憎いけど憎めない

彼女は荻原乃亜(ｵｷﾞﾊﾗ ﾉｱ)

この学年一番の強者

そして、部長である

彼女は千田莉々奈(ﾁﾀﾞ ﾘﾘﾅ)

乃亜とダブルスを組む 2番目の強者

今日はランキング戦

これで前勝ってた人に負けると、レギュラーから落ちてしまう

危ないけど

BEST５に勝てば順位が上がるのだ

死ぬ気で 必死で頑張ろう

そう心に決めたのだ

一つ、試合が終わった頃の事だった

汗をダラダラと流し、それを必死でタオルで拭いている

そんな莉々奈がやってきたのだ

そんな声も聞こえてくる

そんな、優しい時間に

ある一年生がやってきた

どうやら二年生の一番下に勝って私たちのところまで来たようだ

じゃんけんで組み合わせを決める

ぼそっとしずかに

この1年生女子が呟いた

彼女の目は絶望的だった

私と佐伯 奏(ｻｴｷ ｶﾅﾃﾞ)が勝負しているときの目が

この先輩には勝てない。

そう思ったのだろうか…？

たしかに奏は部の中でBEST３か４を争う強者だ

審判であり､1年生の相手の鹿島 奈央(ｶｼﾏ ﾅｵ)

奈央はBEST５

ここで奈央が負けてしまったら…

ふじわら…むさ？

随分変わった名前…。

2人の勝負での実力は似ていた

相手のいない所へ打とうとしてアウトにしたり

力を込めたら空振りしたり

負けないで奈央

レギュラーから落ちちゃう

嘘、奈央が…

「ファーストゲームラブオールプレイ」

どうやらBEST４、５を争う試合が始まったみたいだ

一年生はミスが多い

でも疲れで奏もミスが沢山

「１０…８…ゲームセットです」

終わった

奏は勝てた

でも

レギュラーから落ちちゃった…

あの1年生がレギュラーに入った時

その時から私はその1年生を目で追うようになった

準備や片付けも率先してやる

憎い相手だったけど

全然

憎めないや

しばらくしたら

みんなと馴染んでいて

憎いけど憎めない存在になってしまっていた