21 . 欲しかったもの
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そこここから喧騒の響く 休み時間の教室で ひとり 、席から動かず 黙々と次の授業の準備をしていた ときだった 。
ふいに 教室の後方から 聞こえてきた低い声に 、 思わず手が止まる 。
さりげなくそちらへと 目線を向けてみると 、 なつくんの席のところに らんくんが立っていた 。
二人とも 笑い声をこぼしながら 話す姿に 、何故だか 少し 胸の奥が ぎゅっ 、と締め付けられる 。
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今まではとくに 気にしていなかった二人の会話に 最近は つい 聞き耳を立ててしまう 。
_ 今度の日曜 。
とくに らんくんの 口にしたその日にちに どきっ 、として 顔を強張らせていると 、
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誘いに断るなつくんの声が 聞こえて 、 知らず知らずのうちに 握りしめていた両手から ふっと力が抜けた 。
... よかった
心のどこかで ほっ と安心していると 、 『 えー 』 と らんくんが 不満げな声を上げる 。
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なつくんが らんくんへと 返す言葉を聞いて 、 こさめはなんだか どきどきしてしまう 。
耳が熱い 。
なつくんのはぐらかすような 返答に 、『 えぇ ー ? 』 と らんくんが 困惑する 。
それからふと 、 はっ としたように 声のトーンを落として
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即答したなつくんは そこでほんの少しだけ間を置いてから
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らんくんがちょっと 疑わしげな声で 相槌を打つのに重なり 、 チャイムが鳴り響く 。
すぐに 先生が入ってきて らんくんが 慌てたように自分の席へと 戻っていく 。
そして授業が始まったあとも こさめの胸は 、 まだどきどきとざわついていた 。
机の上で握った両手に 力がこもる 。
__ 友達 。
なつくんが口にした言葉が まだ耳に残っていて 。
いや 、別に本気で なつくんがそう思っている訳ではなくて らんくんの言った “ 彼女 ” を否定するために使った表現 なのだろうけど 。
それでも なつくんの声で 作られたその響きは 、 胸の奥の方に落ちて そこでいつまでも熱を持っていた 。
『 そういえばこさくん 、 最近投稿少ないですね ... ? 』
学校からの下校中に ふと見上げた空に広がっていた 赤みがかった雲を 写真に残し 、帰宅後に 投稿をした直後だった 。
いるさんから 、 珍しくリプではなく DMで 反応が来た 。
開いてみると 、 こういう空模様 すごい好みです と 写真について触れたあとで 最後にさらっと そんな一文が書かれていて
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いるさんの言葉に はっとして 、直近の投稿を 見返してみれば 明らかに投稿の頻度が 減っていた 。
今までは 基本的に 毎日なにかしらの写真を 投稿していたのに 、 昨日も一昨日も こさめはなにも投稿していない 。
代わりにやっていたのは 、 SNSの徘徊だった 。
最近解決した 炎上の件のように 、 ひょんなことで叩かれている人が いないか 最近は 普段覗かない界隈にまで 見にいっては探していた 。
ああいう小さな炎上は そこらで起こっている印象だったけど 実際探してみると 、 案外見つからなかった 。
あるのはあっても 、 普通に投稿主のほうが ちょっと無神経な発言をしていたり なんというか あまり 擁護できない感じの ものばかりだった 。
なつくんはよく あんな絶妙な案件を見つけてきたな と 、今頃になって 感心している 。
『 いるさん !ありがとうございます ! そうなんです 、最近 勉強とか忙しくて 』
『 大丈夫ですか ? なんか最近 、こさくん元気ないような 気がします 』
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できるだけ明るく返したつもり だったけど 、 すぐにいるさんから そんな返信がきて 思わず 『 え 』 と 声がこぼれた 。
どうしてそう思ったんだろう 。
こさめが不思議に思って 返信に迷っていると 、
『 この前 、軽く炎上してた人に 送ってたリプで こさくん大変そうだったので 』
いるさんから追加で そんなメッセージがきて 、 また驚いた 。
いるさん見てたんだ ... と 初めて知る 。
例のリプライの1件 。
リプとか引用とかきてたし 、 いるさんのタイムラインにも 流れてしまったのだろう 。
見苦しいものを 見せてしまったようで 、 ちょっと申し訳なくなっていると
『 すみません あの時なんか言って あげたかったんだけど 、 何言っていいか分からなくて 』
『 あ 、いえいえ !全然 ! 』
いるさんから追加で送られてきたDMに 慌てて こさめは返信する 。
『 あのあと広がることも なかったし 、今はもう 困ってもないし大丈夫です !』
あの一件から数日 、 とくに燃え広がることも無く 気がつけば鎮火していた 。
周りが騒いでいただけで パクられたとされた 本人は とくになんの反応も しなかったのが大きかった のかもしれない 。
数日は投稿が止まっていた 投稿主さんも 昨日また 投稿を再開していて 、 それに対しては なんの非難も届いていなかった 。
『 ならよかったです 、なにか 困ったことがあったら いつでも俺に相談してください 』
いるさんからのメッセージに また胸がぎゅぅっ と する 。
本当にいるさんは いつも優しい 。
『 ありがとうございます ! 』
