及川徹には正反対の妹が居ました。【完】

今日は人生最初で最後の大切な日

英とずっとこの日のために計画を立ててきた

私は綺麗な真っ白なドレスを身につけ、頭は綺麗にお団子にされている

耳には綺麗なピアス

靴までピカピカで危なくないように少し低めなヒール、

そう、私は今日

結婚するんだ

そんな重要な日だというのに私は結婚式場から飛び出した。

結婚式が始まるまで後20分

私は必死にある大切な物を探していた。

私は結婚式場に行く途中にここを通っていった

きっとここに落ちているはず……！

私はそう念じると先週の事を思い出した

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

※幸と英は同棲してます

ダンボールを開けるとそこにはお兄ちゃんからのプレゼントが入っていた

中にはすごく高そうで綺麗なネックレス、他にも沢山のプレゼントが入っていた

私は中に入っていた1枚の封筒を取り出した

幸と英くんへ 久しぶり！徹だよ！ 2人とも少し早いけど結婚おめでとう。 俺は今日本には居ないから結婚式に行けないけど、せめてプレゼントは渡したいと思って！ 中に入ってるネックレスは、幸に結婚式で付けて貰いたいなって、それが俺からのお願いです。 そして英くん！絶対幸を幸せにしてよね！？絶対だからね！ 及川徹

私はそのネックレスと手紙を抱きしめた

そんな大切なものだと言うのに私はなくしてしまった

ネックレス……付けて欲しいって言われたのに

私は申し訳なさでいっぱいだった

後ろからいつもとは違うタキシードがよく似合っていて、七三分けになっている英が走ってきた

結婚式の時間が迫っているのに、私はネックレスを探すのを優先した

だってお兄ちゃんがくれた物だから、絶対付けたい

嫌われたかな……

ｼｭﾙ……

英は腕まくりをし、そこらじゅうを探し回った

何をなくしたとも言ってないのに……

私は英の優しさに泣きそうになりながら、ネックレスの特徴を言った

なかったらどうしよう……

結局、ネックレスは見つからなかった

私は複雑な気持ちで結婚式を過ごすことしか出来ない。

私は涙が出そうだった

そういえば、時々英が席を立つけどどうしたんだろう……

私は真っ白なウエディングドレスの裾を軽く上げ、とぼとぼしながら歩いた

私が選んだのは真っ青な綺麗なドレス

私は目を輝かせた

どうしてもネックレスの事ばかり考えてしまう自分が憎い

英は焦りながら私の元へ走ってきた

ｼｭﾙ……

私の首にはお兄ちゃんからもらったあのネックレスが付いていた

私は人生で初めてお姫様抱っこをされた

英はクスッと笑った

ﾁｭｯ

頬に優しくキスを落とされた私は改めて思った。

私は満面の笑みで最初で最後の結婚式を過ごすことが出来た。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

俺はこの時初めて、

失恋してよかった と思った。

END