花魁じゃない女に。

ゆり は桃色のワンピースに赤いバック。

ちっちゃい子とお出かけなんて ぶっちゃけしたこともない。 恐る恐るに歩幅を合わせる。

俺達は雑貨屋さんに来ていた。

心の中で 「おべんきょうするとし」 が渦巻く。

そんな情報を知れて ちょっと嬉しいなと思う自分もいれば その発想は流石にキモい と思う自分もいる。

ゆり はガチャガチャと音を鳴らして 貯金箱からお金を出す。

一生懸命貯めたであろうお金を 1円1円、大切に数える。

その手の中にはラッピングされた ピンクと赤のお花の手帳があった。

それを大切そうに抱えている。

なんか恥ずかしくって、 隠して買ったはずなのがバレていた。

そんなのも知らずに ゆり はニッコリと笑う。

無邪気な笑顔に応えて。

と言った。

公園での別れ際、 ゆり は小さな紙を渡した。

「おたんじょうびかい」 しょうたいじょう

紙にはそんなことが書かれていた。

そう、涙ぐんで言う。

年下の子に弱いなと思いつつ、 予定を確認する。 任務が入っているが、 早く終われれば間に合いそうな時間だ。

店へ帰っていく ゆり に 手を振る自分の片手には あの招待状があった。