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ラトルの探し人

第9話 - 第9話

2024年10月13日

#オリジナル

#完全オリジナルストーリー

#ファンタジー

#ダークファンタジー

雨樹

悠里

さぁ？同じようなピアスなんてこの世にはいくらでも___

かなう

僕ね、何回かピアス関連の依頼を受けたことがある

かなう

ピアスを作っているメーカーは全部調べ尽くした。
もちろん個人で作っているものも。ネットショッピングで買えるものも全部

かなう

キミのピアス、何処のメーカーなの？

悠里

.....あなたの調べていない中にあるものなだけでしょう？

かなう

...そのピアス、60年前くらいのやつだよね

悠里

知りませんよそんなの

かなう

そのピアス、デザインが僕気に入ったから調べてみたんだ。

かなう

見つからなかったんだ。どこ探しても

悠里

検索漏れです。ただの。変な妄想はやめてください

かなう

キミのピアスはどうやって手に入れたの？

悠里

...........遺品です。祖父の

かなう

そう。その話詳しく

悠里

....あまり人の心に踏み入るのはいけません。ということだけ教えておいて差し上げます

悠里

いいでしょう。話して差し上げます。その代わり、話したらここから去りましょう

悠里

そしてもう二度とここには来ないこと。
私よりもっと酷い怪我をしてしまいますよ

奏雨

わかった。約束するわ

悠里

聞き分けがよくなりましたね。
これが成長というものでしょうか？

かなう

はやく

悠里

おや失礼

悠里

私の知る限りの話にはなるのですが、

悠里

祖父は村で有名な演奏家だったそうです

悠里

それも、10歳という若さで

悠里

祖父は音楽が好きでした

悠里

祖父の音楽はとても美しく、村の人々を魅了していたそうです

悠里

6歳になる頃、祖父は人形も好きになりました

悠里

とても美しくて可愛らしい人形

悠里

人形の持ち主の女の子も、音楽をしていたそうで仲良くしていたらしいんです

悠里

ですが、

悠里

10歳になったばかりの時、

悠里

その女の子は

悠里

消息が分からなくなってしまったんです

奏雨

まって

奏雨

その女の子って

かなう

名前は分かる？

悠里

いえ、そこまでは

奏雨

ねぇ、かなう。

奏雨

消息がわからないってどういうことなの？

悠里

生きているのか、死んでいるのか分からないのです

奏雨

生きてるかもってこと？

悠里

可能性はとても低いですよ

悠里

死んでいると思っていた方がいい状態でしょう

奏雨

そんな

かなう

そのおじいちゃんって今は？

悠里

母が産まれて数年後に亡くなってしまったんです

悠里

実は祖父も行方が不明で、、

悠里

たまにこうして来て調べてみているんです

かなう

そのピアスはどうやって見つけたの？

悠里

祖父の家の中になにやら小さめの箱がありまして

悠里

その中に入っていました。
まぁ家はところどころ崩れていたし祖父は見当たらなかったのですが

悠里

....こんなものでいいですか？ほら、早く帰りましょう

奏雨

......えぇ

かなう

わかった。ありがとう悠里

帰ろうと全員が1歩踏み出したときだった

遠くから地響きが聞こえる

奏雨

なんの音？

かなう

雷かな？

悠里

なにか嫌な予感がします。はやく行きましょう

奏雨

う、うん、

地響きがした方から目を逸らし、再び歩を進めると

突如、地面が揺れ始めた

奏雨

えっ、な、なに！？

かなう

地震！？

悠里

こんなところで地震なんて、、、、しかも結構大きいですね

振動は更に大きくなり、ついに私は立って居られなくなってしまった

屋根に積み上げられた様々なものがギシギシと音を立てている

悠里

危ないっ！！！！！！！

奏雨

ぇ？

突然の出来事に呆然としていると後ろの方で大きい音が鳴り響いた

どうやら瓦礫が大量に落ちてきて私の頭に直撃しそうになっていたらしい

かなう

大丈夫〜！？

悠里

ええ、なんとか！

幸い悠里が庇ってくれたため、3人とも無事だ

しかし瓦礫が邪魔をしてかなうの方へ行けない

かなう

ごめん、そっちにいけないみたい

かなう

僕は回り道して帰るから心配しないで

奏雨

でも、他に帰る道なんて

かなう

大丈夫だよ。探せばあると思う

奏雨

またさっきみたいなのが来たらかなうが危ない....

