ミサコ
ユカリ、またファッション課題で褒められてたね~
ミサコ
本当にすごい!将来、すごいデザイナーになるんだろうな~!
ユカリ
毎回、本当に時間かけて書いてるからうれしいよ!
ミサコ
ほんと、私とはレベルが全然違うよ...
ミサコ
ユカリになりたいな…
ユカリ
ミサコも先生に褒められてたじゃん!
ユカリ
私はミサコの細かいデザインとか、繊細さとか
ユカリ
すごく好きだよ!ミサコの服、着てみたいと思うよ
ミサコ
そういってもらえてうれしいよ!
ミサコ
そういえば、今度のデザインのコンペ、準備進めてる?
ユカリ
うん!
ユカリ
優勝した人は有名ファッション雑誌Aに掲載されて、ファッションショーでモデルが着るんでしょ?
ユカリ
学校で選考会されるんだってね~
ユカリ
その時は有名なファッションデザイナーも来て、評価されるんだって
ミサコ
厳しそうだけど、ファッションデザイナーになるきっかけになるかもね!
ミサコ
私、今回は遠慮なしで本気出す!
ユカリ
私こそ!絶対にコンペで優勝して、デザイナーに一歩近づきたい!
ミサコ
お互い恨みあいっこなしで、がんばろう!
~1週間後~
ミサコ
ユカリ~
ミサコ
どう?コンペのデザインの方進んでる?
ユカリ
うん!あと1週間後だもんね!
ユカリ
追い込んで仕上げてるよ!
ミサコ
私も!本当に追い込み!
ミサコ
昨日も2時まで起きてやってたからめちゃくちゃ眠い~
ミサコ
最近、インスタのストーリーに進行具合載せてるんだ~
ユカリ
今、見てみたけどミサコのデザインについてる花、私のと似てる気がするんだけど
ミサコ
え?そうなの?
ミサコ
たまたまじゃない?
ミサコ
私たち、好みで似てるところあるじゃん!
ユカリ
でも、花だけじゃなくてフリルのデザインも全く同じに見えるんだけど...?
ユカリ
私のデザインブック、もしかして見た?
ミサコ
そんな!見るわけないじゃん!
ミサコ
私が嘘ついてるって、言いたいの!?
ユカリ
違う...!そんなこと言ってないよ!確かめたかっただけ
ユカリ
ミサコが違う、っていうんだったら信じるよ
ミサコ
気にしすぎだよ!本当に、自分のデザインだから。
ミサコ
じゃあ、また明日学校でね!
~翌日~
ミサコ
ねえねえ、ユカリ~
ミサコ
今日の放課後、少しだけデザインでアドバイスくれない?
ユカリ
え?どうして?
ミサコ
実力のあるユカリにアドバイス聞けた方が、もっといいもの作れる気がして!
ミサコ
いつもみたいにアドバイスくれた方が、私も自信持てると思うんだ
ミサコ
友達だし、協力してくれるでしょ??
ユカリ
いつもは学校課題だからアドバイスしてきたけど、今回は特別だし...
ユカリ
自分の考えとセンスで恨みっこなしで勝負するんでしょ?
ミサコ
別に、アドバイスもらうだけだし、よくない?
ミサコ
少しだけ!お願い!
ミサコ
ユカリしか頼れる人、いないの!
ユカリ
今回は誰かに頼るのは違うと思うよ。
ユカリ
確かに、今回上手くいったらデザイナーになる夢につながると思う。
ユカリ
でも、それでデザイナーになったとしても100%ミサコの力じゃないから、後悔するんじゃない?
ミサコ
何それ!
ミサコ
自分のデザインの才能があれば、有能なデザイナーが集まる場所に行けるってこと!?
ミサコ
私のこと、馬鹿にしてるんでしょ!
ユカリ
そうじゃなくて!
ユカリ
ミサコには後悔してほしくないだけ!
ユカリ
100%自分の力で作ったデザインじゃなかったら、絶対に後悔する!
ミサコ
私は後悔しない!夢を叶えたいんだから、協力してよ!
ユカリ
ごめん。今回ばかりは協力できないよ...
