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神妙童子 3話目
翔太
翔太はおもむろにポケットから懐中時計を取り出すとそういった。
美智
翔太
翔太はしみじみともう一度時計を見て、答える。
翔太
翔太は美智に向けて懐中時計を開いて見せる。
美智
懐中時計には、蓋の部分にガラスのようなものが付いていた。
少し膨らんだレンズのようになっていて、中にはこの地域の写真があった。
翔太
向きを変えた右側には、見慣れた。そして懐かしいおじいちゃんの家があった。
美智
翔太
そういうと翔太は懐中時計をポケットにしまった。
物吸童子
童子の一言にふと2人は我に返り、そして気を引き締めた。
物吸童子
美智
ちょうど翔太が聞こうとしたところを美智が先を越す。
物吸童子
3人は先程童子が出てきた本堂を見る。まだ暖かな空気が流れ続け、襖が全開な割に真っ暗な屋内が陰気さをかもし出す。
翔太
美智
物吸童子
童子が小学一年生でも小さいほどの体をくるっとひるがえし、本堂に飛び乗る。
飛び乗った縁側からタタタタと暗闇の中へと一足先に消えてしまった。
翔太
美智
2人は賽銭箱の裏を回った階段から本堂に登り、暗闇へと足を進めて行った。
ギシッ…ギイイイ…ギギッ
歩く度なる床のきしみと緊張感で2人は固唾を飲んでいた。
物吸童子
翔太
美智
物吸童子
そういうと童子は腰につけた古い布袋から何かを取りだした。
袋から姿を現した"それ"は薄水色。まるで水晶玉に色をつけたようにキラキラとしていた。
翔太
物吸童子
童子は2つそれを手のひらに乗せると、1つづつ2人の手のひらに乗せた。
翔太
美智
物吸童子
翔太
翔太は口の中にそれを入れた。
翔太
困惑するような味だった。夏みかんにべっこう飴を混ぜてそれを水で薄めたような味。用すれば美味しかった。
美智
物吸童子
そういうと童子は奥にある大きな布のかかった何かから布を外し、壁の天窓を開けた。正確に言えば勝手に空いたのだが。
物吸童子
布のかかったそれは大きな鏡だった。周りには細かな総称がされていて「不気味」をひしひしと感じた。
雲外鏡と呼ばれるそれは天窓からこぼれる夕日にあたった。
美智
雲外鏡は当たった光を反射することなく取り込み、ガラスの中でぐるぐると光を渦まかせる。
物吸童子
童子はまるで案内人のように手を差し伸べた。
翔太
鏡に体を...そこまでで。気づけば薄気味の悪い森にいた。
物吸童子
グォアァァァアァァッッ
そう爆音がしたと思えばすぐだった。
物吸童子
バクンッ
翔太
美智
森から現れた"ソイツ"は犬のような見た目だった。目は黒ずんでいて、身体は所々皮膚が剥がれてズタズタの布のようになっている。
上顎に比べした顎が大きく、しかも歯がとても大きかった。
翔太
美智
そいつは明らかに2人に気づいていた。ふたりのいる場所に暖かく生ゴミが腐ったような鼻息を吹きかける...
ウグッ
と、突然そいつは唸った。
ぼむッ
翔太
次の瞬間そいつの体はまるで煙のように弾けて無くなった。ただ。鼻を突く臭いを撒き散らして。
物吸童子
煙の中には童子がいた。
美智
翔太
美智は童子に立ち寄り彼に目線を合わせて肩を掴む。
物吸童子
美智
物吸童子
心なしか童子の顔は赤らめて見えた。
翔太
物吸童子
物吸童子
美智
翔太
物吸童子
-続く-