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10タップで友を見殺しにした俺は友の分まで生きると誓ったので50タップで死ぬなんて結末は辿らない。
第1話 - 10タップで友を見殺しにした俺は友の分まで生きると誓ったので50タップで死ぬなんて結末は辿らない。
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2021年05月29日
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2021年05月29日
あいつはお人好しすぎた。
俺なんかと友達でいるから、「ホイホイ」とか言う悪魔の餌食になるんだ。
生きにくいこのご時世。仕方の無いこと。俺を責める者は誰もいなかった。
だけど…だけど
あいつの断末魔は、今でも耳にこびりついてる。
死ぬその瞬間まで俺の名を叫び続けたあいつ。 俺を友達だと言ってくれたあいつ。
___俺はあいつの分まで生きると誓った。
だから59タップで死ぬなんて結末は辿らない。
体も心も真っ黒な俺は、悲鳴が最大のご馳走だ。
日々水気が多い台所や食べカスを放置しているご家庭にサプライズ訪問して悲鳴や絶叫を欲しいままにしている。
承認欲求を満たしたらあとは排水溝に向かって全力ダッシュだ。 リスキーだがこれがやめられない。止まらない。
___そんなわけで今日も俺はご馳走を求めて市内を散策していた。
どこかしらの中学校に出た。学校も悪くねぇな…と思ったが今日は日曜日だ。
校庭では人間のオスどもがボールを蹴りつけて追いかけ回していた。
とりあえず校庭に入ると先客がいた。
同胞かと一瞬思ったが、そいつは俺達と見た目が似てるコオロギだった。
「儲かりまっか」と挨拶して隣に並ぶ。が、何の反応も無い。
俺
コオロギ
そいつは触角をビンッと立てて怒鳴って来た。
コオロギ
コオロギ
俺
コオロギ
コオロギ
俺
コオロギ
俺
コオロギ
その時。
オスどもが蹴ったボールがもの凄い勢いで飛来し、コオロギを弾き飛ばした。
一瞬の出来事だった。
慌ててコオロギのもとに駆けよったが、そいつはもう動かなかった。
俺はボールを蹴ったオスを家の中までストーキングし、
奥義【冷蔵庫の下からコンニチハ】を繰り出した。
ものっ凄い悲鳴を上げるオス。コオロギの仇っ! しかし、そいつは「姉ちゃん」を召喚した。
俺を見ても眉1つ動かさない「姉ちゃん」は俺に殺虫剤を噴射した。
それが最近ゴキブリネットワークで話題になってる殺虫剤だと気づいた時には、もう遅すぎた。
体が動かない。…俺は、死ぬ?
駄目だ。俺は誓ったんだ。
___俺は重くなった足を懸命に動かした。
姉ちゃん
背後で再び噴射音がした。
必死で逃げる俺の脳裏に
あいつと過ごした日々が浮かんでは消え、消えては浮かぶ。
走馬灯か?やめろ縁起悪ぃ。
俺は死ぬわけにはいかない。あいつの分まで、俺は、
絶対に生___
コメント
7件
お姉ちゃん、強いですね!!アイコンで「怖っ!」と思いました💦
初コメ失礼します。 とても面白かったです。姉ちゃんのアイコンが死神だった所は特に笑いました笑 それと、もしかしてこのGの名前って、ゴキ夫では…?