ミサコ
もういい。私が絶対に優勝して見せるんだから。
ミサコ
これからは、ミサコに頼ったりなんかしない。
~4日後(デザイン選考会2日前)~
ユカリ
ミサコ、今日のデザイン選考会の学校講師審査でどうして私のデザインを持ってたの...?
ミサコ
たまたまじゃないの?前も言ったけど、私たち好みとかすごく合うじゃん
ユカリ
好みが合うのはそうだけど、全く同じだったじゃん!
ミサコ
この際だから言わせてもらうけど、うざかったの!どんなに努力してもいつも2番なのが!
ミサコ
ユカリが放課後に残って作業してるのは知ってたよ!
ミサコ
でも、私も同じくらい努力してきた
ユカリ
だから...?私のデザイン真似するの?
ミサコ
ユカリには、もともと才能あるじゃん!私なんかより...
ミサコ
アドバイスもらってはいたけど、本当は見下される感じが嫌だったの!
ミサコ
だから、ユカリのデザインブックのデザインをスマホで撮ったの
ユカリ
そんな...ひどいよ...
ユカリ
ミサコがすごい努力してるのは知ってる。でも、私だって放課後に残って作業してるよ!
ユカリ
今日は私がデザインを盗んだ、って私が疑われるかもしれなくて出さなかった。
ユカリ
自分が先に出せば私が引き下がると思って、デザイン盗んだの?
ユカリ
私があまり喧嘩したくない性格だって知ってるから...?
ミサコ
私は、自分の夢の方が大事。ユカリのデザイン、使わせてもらう。
ミサコ
私のこと、見下した罰だと思って選考会の日も家にいたらいいよ。
ユカリ
友達だと、思ってたのに...
ミサコ
ユカリは、そうだと思ってたかもね
ミサコ
でも、私はずっとこの時を狙ってたの。
ミサコ
だって、夢ってどんな手段を使ってでも叶えるべきものなんだから。
ユカリ
友達よりも、夢の方が大事だったの?
ユカリ
私は、ユカリを本当に信頼してて助けたい、と思ってた。
ユカリ
だから、デザインでもアドバイスしてたんだよ?
ミサコ
貪欲に生きないと、叶えたくても叶えられないものはあるんだよ。
ミサコ
人から盗んででも、私はのし上がりたいの!
ミサコ
ユカリは、そんなことできるはずないよね。
ユカリ
それ分かっててデザインを盗むなんて...最低だよ、ミサコ...
ミサコ
そんなの、どうでもいいの。私には。
ユカリ
私たち、友達じゃなかったんだね…
~選考会~
ミサコ
ねえ、ユカリ!?
ミサコ
今どこにいるの!?
ユカリ
どこって...家にいるよ。
ユカリ
家にいた方がいいよ、って言ったのはミサコでしょ
ユカリ
そういうミサコは?選考会の会場なの?
ミサコ
そうだよ!私が出したデザインがないんだもん!
ミサコ
なんで、ユカリの名前で新しいデザインが選考会に出てるの!?
ミサコ
事前の学校講師チェックでは来てなかったじゃん!
ユカリ
「私が出したデザイン」って言ってるけど、ミサコのデザインじゃないじゃん
ユカリ
ミサコが私から盗んだデザインでしょ
ミサコ
今は、もう私のデザインだもん。
ミサコ
それより、何で新しいデザインが出てるの?
ミサコ
新しくデザインして、先生に出したの!?
ユカリ
ミサコ、もうすぐ誕生日でしょ?
ユカリ
誕生日プレゼントにデザインして作った服をプレゼントしようと思ってたの。
ユカリ
でも、なかなか納得いくものができなかった。
ユカリ
だけど、ミサコに裏切られた日から必死に追い込んで仕上げたんだよ。
ミサコ
えっ...?2日ぐらいしか残ってなかったのに...?
ユカリ
うん。
ユカリ
ミサコが盗んだデザインは私がデザインした、って学校の清掃のおばさんが先生に証明してくれた。
ユカリ
毎日、放課後に残ってたからよく覚えてたんだって。
ユカリ
先生に相談するときに証言者になってくれないか頼んだら受けてくれたの。
ミサコ
私、さっき先生に呼び出しされたの。
ミサコ
ユカリのデザイン盗んだことは聞いた、って言われて...
ミサコ
ペナルティで、1週間で5つもデザイン課題出されたの...
