桐馬
溜息をつきながら帰り道を歩く。
午後の授業からも散々イジられ いつもに増して散々な一日だった。
桐馬
ざわざわとした運動部の喧騒に紛れて、聞き覚えのある声がした。
女子生徒A
お兄さんが告白されてる…
別に珍しいことでは無いんだろう。 彼に動揺した素振りはない。
ただ、女子生徒が言葉を紡ぎ終えるまで聖母のような笑みで 見守っている。
桐馬
怖いもの見たさで僕は、 しばらくフェンスの陰から見てみることにした。
瑞穂
桐馬
女子生徒A
女子生徒の顔はだんだんと曇っていく。
瑞穂
女子生徒A
心臓がドキ、と一回転した気がした。
まるで、聞いちゃいけないことを聞いたような感覚だ。 (まあ盗み見盗み聞きしてる時点であれな気もするが)
瑞穂
女子生徒A
桐馬
僕は聞いているのが辛くなり、走ってその場を離れた。
桐馬
桐馬
桐馬
桐馬
自分がお兄さんの足枷になってしまっている
自分は彼に迷惑をかけている。
桐馬
気がつくと、目から涙がつーっと流れ落ちていた。
桐馬
こんなとこ誰かに見られたら終わる…
崩れそうな心を抱えながら、決壊寸前の涙腺を何とか抑えながら…
僕はやっと家の中に入ることができた。
お兄さんが告白されてた。
あの瞬間、理由も分からず胸がチクッとなった。
取られたくない、って本能的に。
桐馬
これじゃあ周りの思うツボじゃん
でも一番信じたくないのは…
桐馬
桐馬
昼休みの会話を回想しながら、 僕はいつも通りカップ麺を作り始めた。
瑞穂
不在着信
桐馬
桐馬
その方が楽だ。
なのにどうしてこんなに辛いんだろう…
桐馬
小さいときは頼りがいのある優しいお兄ちゃんだと思ってたのに。
思春期を迎えて、素直じゃなくなって
僕と彼の温度差に確執が生まれて 亀裂が生じて
心がジュクジュク痛む。
桐馬
そう考え込んでいるうちに、僕は寝込んでしまった。
カップ麺を咀嚼もそこそこに飲み込み、ソファに倒れ込む。
桐馬
目を覚ましたのは午後8時。 1時間半ほど寝落ちしていたようだ。
桐馬
自室のベッドに潜り込み、目を閉じる。
桐馬
…直接的な表現を避けるのであれば、胃の内容物が逆流してきそうとでも言うのだろうか。
猛烈な吐き気が襲ってくる。
桐馬
桐馬
気にしないように、気にしないように…
ただ、事態は回復するどころが悪化の一途を辿っている。
脂汗がつーっと背中を伝って、寒気がした。
桐馬
メッセージアプリを見て、躊躇する。
桐馬
桐馬
桐馬
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