テラーノベル
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〖 月 〗
地球に一番近くて、地球のまわりを回る天体。
「太陽の光を受けて輝く。」
〖 雨 〗
空中の水蒸気が冷たい空気に冷やされて、 しずくになって落ちてくるもの。
_彼との 出逢いはあの夜だった_
『何もかも捨ててしまいたいと思った』
やけに静かで涼しかったあの夜
私は_
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
月がとても似合う君に会った
誅雨源 月詠 《チュウゲン ツクヨミ》
それが彼の名前だった
クラスの人気者で
頭もよく運動神経もいい
そう まさに太陽のような存在だった
だけど私は窓際の席に座って皆に囲まれる彼を見て
いつも思っていた
『名前とは反する子だなぁ』
と
彼の名前には "月"という文字が含まれている
確かに月にも月光という言葉が存在するけれど
太陽ほど 明るい光を発しはしない
だけど みんなは見て
彼は月詠という名前より 太陽という名前の方がいいんじゃないのか?
そんな疑問が皆の頭の中をぐるぐると回った
だけど
少なくとも 私は
そうは思わなかった_
蓮夏 レンカ
私は無意識に彼を突き放す言葉を放ってしまう
だが 彼はその言葉を聞いても笑みを崩さず
そっと私の隣に腰を下ろした
月詠 ツクヨミ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
否定はできない
海岸近くから見るだけでも分かる
月の"異常すぎる綺麗さ"
本当に今夜は月が綺麗だ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
彼が笑みを深めながら 静かに答える
蓮夏 レンカ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
しまった_
口が滑ってしまった
月詠 ツクヨミ
彼の目が見開かれる
蓮夏 レンカ
私は "事実"をそのまま述べた
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
彼が少しだけ頬を赤らめながら言葉を紡ぐ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
彼が 目を見開いてから 静かに笑った
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
海辺近くは 驚く程 静かだったから
私達の声は 静かな海辺に響き渡り
知らず知らずの内に 夜の闇を溶かしていた
それから
私達は 少しずつ 仲良くなっていった
他愛のない話を 大袈裟に話し
自分達を肯定し合い
否定しあった
だけど 時間というものは 残酷で
気が付けば "お別れ"という物がやってきてしまった
その日は
雨が降っていた
さしていた傘へと雫がリズミカルに落ちてくる
月詠 ツクヨミ
彼女が 考える素振りを見せてから
静かに言葉を口にした
蓮夏 レンカ
僕は その言葉を聞き 少しムッとした
月詠 ツクヨミ
月詠 ツクヨミ
僕がそう言うと 彼女は 再び 考えるフリをした
蓮夏 レンカ
月詠 ツクヨミ
蓮夏 レンカ
蓮夏 レンカ
突然 彼女の言葉が途切れた
月詠 ツクヨミ
月詠 ツクヨミ
隣で傘をさしていた彼女の方を向くと
そこには 胸から刃先が飛び出た 彼女が鮮血な血を口端から流しながら立っていた
蓮夏 レンカ
蓮夏 レンカ
彼女の胸から刃先が引っ込み
次は お腹から刃先が飛び出した
月詠 ツクヨミ
僕は その場に立ち尽くしてしまった
月詠 ツクヨミ
やがて 彼女が 重力に負け 地面に倒れた
刺し傷から 赤黒い 血液がどろっと流れ続け
地面に赤い水溜まりを作り始めた
月詠 ツクヨミ
目の前で起こった光景が信じられなかった
夢だと思い込みたくなった
何故なら
生まれて初めて 心の底から好きになった
女の子を目の前で刺し殺されたのだから
線香の匂いが鼻腔を優しくついた
ふと 周りを見渡すと
泣き崩れている女性と男性
お経を唱えている男性
涙を押し殺している 幼い子供
嗚咽を漏らしながら 涙を流している 老人
そして
沢山の花に囲まれた 棺の中で 眠ってしまった彼女
月詠 ツクヨミ
何も出来なかった
犯人を捕えることも
殺すことも
彼女の代わりになってあげることも
何もかも
出来なかった
月詠 ツクヨミ
悔しい
憎い
悲しい
そんな言葉じゃない
僕の今の気持ちは
月詠 ツクヨミ
「寂しい」なんだ
月詠 ツクヨミ
月詠 ツクヨミ
僕は ただただ
謝る事しか出来なかった
外に出ると また雨が降っていた
月詠 ツクヨミ
僕は傘をさしながら 静かにそっと呟いた
月詠 ツクヨミ
〖雨〗
空の匂いが一番濃くて
半透明の雫が 静かに 傘の上で ワルツを踊り出す不思議な時間
僕は_この時間が
どうしようもなく
月詠 ツクヨミ
だって_
月詠 ツクヨミ
あの映像が走馬灯のように蘇ってしまうから
あの日
あの瞬間
彼女との時間は
絶対に忘れない
ぽちゃんっ
あの時
あの夜
彼に会えて良かった
私は もう貴方には見えないかもしれないけど
暫くは 傍で見守ってるつもり
だから
私と話した思い出は
忘れないでね
ざぷんっ
不思議な思い出は
月光で照らされる
心の中という倉庫にそっとしまわれる
でも
その瞬間
その一秒の時には必ず
意味がある
出会い
と
別れ
何方も 運命の一つではあるのだから
コメント
7件
あ、天才の方でしたかこれは失礼👏✨ 好きです('ω'o[唐突]o
大好きですッッ……!!!!!!!! ほんとに最高過ぎて言葉に表せれない😖😖 あんな刺されるなんて想像してなかったからびっくりしちゃった…笑 けどけど!!!この後の展開が本当に二人は良い関係なんだなって実感しました!!