ミサコ
こんなの、1人でできるわけないよ...
ミサコ
ユカリ、手伝ってくれない?
ユカリ
ユカリ、本当に自分がしたこと反省してる?
ユカリ
また人の手を借りてデザインしようと思ってるの?
ミサコ
ユカリのデザインを盗んだことは、本当に謝るよ...
ミサコ
だから、お願い!今回ばかりは1週間じゃ無理なの。
ユカリ
でも、私は2日くらいでデザインを完成させて選考会に間に合わせたよ。
ユカリ
だって、私は本気でデザイナーになりたいと思っているから。
ユカリ
それでね、私がもともとミサコの誕生日プレゼントのためにデザインしてたものはね、
ユカリ
ミサコが第一志望にしてたデザイナー事務所に買ってもらったの
ミサコ
そんな...ひどいよ...
ミサコ
私が志望してる、って知っててそんなことしたの!?
ユカリ
他にも、デザイナー事務所は来てたよ
ユカリ
でも、私は迷わずそこを選んだの
ユカリ
私がやりたいことを全力で後押ししてくれる、って言ってくれたから
ミサコ
私だって...私だってユカリ以上に努力してきた!
ミサコ
なんで、才能のあるユカリばっかりがいつも評価されるの?
ミサコ
不平等じゃん!そんなの!
ユカリ
不平等...?
ユカリ
私はいつだって努力は結果に結びつくと思うし、
ユカリ
それを信じて1年生の頃から努力してきたよ
ミサコ
え?1年生のころから?
ユカリ
私たち、1年生の頃はクラスは離れてたからミサコは知らないと思うけど、
ユカリ
クラス課題で出るデザインの成績はほぼ毎回、ビリだったんだよ
ミサコ
えっ...?そうだったの?
ユカリ
うん。でも頑張ろう、って思ったきっかけが今回の選考会のことを知ったからだったの。
ユカリ
努力してセンスを磨けば1年で実力はつけれる、って信じてきたの
ユカリ
だから、放課後も居残りして先生に個別で指導もしてもらって、
ユカリ
やっと、ここまでこれたんだよ。
ミサコ
先生に頼むなんて...そんなのずるい!自分の力じゃないじゃん!
ユカリ
センス磨くためにアドバイスを求めるのは悪いことじゃないよ
ミサコ
じゃあ、私がユカリにアドバイス求めたのも悪いことじゃないでしょ!
ユカリ
ユカリは、デザイン描いてて楽しい、って思ったことある?
ミサコ
私は、いい成績を取ってデザイナーになって世界を飛び回るのが夢なの
ミサコ
だからアドバイスをもとにして、デザインを描いてきた
ミサコ
楽しいなんて、夢が叶ってから感じるものじゃん...
ユカリ
辛いこともあるけど、でも私はデザインが楽しかったよ。
ユカリ
成績がビリだった時は辛かった。
ユカリ
でも、少しずつ直して成長できることがすごく、やりがいだった。
ユカリ
ミサコは?そう思ったことある?
ミサコ
そんなこと...思えなかった。
ミサコ
ユカリが楽しそうにデザインしてるのが妬ましかった。
ミサコ
今回のコンペだって...何で私ばっかり、こんな思いしなきゃいけないの
ユカリ
今まで、人のデザインを真似してサボってきたつけが回ってきたんだね。
ユカリ
これから取り返すのは難しいよ。
ユカリ
自分がしたこと、しっかり反省しないとね。
~後日談~
ユカリ
それから私は、憧れの第一志望だったファッションデザイナー事務所で働き、
ユカリ
1年目はファッションショーで出る衣装のデザインのアシスタントをしました。
ユカリ
2年目からブランドのデザインをメインで受け持つチーフに昇格し、
ユカリ
自分のやりたいことを仕事にできていて、楽しんでいます。
ユカリ
卒業してから学校の先生に聞いた話によると、
ユカリ
ミサコは小さなファッション事務所で社会人になった3年目になっても、
ユカリ
上司のためにコーヒーを買いに行ったり、材料の買い出しに行かされたりと、
ユカリ
雑用をさせられていることが多いようです。
ユカリ
私は、今はファッション事務所で働いていますが、
ユカリ
今後、自分のファッションブランドを立ち上げることが目標です。