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家族愛/友愛系まとめ

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家族愛/友愛系まとめ

11 - こんな能力どうですか?

♥

1,231

2021年08月27日

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超能力、欲しくない?

 

……は?

 

誰!?

目の前に突如現れた 少年――

――年齢は私と同じくらいか は

混乱する私を他所に 話を続けた

 

だから超能力

 

ま、待って

 

タイムトラベルとか
瞬間移動とか

 

ごめん、えっと

 

…あ、瞬間記憶とか!

 

警察呼ぶよ?!

 

え?

 

ケーサツ呼ぶっていう
超能力?

 

……なにそれ

 

違う!

 

ほんとに通報するよ?!

 

つーほー…?

警察、とか通報、とか

まるでそれらが何か 解らないかのように

その少年は キョトンと首を傾げた

 

…話にならない……

 

まずは…
えっと、あなた誰?

 

僕?

 

あー…えっと

 

カズって呼んで

 

カズ?

 

名字は?

カズ

えぇ…あーー……

 

なによ

カズ

無い

 

は?

カズ

名字無いから
カズって呼んでよ

 

……わかった

 

で、何者なの

カズ

超能力を君に授けに来た!

 

……意味わかんない

カズ

言葉通りだよ

カズ

僕は君に、超能力を
使えるようになってほしいんだ

 

…超能力……ほんとに?

カズ

うん!

カズ

ま、僕としては
タイムトラベルあたりが……

 

タイムトラベルねぇ…

 

…うん、それでいい

カズ

タイムトラベル?

 

うん

 

だって絶対
普通なら無理じゃない?

カズ

まあ

 

それに、未来の世界とか
見てみたいし!

カズ

そっか……うん

カズ

OK!

カズ

じゃあ、目閉じてて

これで夢だったら 友達に自慢できそう と

そんなことを考えながら 言われるままに目を閉じた

数秒経って 急に温もりに包まれる

 

…っ、ちょ

 

なに

カズ

……ごめん

耳元で聞こえた声は これまでのどれよりも低くて

辛そうで、切なかった

 

……

諦めてその場から動かずにいると

  ら

っ     

身体が揺れた、気がした

カズ

……

腕の中で眠る少女を見詰める

カズ

…母さん

小さな呟きが 部屋に溶けていった

・ ・ ・

何処かで 大きな音がした気がする

目を開けた

 

……え

焼け野原になって 何も無いその場所に

自分は転がっていた

 

なに、これ…

 

カズ?

身体を起こして埃を払う

そして

気付いた

倒れているのはたくさんの人

あちこちから銃声や悲鳴

何かが爆発する音が ひっきりなしに聞こえてくる

 

なに、なんなの

 

ここ、どこよ…

怯えからくる震えを 懸命におしこめ

恐らくこうなった原因である カズを探しに

ゆっくりと歩き出した

一方 カズは少女の家で

空中に開いたディスプレイを 必死に操作していた

カズ

何でこうなった…!

カズ

能力の誤作動
…でもこんなこと普通は

カズ

……せめていつの時代に
飛ばされたか分かれば…!

ディスプレイを操作する音と

カズの舌打ち

それらが何回か 繰り返されてから

ふと、思い出したように 口に出した

カズ

…遺伝子

カズ

そうだ
遺伝子追尾システム!

そして再び動作を再開し

物凄い速さで 情報を打ち込んでいく

カズ

見付けた

誰かの声が聞こえた

「母さん」と

怖い筈なのに 危険な筈なのに

歩みを進めていた

 

(こっちの方だ…)

カズ

…間に合った!

 

ぅわっ?!

背後から聞こえた その声に

思わずビクッとして 慌てて振り返る

 

か、カズ…

カズ

ごめん、これは

カズ

…とにかく、一旦戻ろう

 

…だめ

カズ

え?

 

向こうの方

 

さっきから聞こえるの

 

「母さん」って

カズ

ッ…!?

