黒
黒
黒
黒
黒尾
黒尾はネットにもたれ、腕を組んでコートを見ていた。
表情はいつも通りの余裕。
だが、視線だけは一人の選手に固定されている。
黒尾
黒尾
声を出し、笑って、全力で動く。 だが、新しい連携や気づきには踏み込まない。
言えるはずの一言を、必ず飲み込む。
黒尾の脳裏に、さっきの光景が蘇る。
誰かに耳打ちしかけて、急に顔色を変えた日向。
黒尾
失敗の顔じゃない。 叱責への恐怖でもない。
「言ったら壊れる」と知っている人間の顔だ。
黒尾
――最後に残るのは、 「信じた自分が悪い」という後悔だけだ。
黒尾は隣に立つ研磨を見る。
研磨は静かに、日向を観察していた。 派手な動きの裏で、微細な変化を拾う。
研磨
研磨
アイデアを思いついた瞬間は分かる。
動きが変わり呼吸が止まり目が揺れる。
研磨
研磨
研磨
もっと深いところ。
奪われることへの恐怖。
研磨
ぐしゃりと潰されたメモを思い出す。 あれは、ただのノートじゃない。
研磨
研磨
研磨
それが、余計に切ない。
黒尾
研磨
黒尾
黒尾
研磨
黒尾
研磨
研磨
黒尾
研磨は、影山のトスを打つ日向を見る。 その瞬間だけ、恐怖が消える。
研磨
裏切らない存在。
研磨
黒尾
黒尾
黒尾
研磨
コートの中央で、日向は 今日も太陽のように笑っていた。 だが今、その光の下にある影を、 確かに見ている者が増え始めていた。
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