シェアハウスしてます 暴力、流血あり
なかむ
自分の部屋の天井に手を伸ばした。 そこにはワイテルズのみんなで撮った記念写真が沢山飾ってある。
なかむ
日に日に体に増えていく痣や、傷。 みんなにSOSを出すには遅すぎた。
なかむ、今日ご飯食べる…?
なかむ
なかむ
そっか…
扉の向こうからきりやんに声をかけられる。 今日もまた名残惜しそうに足音が遠のくのを聞くことしかできない。
……最近みんなを避けてしまっている自覚はある。
なかむ
なかむ
明日も知らない奴に殴られ、傷つけられ。 みんなにバレないように、忍び足で隠れて部屋に戻って。 また明日も同じことが繰り返されて。
いつしか、何でお前はそんなに一人で溜め込むのかと、 悩みを打ち明けてくれないのかと問われたことがある。
俺はメンバーに迷惑をかけたくなくて言わないんじゃない。 言えないんだ……
だって俺はこんなにも——...
なかむ
体を起こすと、視界に入る窓から少しばかり光が差し込んでいた。
なかむ
バイトは朝早くから入れている。 それでも、まだ陽が出たばかりに家を出るのは少し早すぎる。
じゃあ何故こんな早くに家を出るのか。
バイト先の先輩に殴られにいく為だ。
なかむ
携帯と最低限の物だけ持ち、家を出る。
なかむ
羨ましい。……呑気に寝れて。俺はこんなに辛い思いしてるのに。
なかむ
俺がみんなに助けを求めない理由、それは、 俺がこんなにも醜くなってしまったからだ。
なかむ
いつも通り、入ったら数十分の拷問が始まって……
なかむ
自分に向けた言葉は面白いほどに震えていた。
なかむ
裏口の扉を開けるとスタッフルームで屯している輩と目が合う。 ずっとここで煙草を吹かしては、菓子を貪り、仕事をサボって……。 こんな奴らにストレスなんてないくせに発散だ、と殴られる。
バイトの先輩ら
バイトの先輩ら
バイトの先輩ら
今日も朝まで飲み明かして、昨日も掃除したのに一瞬で汚くする。 なんて文句を真正面から言える程の肝は座っていない。
なかむ
バイトの先輩ら
バイトの先輩ら
もう少し時間かけて掃除した方が良かったかな。 開店までかなり時間空いちゃった、殴られる時間多くなっちゃった。
バイトの先輩ら
なかむ
せめて見えない所に、とか言える程頭は働かない。 呼吸が浅くなって言葉もまともに言えない…。
なかむ
耳鳴りが止まない、ぼたぼた、 と血や涙が服に落ちる音が聞こえて半分死んでいた脳が目を覚ます。 それでも地獄は終わってなくて。
時折聞こえてくるワイテルズの“みんな”への暴言に ほろほろと涙が流れた。
バイトの先輩ら
バイトの先輩ら
なかむ
バイトの先輩ら
みんなの悪口も傷を増やす手も止まる事を知らない。 もしかしたらこれがずっと続くんじゃないかと恐怖するほど。
バイトの先輩ら
バイトの先輩ら
あぁもうやだ聞きたくない、と脳が拒み、何も聞こえなくなる。
なかむ
その時、ばぁんと扉が開く。 視界いっぱいに光が差し、そこから見覚えのある人が入ってきた。
コメント
6件
表現が…美しい…取り敢えず…ヤバイ!(文字オタクなんで)
多分初コメ失礼します! いじめとか好きすぎる人なので凄い繰り返し読んでました! ありがとうございます!(?)