かなう

それは、、、気を付けておくよ。大丈夫

かなう

先に行っててくれる？

奏雨

.....わかった

悠里

私達の方でもなにか出来ないか探してみますね

かなう

ああ、よろしく

奏雨

じゃあ、かなうが帰られる方法を探しましょう！

悠里

いえ、帰りましょう奏雨さん

奏雨

え？どうして？かなうは？

悠里

残念ですが

悠里

ここから帰る道はこっちしかありませんし

悠里

瓦礫を越えられそうなものなんてこの村にはありません

奏雨

なんで言い切れるの？

悠里

全部調べたからです

奏雨

全部？これを？一人で？？

悠里

いえ

奏雨

じゃあどういう意味？調べ漏れとか、あるんじゃないの？

悠里

私が異動になる前、大規模な捜索などがここでありました

悠里

そこで、祖父がここに居たことを知ったのです

悠里

...詳しい話は後です。とりあえず安全な場所へ

奏雨

...ちゃんと話してよね

悠里

ええ、もちろん

悠里

この辺なら大丈夫でしょう

奏雨

で、どういうことなの？

悠里

50年ほど前、この辺りで大きな震災があったそうなのです

悠里

この村は、当時村として認識されておらず人など住んでいないと誰からも思われていました

悠里

しかし、今になってここに人が住んでいてしかも村があったことがわかったんです

奏雨

おかしい、、、なんで50年も知られてなかったの？

悠里

ここ、10年前まで池だったんです

悠里

水もかなり濁っていて汚くて、それで不気味で誰も近寄らなかったんです

悠里

しかし年々水位が下がってきてそれで、、、

奏雨

村があるってわかったの？
でもそれでなんでそんな大規模な捜索をするの？なにを捜していたの？

悠里

私の異動する前の署には毎日のように「家族を捜してくれ」と訴えかけてくる老人が居ました

悠里

その娘か孫かはわからないのですがその方は認知症だと言っていたので署でもそこまで問題にはしなかったんです

悠里

ですが、若い男子高校生が肝試しでここに近付いて酷い怪我をした時知り合いが駆けつけたらしく

悠里

そこを発見したのですが、そこが老人が言っていた場所と一致して

奏雨

一人の老人のために大規模な捜索をしていたの？

悠里

50年前の震災には不可解な点がかなりあって、それを調べるためでもあります

悠里

不気味で、祟りや呪いなのではなんて言う人も居ましたからね

奏雨

でももう沈んでたなら死んでるんじゃないの？

悠里

そうですね。見つかったのは骨が少々、あとはなにも

奏雨

....葵も、、、死んじゃったのかな

悠里

可能性は高いかと

悠里

葵さんの遺品についてなにか知ってることがあればお教えしますが

奏雨

..........ごめんなさい。なにも覚えてないの

悠里

そうですか。しかし、、前に調べた時より更に水位が下がっている気がしますね

悠里

この速さでこの下がり方、、なにかおかしい気がしますが、、、

奏雨

じゃあ前に探した時以外のものも見つかるかもじゃない？

悠里

どうでしょうね。あまりおすすめはしたくないですが

奏雨

でもこのままじゃかなうが

悠里

貴方のような華奢な女性じゃ危ないですよ。私もそこまで力が強い訳じゃないんですから

奏雨

でも警官なんでしょ？

悠里

衰えてるんですよ。歳ですよ歳。

奏雨

あなた幾つよ

悠里

28です

奏雨

若いの？

悠里

知りません。どっちでもいいでしょうそこは。

悠里

とにかくもう行かないでください。行くなら警官にでも言って付き添ってもらってください

奏雨

貴方警官でしょ

悠里

だから、、、、、はぁ、、、

奏雨

でも、一旦帰った方がいいのは確かかもね

奏雨

あなたの足も心配だし

悠里

私の足は大丈夫ですが、まあその気になってくれたなら帰りましょう

奏雨

あなたは帰っていいわよ

悠里

はい？

奏雨

私一人で行く。迷惑はかけないようにするわ

悠里

本気ですか？

奏雨

えぇ

悠里

.......死ぬかも知れませんよ

奏雨

構わない

悠里

苦しい死に方になるかもしれませんよ

奏雨

いいわ

悠里

...........助けませんよ

奏雨

しってる

悠里

........

悠里

......わかりました

奏雨

ありがとう。じゃあ、ありがとうね

悠里

私も行きます

奏雨

え？でも足、、、

悠里

血は止まってます。大丈夫です

奏雨

いいの？死ぬのよ？

悠里

いいんです

奏雨

怖くないの？

悠里

舐めないでいただきたい

悠里

ほら、早く行きますよ

悠里

怖いんですか？

奏雨

そんな訳ないでしょ

奏雨

行きましょう

絶対かなうを助けるんだ

そう心に決めて歩みを進めた

その瞬間だった

頭から鼓膜に響くようになにかキーンという音が鳴り響き

それと同時に激しい頭痛に襲われた

あまりの痛さに頭を抱えながら蹲ると耳の近くで何かが囁いている。なにを伝えようとしている？

わからない

痛い

うるさい

視界がぐるぐるしている

なにが

なにを

みえているのか

聴こえているのか

わからなくなっていく

叫ぶ声も聞こえる

なにもかんがえられなくなってしまった

ラトルの探し人

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