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最近、彼はよく私の名前を呼ぶ。
前みたいに、「ねぇ」じゃなくて。
それだけで、胸が一段跳ねるから困る。
昼休み。
友達と話をしていると、後ろから声がした。
うり
うり
振り返ると、彼がプリントを指している。
のあ
そう答えた瞬間、近くにいた男子が言った。
一瞬の沈黙。
彼は、ほんの少しだけ眉を寄せてから、
うり
静かに、そう言った。
強い言い方じゃない。 でも、迷いもない。
場の空気が一拍止まった。
男子はあっさり引いて、別の席へ行った。
のあ
心臓が、急に忙しくなる。
彼は何事もなかったみたいに、私の方を見て言った。
うり
のあ
プリントを渡すとき、指が触れそうになって、今度は彼のほうが先に指を引いた。
その仕草が、さっきの言葉よりずっとずるい。
放課後。
廊下で別の男子に話しかけられて、少し笑った、その直後。
うり
彼が、当然みたいな顔で立っていた。
のあ
うり
それだけ。
拒否する理由なんて、あるはずなかった。
並んで歩きながら、彼は前を見たまま言う。
うり
責める声じゃない。
でも、
少しだけ硬い。
のあ
うり
それ以上、何も言わない。
でも、歩くスピードは、私に合わせてる。
家の前に着いて、彼は立ち止まった。
うり
のあ
離れる前、一瞬だけ視線が絡む。
言葉はないのに、はっきり分かった。
のあ
告白じゃない。
約束もない。
でも。
彼の世界に、私の居場所があるってことだけは、 確かだった。