胸がぽかぽかとするのを 感じながら 、 こさめは返信すると 、
『 いるさんも 、なにか困ったことあったら いつでも言ってくださいね ! 』
少し迷ったあとで 、 思い切ってそう付け加えてみた 。
『 ありがとうございます 』
と 、いるさんからも 返信が来て 、 そこでやり取りは 終わるかと思った 。
だけど 、
『 実は今 、バイト先の 人間関係で悩んでて こさくん 、 少しでもいいので 愚痴聞いてくれませんか 』
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続いた言葉に 、 こさめは弾かれたかのように ベッドに寝転んでいた 身体を起こした 。
思わずベッドの上に 正座して 、スマホを両手で持ち直す 。
『 勿論です ! 』
『 なんでも 、いくらでも聞きます !』
どきどきと 胸がなっていた 。
初めてだった 。
いるさんから こんな 言葉が届いたのは 。
今までは 、漫画の話とか テレビの話とか 、当たり障りなく 楽しくできるような 会話しか いるさんとは 交わしたことは無かった 。
それがネットの友達である いるさんとの 、 正しい距離感なのだろうと 思っていた 。
親しく付き合っているとはいえ 、 実際にはあったこともない 相手なのだから 。
私生活での悩みだとか 、 そういう重たい話をするのは 避けるべきなのだろうと 思っていた 。
そういう話をして 、 ウザがられるのが怖かった 。
だけど 。
『 ありがとうございます 、こさくん 』
『 俺のバイト先に ちょっと 苦手な人がいるんですけど _ 』
そんな出だして 、 いるさんはつらつらと バイト先の悩みを語った 。
ひとりの先輩から 嫌われているみたいで 、 挨拶をしても無視されること 。
担当は違うので あまり仕事中関わることは無いけど それが地味にストレスで 最近バイトに行くのが 億劫なこと 。
ちなみに明日もバイトのため 、 現在 、絶賛憂鬱なこと 。
『 それ以外は雰囲気もいいし いいバイト先なんで 長く続けたいんですけどね 、笑 』
『 なんか考えてたら どんどん落ち込んできて 、 長くなりすぎました 、ごめんなさい 』
いるさんからのDMを 読み終えたこさめは 、 しばらく考えてから 写真フォルダを開いた 。
数日前に撮った 、 コンビニスイーツの写真を探して いるさんへと送る 。
それから急いで 、画面に 指を滑らせた 。
『 これ 、先週発売された ばっかのお菓子なんですけど めちゃくちゃ美味しいので 、 甘いもの苦手じゃなければ是非 』
『 明日バイト終わりにでも 買ってみてください ! それを一日の楽しみにして バイト乗り越えてください ! 』
今のこさめに思いつく 、 最大限の励ましだった 。
思えば 、こんなふうに 友達から 相談を受けるというのも こさめにとっては 初めての経験だった 。
だから頼りにされたのが嬉しくて どうにか上手に 励ましたかったのだけど 、 経験値のないこさめには これくらいしか言えなくて 。
もどかしかったけど 、 いるさんからの返信は すぐに来た 。
『 バイト終わりのご褒美 、 毎回作れば 頑張れそうな気がします 』
『 明日のご褒美はこれにして ちょっとずつ乗り越えていきます ! 』
送られてきた文面を見て 、 頬が緩む 。
『 よかった 』 と 、 息をつく 。
ほんの少しでも いるさんの力になれたのなら 。
__ だけどそっか 。
こさめは ぼんやりと思う 。
いるさんも 、こんなふうに 人間関係で悩んだりするんだ 。
なんだか不思議な感覚だった 。
SNS上でやり取りをしている いるさんは 、いつでも 完璧に優しくて 明るくて 。
そのせいか 、 なんとなく現実に存在しない SNS上にだけ存在する人 みたいな感じがしていたから 。
いるさんもこの世界で 、 こさめと同じように 悩みながら生きてるんだって 。
そんな当たり前のことを 今更実感して 、 それが妙に嬉しかった 。
『 ありがとうございます こさくんと仲良くなれて 、ほんと よかったです 』
いるさんが送ってくれた言葉に 『 そういって貰えて嬉しいです 』 と 返しながら 、思う 。
今までも何度となく 、 思ったことだった 。
__ これだけでいいんだ 、って 。
学校に友達がいなくても 。
こさめには 、ここにちゃんと 友達がいる 。
趣味があって 、 話していると楽しくて 、 こさめのことを心配してくれて 、 こさめを頼りにしてくれる 大好きな友達 。
学校だろうとネットだろうと 友達には違いないし 、 そこに優劣なんてないはず 。
だったら 学校で無理に 友達を作らなくても 、 ネットで本当に気の合う友達を 見つけられたのなら それだけでいい 。
こさめは 、ここでの 人間関係さえ大切にしていれば 。
__ それだけで 、大丈夫 。
結構早いうちに 完結させたいなって 考えてるので これから 投稿頻度上がる 可能性 大 です 笑笑 あと 、たまに 💬で 私のこと心配してくれる方とか いるんですけど 、 私の元気さ( ? ) すごいので大丈夫です( ?
コメント
8件
投稿頻度上がってしぃなのテンションも上がっている(? ☔くんだんだん🍍くんのこと好きになってってる!?最高か、...?好きになる過程?が目に見えてわかるの良いな...😆 炎上収めるだけじゃなくてネッ友(📢くん)まで救ってくの優しすぎだよ、.....!!! 次楽しみすぎる...!
遅れちゃった😭 え?!投稿頻度上がるのか!!!普通に嬉しいんだが?! てかマジでいっっっも思ってるんだけど神過ぎない?????(語彙力無) えマジで神作品!!! 投稿お疲れ様〜続きが楽しみで自分の脳内埋まってますw!!!
投稿頻度 あがるの うれちむすぎる ... ✨ 今回で 、もう確定した はい ( ? ) ☔くんは 100 🍍さんの ことが 好きです いや 、🍍さんも☔️くん のこと好きだと思うけどね 、?!とか 、🌸 さん もしかして 、🍍さんのこと 好きとか ... ? 📢くんが ☔️くんの ぷち 炎上 ? 見たいのを DMで助ける? みたいなの好き!!! 続き楽しみに待ってる!✨