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教室中が騒がしくて、普段より少しだけ距離感が曖昧だった。
机を動かして、段ボールを運んで、人の流れに押される。
そのとき。
うり
手首を、軽く掴まれた。
気づいたら、彼の腕の中に引き寄せられていた。
ほんの一瞬。
でも、背中に当たる腕も、 近すぎる距離も、 全部はっきり分かる。
うり
彼の声が、すぐ近くで聞こえる。
近い。
近すぎる。
のあ
それだけ言うのが、精一杯だった。
彼はすぐに手を離した。
でも、離れたはずなのに、心臓だけが追いついてない。
うり
のあ
目を合わせられなくて、床を見る。
でも、視界の端で、彼も少しだけ顔を赤くしているのが分かった。
のあ
私だけじゃないってことに、胸がぎゅっとなる。
準備が終わって、人が減っていく。
教室に残ったのは、私と彼だけだった。
うり
彼がそう言って、窓の外を見る。
夕日の光が、横顔を照らしていた。
前は隣で、毎日見てたはずなのに。
今は、見てるだけで苦しい。
うり
彼が、少し迷ってから言う。
うり
⸺つい。
その言葉が、胸に落ちた。
のあ
それ以上、言えなかった。
言ったら、全部溢れそうだったから。
彼は少しだけ笑って、
うり
と言った。
それだけ。
でも、
その"それだけ"が、前よりずっと特別だった。
帰り道。
並んで歩くわけでもなく、 離れるわけでもなく。
近いのに、触れない距離。
私は思う。
のあ
好きって言わなくても、付き合わなくても。
この距離が、確かに縮んだことだけは、 ちゃんと分かるから。