俺は梅雨が嫌いだ。
ジメジメとした、多湿を含む空気。
いつまでも晴れない東京の空。
傘を持ち歩くことさえ嫌になる。
それでも、傘を持たないというのは 武器を持たないのと(多分)同じなので、 俺は仕方がなくいつものように持ち歩く。
田口 蒼(たぐち そう)
俺は心の中でそう呟き、いつもの道を歩き進んでいった。
田口 蒼(たぐち そう)
田口 蒼(たぐち そう)
田口 蒼(たぐち そう)
田口 蒼(たぐち そう)
歩きスマホをしながら今日の予定をまとめていると。 (※歩きスマホは危険です)
ガサゴソ
田口 蒼(たぐち そう)
俺のすぐ横付近で、ガサゴソと茂みが揺れる音がした。
俺は突発的な出来事に足を止めた。
だが、次の瞬間それは柔らかくなったのだ。
三毛猫
田口 蒼(たぐち そう)
そう。
茂みから現れたのは小さな猫だったのだ。
その子の体は雨水のせいで所々毛が束となっていた。
しかし、可愛らしい顔には変わりはないらしい。
ビー玉のような瞳が俺を見つめている。
田口 蒼(たぐち そう)
俺はしゃがみ、手を伸ばした。
すると、ミケはビー玉を大きくした。
きっと驚いたのだろう。
田口 蒼(たぐち そう)
しばらくの間、俺とミケのにらみっこが続いた。
しかし、ミケも勘づいたのだろう。
俺が今、食料を持っていないことに。
ぴょんっと審査員顔負けの華麗なジャンプをすると、
そそくさと俺を置いて行ってしまった。
田口 蒼(たぐち そう)
俺はミケの後ろ姿を見送りながら こう思った。
田口 蒼(たぐち そう)
俺は雨が嫌いだ。
だけど、今日の小さな出来事は
俺の大事な記憶へと刻まれただろう。
その後、 この男は日課のごとく魚肉ソーセージを片手に登校したのだった。
私には気になっている男がいる。
だが、気になっているだけなのだ。
実際名前だって知らないし、 挨拶すらしたことがない。
だが、彼の横顔を見ると、
どうもこの心臓はうるさくなってしまうのだ。
私はあるペットショップでアルバイトをしている 普通の高校生だ。
この頃雨が続き、傘を手放す日がないのだが
それは案外、私にとって役に立っている。
そうしているうちに、
穂波 美穂(ほなみ みほ)
彼を見つけた。
気だるげに猫背で歩く後ろ姿が特徴なのだ。
私は少しペースを落とした。
穂波 美穂(ほなみ みほ)
私は期待の目で彼の後ろ姿を見守っている。
すると。
穂波 美穂(ほなみ みほ)
彼はある茂みの場所で立ち止まり、しゃがみこんだのだった。
そして、片手に常備してある魚肉ソーセージをゆらゆらと揺らす。
穂波 美穂(ほなみ みほ)
私は完全ににやけ顔になっているであろうこの顔を傘で隠した。
そう、役に立つとはこのことなのだ。
ただ、私はこのことに興奮している訳では無い。
これだけに興奮するような変人ではないからだ。
彼がこうしているのは確かな理由がある。
それは、
三毛猫
穂波 美穂(ほなみ みほ)
そう! 彼はこの猫のために毎朝魚肉ソーセージを片手に 歩いてるのだ!
出てきた三毛猫を確認した彼は、
食べやすいサイズまで手でちぎり、 手のひらに乗せた。
猫は、その匂いを確認し美味しそうに食べ始めた。
穂波 美穂(ほなみ みほ)
優しい彼の心と可愛らしい三毛猫。 私の心臓はひどくうるさくなっている。
彼らを見つける度に私はつくづく思うのだ。
こういう気持ちを持った人間が世界中に広まれば、 世界は優しさに包まれるのではないか、と。
穂波 美穂(ほなみ みほ)
私は彼の真横を通り過ぎる時、
心の中でこう呟いた。
穂波 美穂(ほなみ みほ)
私は彼とあの三毛猫に恋をしている。
コメント
1件
小説練習用だー。 これだけで終わるかもしれん。 まだ続くかもしれん。 これは試練 俺の推しはレン YEEA.