白い病室に髪色の明るい少年が気持ちの良さそうにすやすやと眠っていた。
すると目を細く開いて此方をじっと見つめた。
中也
中也
知らない間にパラレルに飛ばされた…急いで情報を集めねば
私は自分のパソコンで中也の診療録にすべて目を通した。
初診の記録から昨日の記録迄全部
然し、診療録に中也の元気な姿は見当たらない
痛々しい、見るに堪えない中也の姿がとてもリアルに残されていた
そしてある一文が目に止まった。
太宰
父親からの性的虐待と天使病
其れだけではない。 自傷癖、自殺未遂5回
他にもいっぱい書いてあった。
太宰
聞いたことも、見たこともない病名だった。
私はすぐ手元の携帯端末で天使病について調べる。
太宰
太宰
太宰
看護師
向こうを振り返ると中也がつまらなさそうな顔で他所を見ていた。
太宰
小学校高学年の男の子位の身長の中也。顔も何処か子供っぽさが残っている。
中也
太宰
中也
太宰
診療録で中也の元気な姿は全く見られなかったが実際彼はにこにこ笑って私と愉しそうにゲエムをしていた。
今回中也は病死。私は彼が患っている天使病という病を治さなければならない。
中也
太宰
中也
中也
太宰
此の世界の中也は中也っぽくないな。とてもやりやすい。
素直で、莫迦(褒めてる)で、子供っぽくて
とても一緒にいて楽しい。そして時々何時もの中也の面影が見える。
多分…私がやりやすいと思うのは中也に似て無いから。中也に似ていると胸が痛い。
中也
医者
眼鏡の真面目そうな医者がひょこっと顔を出した。
太宰
医者
太宰
若い 眼鏡の医師が私に紙の束を渡す。
医者
医者
終始おどおどしていた彼だが誰かに似ているように感じた。でもそんなことはいい。彼にもらった論文を私は一晩読み込んだ。
論文には奇病の定義、原因、症状、治療薬、治療法が細々と書かれている
花吐き病から心傷病、星涙病等
どれも見たことがない
太宰
太宰
正式名称は絶対創作奇病だ。なんて思いながら頁を捲ると天使病の処に辿り着いた。
太宰
太宰
其処に治療法は無い。不治の病だと書かれていた
太宰
然し、此の論文は少し古い物。あの眼鏡くんが渡してくれた論文の中に新しい物も幾つかある。
私は死物狂いで中也が助かるであろう事が書いてある書類を探した。
今回知らない間に飛ばされてしかも、無理ゲーだなんてあの白装束は絶対にしない。
そう信じて次のページを捲ると天使病の治療法に大きく丸が付けてあった。
太宰
太宰
面白い。
看護師
看護師
看護師
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