! 自分の体が変わっただけでもパニックなのに、追い打ちをかけるみたいにそんな……

東京
変態かよ!! 気持ち悪い、本当に気持ち悪い!! 信じられない、一生のトラウマだよこれ…!!

大阪
だって、確認しないと実感が湧かないでしょ? 怒るってことは、ちゃんと感覚も女子になってるみたいだね。……あは、面白いw

大阪
はい!!

東京
……何だよ、これ……

大阪
見ればわかるでしょ? 私の予備のセーラー服。サイズ、今のあなたにピッタリだと思うよ!!

東京
無理だ!! こんなの着て行けるわけないだろ……///// 学校に連絡して休む、いや、本当のことを説明して……//////

大阪
とにかく、女子として振る舞ってね!!

東京
無理だ!! 振る舞い方なんてこれっぽっちも分かんないし、第一俺の心は男のままだぞ!!

大阪
わからないなら、私が今から叩き込んであげる。まずはその、ガサツな座り方から直そうか!!

東京
嫌だよ……
