中也
中也
戸惑う中也に私は手を振り「やぁ」っと挨拶を交わした。
情報を集めるために私の状況を聞き出す。
太宰
中也
太宰
太宰
太宰
核心を突くと中也は固まって暫く動かなくなってしまった。
中也
俯向いて話す中也。
中也
太宰
中也はぽろぽろと泪を流す。地面に座り込んで震えだした。
太宰
太宰
中也
中也
彼の行動、話す言葉、思考一つ一つが気に喰わない。
パラレルの中也に会ってまだ数時間。この世界では私が庇って死んで中也が生きたことになっている。
若し、私なら死のうとしても死ぬなんて事はしない。中也が死んでまで私を守ってくれたもの。
織田作が私に人を救えと云ったもの。
ならば私は救える人を救ってから死ぬ。相棒が死んだから追って死ぬなんて…出来ない。
だから気に喰わない。信じられない。そんな中也…パラレルだとしても中也じゃない。
だから一度心を折ってやろうと思った。
太宰
太宰
太宰
太宰
正直私は死んだとき死んだ太宰治じゃないから詳しい状況はわからない。
だけど少なくともこの世界の太宰治も中也に生きてほしかったと思ったはずだ。
それなのに…なのに…
太宰
太宰
中也
中也ははっと気付いた顔をした。
少し窶れた顔で、困った顔でごめんと云った。
太宰
太宰
太宰
今日は少し雲が出ているがほぼ快晴。満月の月が川に反射し2つに見える。
そんな風景を前に私はぽつっと「月が綺麗だ」っと零してしまった。
太宰
太宰
そんな感慨深い事を云いながらちらっと時計を確認する。
時刻は午後11:30あと三十分。そうすれば中也は助かる。あと…少し
中也
太宰
中也
太宰
太宰
中也
中也
頭を書いてはぁと短く大きな溜息を付いた中也。
中也
太宰
でも…私はまだ中也と一緒に居たい。否、もうずっとこの世界に居たい。
太宰
中也
太宰
太宰
中也
中也
太宰
中也
久しぶりの言い合いが楽しかった。 でも微かにカチッと音が聞こえ、私は又浮遊感に包まれた。
待って…もう少しなんて願いは届くことなく私は白装束の処に引き戻された。
白装束
白装束は本を読んでいた。
太宰
白装束
白装束
太宰
白装束
つくづく思っていたが白装束は、本当に趣味が悪い。わざと愉しい処を選んで私に帰りたくないと思わせるなんて
まるで…
白装束
白装束
白装束
男はぱたっと本を閉じ、ベットに横たわる中也に近寄り手を握った。
白装束
白装束
白装束
白装束
顔は見えないが白装束の男はきっと布の下で笑っている。
私も中也の手を握ってみた。前回とは全く違う。本当に生きている人の温もりだった。
暖かくて、暖かくて、満たされる様な温もり。
その体温で中也はパラレルから連れてこられるのではなく本当に生き返るかもしれないと、密かに思った。
白装束
白装束
白装束
太宰
白装束
太宰
時計を見ると時刻は11時。
太宰
太宰
病室だし、夜だし、することが無くて暇を持て余していたところちょうど看護師が巡視にやって来た。
看護師
太宰
看護師
看護師
太宰
太宰
看護師はおやすみなさいと云って静かに病室の扉を閉めた。
眠れそうに無いけど夢を見る為私は瞳を閉じた。
看護師
看護師
看護師
看護師
コメント
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なんか…儚くて切なくて…残酷なのに暖かくて…なんか…すごく好きな物語です…!((語彙力どうした? すんごく好きです!
残酷なような…切ないような…