 

誰かが
困ってるのかもしれない

カズ

違う、ダメだ

 

私、行ってくる!

カズ

あっ……!

伸ばされたカズの手をすり抜けて

私は 声のする方へ向かった

 

……さん、母さん!

 

やだ、母さん!

足を止める

目に飛び込んできたのは

倒れた女性と それに縋り付く少年だった

 

(嘘…あれ、死んでるの……?)

 

返事してよ母さんッ!

そう叫ぶ少年の顔を見て ハッとする

 

(…カズ?)

何をしようとしたのかは 自分でもよく分からない

ただ、 2人に向かって歩いていた

カズ

ッッッ…

カズ

ダメだ母さんっっっ!

 

えっ?!

グッと腕を引かれ 身体が止まる

 

か…カズ?

カズ

っあ、これは

カズ

違う…その

カズ

……ごめん

慌てて離された手は

行き場を探すように 空中を彷徨い

結局カズのポケットに 収まった

 

…教えてカズ

 

ここはどこなの

 

これは…どういうこと

カズ

……

カズ

巻き込んだからには
教えないと…だね

カズ

着いて来て

クルリと背を向けて カズは歩き始める

その後ろを追いかけた

カズ

……ここなら安全

 

ここは…

カズ

外からのダメージを
受けないように造った

カズ

僕の研究所

 

研究所…

カズ

うん

カズ

それで…この時代は

カズ

君がいる時代の
少し未来

 

え…もっと先だと思ってた

カズ

信じられないよね

カズ

今は…第三次世界大戦って
後に言われる戦争中

 

第三次…?!

カズ

そう

カズ

さっき君が見たのは

 

カズのお母さん…?

カズ

……

カズ

……そうだよ

 

(じゃあ私のことを
“母さん”って呼んだのは…)

 

…ねえ、もしかして

 

カズのお母さんって…私?

カズ

…!

カズ

…バレてたんだ

 

さっき私の事“母さん”って
呼んだから

 

まだ…信じられないけど

カズ

そっか……

カズ

僕はこの戦争で
母さんを失った

カズ

それからここに籠って

カズ

特定の相手に
超能力を与える研究を

カズ

ずっと…やってた

 

どうして…そんなことを

カズ

能力があれば

カズ

母さんは
逃げられるかもしれない

カズ

タイムトラベルでも、
瞬間移動でも

カズ

僕1人じゃ…
母さんを救えなかったから

 

カズ…

カズ

でも、まさか誤作動起こすと
思ってなくて…

 

誤作動?

カズ

うん

カズ

君がこの時代に来たのは
能力の誤作動…

カズ

だから実質僕のミスなんだ

カズ

……ごめんなさい

 

そうだったんだ…

 

ねえカズ

 

私は――

カズ

ほんとに良いの?

目の前の少年は

さっきから何度も 同じことを問う

その姿は 私よりも幼く見えた

 

うん

あの時 カズの研究所で私が伝えたのは

「能力はいらない」

という事だった

カズ

でも、だってそしたら…

 

大丈夫

 

過去の人間だからこそ

 

出来ることもあると思う

 

信じて

カズ

母さん…

 

今度は私の番

 

待ってて、未来で

カズ

……うん

例え遠く離れた時の中にいても

この繋がりが 切れないように

ギュッと

その手を握った

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コメント

7

ユーザー

お母さんの事を思って研究をして、そして助けようとする カズ君、めちゃくちゃかっこいいな!!😳 最後、女の子が過去の人だからこそできる事があるって言ってて、カッコ良さは間違いなく親子なんだなぁと思いました! 新しい未来では、2人が幸せだと良いなぁ☺️ Twitterの企画参加ありがとうございました!

ユーザー

読んでいくうちにハラハラしていく展開にドキドキして、読み終わった後、もう一度初めから読み直したくなるような話で能力の話からここまで広げるか!と感心しました、、、。゚(゚´Д`゚)゚。

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