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雨は降っていなかったのに、空気だけ濡れていた。 あたしは教室で、ずっと窓の外を見ていた。 何も起きていないのに、落ち着かなかった。
あい
後ろから声。 振り返ると、愛。 でも今日は少し違う。 いつもより早く近い。
あい
あい
なつめ
愛は少しだけ笑う。
あい
その一言が、なぜか重かった。 でもあたしはすぐには断れなかった。
夕方。 愛の家は静かだった。 玄関の匂いが少しだけ甘い。 あたしは靴を揃えて入る。
あい
愛は当然のように手を引く。 その手はいつも通り冷たくて、でも離さない感じがした。
部屋はピンクと白で埋まっていた。 ぬいぐるみ。 整った机。 シール帳。 全部が「綺麗」に並んでいる。
あたしは少しだけ息を止める。 綺麗すぎる。
あい
愛はベッドを指す。 あたしは座った 布団が沈む。
あい
あい
なつめ
少し間。 愛はあたしの髪に触れる。 優しい動き。
あい
なつめ
愛は少しだけ首をかしげる。
あい
その言葉は、 優しいのに、どこか違う意味を持っている。
その夜。 浴室は少しだけ白く曇っていた。 湯気。 ピンクのボトル。 甘い匂い。
あい
愛が言う。 冗談みたいな声。 でも目は冗談じゃない。
あたしは笑おうとした。
なつめ
愛は少しだけ黙る。 そして、普通に笑う。
あい
でもそのあと、 愛は小さく言う。
あい
その「いつか」が、 やけに現実っぽく感じる。
夜。 帰り道。 愛は何もなかったように歩く。
あい
なつめ
あい
なつめ
愛は少しだけ間を置く。
あい
あたしは聞き返した
なつめ
愛は前を向いたまま、
あい
風が少しだけ強く吹く。 あたしは気づいた。 今までの“かわいい”は、 全部ここに繋がっていたことに。 そして愛は、 何も壊れていない顔のまま、 あたしの手を一度だけ握って、
すぐに離した。
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