夜空と君

【 夜空と君 】

過保護だな、と思いつつ 重たい玄関のドアを開ける。

片耳にイヤホンを付けて、夜道を歩く。

毎晩出掛ける場所は決まっている。

そこに行く前に、コンビニでも寄ろうかな。

いつもは店員の顔なんて見ない。

だけど、何処か惹かれる声

見上げた先には、

ふんわりとした茶髪、 少しタレ目で、細身な男性。

いつもと違って、若い男性。

パッと見、僕と同じくらいの歳？

、いや…違うよね、高校生はバイト禁止だし、

高校生と名乗る男性は、 悪戯っぽく笑って、唇に人差し指を当てた。

年上だったんだ、

顔が幼かったから、同い年かと思ってた。

話をするのに夢中になって、 買い物をするのをすっかり忘れていた。

いつもの500mlのコーラと、 レジ横に売ってある唐揚げを買い、店を出た。

いつもの公園に着いた。

コンビニから歩いて約5分、

僕は星を見るためにここに来る。

昨夜の雨で、ブランコが濡れている。

ついてないな、と思いながら、 ポケットに手を伸ばす。

無い、

いつものハンカチが無い。

確か、家を出た時はあったはず、

あのハンカチ、お気に入りだったのに、

知らない男性が持っていたのは、 紛れもない僕のハンカチだった。

明らかに動揺していて、顔も赤い。

そう言って額に向かって手を伸ばすと、

パシっ＿

振り払われた。

そう言い残し、去っていった。

聞くの、忘れてたな。

また会えるかな、