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主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 血表現注意⚠️ 花魁パロ
主
主
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16,崩れ落ちる駆
切見世の夜は、長い。
花街の喧騒が遠のいたこの場所では、三味線の音も、艶やかな笑い声も響かない。
代わりに耳に届くのは、咳き込み、呻き声、時折混じる泣き声だった。
湿った板の間に横たわる翠嵐は、白粉を塗ることも許されぬまま、布団代わりの薄い掛け物に身を包んでいた。
体の芯からじわじわと冷えが這い上がり、喉の奥に鉄の味がまとわりつく。
翠嵐
込み上げる咳に抗えず、口元を押さえる。
掌に広がった赤は、もはや隠す必要もなかった。
座敷の隅では、かつて名を馳せたであろう女たちが、痩せた体を寄せ合っていた。
頬はこけ、目は虚ろ。
それでも客が来れば、笑みを作り体を差し出さねばならない。
翠嵐
翠嵐は乾いた息を吐き、天井を仰いだ。
そのとき。
番人の荒声と共に、腕を乱暴に掴まれる。
力なく抵抗しながらも引きずられ、暗い座敷へと押し込まれた。
粗末な卓の向こうにいたのは、下卑た笑みを浮かべた客だった。
その言葉に、翠嵐の胸が焼けるように痛んだ。
かつては「花鏡楼の華」と呼ばれた自分。
だが今は、ただ「安物の病人」として品定めされている。
翠嵐
思わず唇から漏れた声に、客が怪訝な顔をする。
翠嵐
震える声が、座敷に落ちた。
夜半。
座敷から戻された翠嵐は、畳の上に崩れ落ちたまま動けなかった。
視界は霞み、息を吸うたびに胸を刃で裂かれるように痛む。
翠嵐
翠嵐
血に濡れた唇から、掠れ声が漏れる。
翠嵐
だが、その声を聞く者はいない。
切見世にいるのは、既に花魁ではなく、ただの「壊れた人形」たちだった。
その頃、花鏡楼。
なつは扇を閉じ、低い声で言った。
紅鶴
紅鶴
こさめが頷く。
蒼霞
蒼霞
桃李
らんが怒鳴った。
桃李
みことは拳を震わせながら立ち上がる。
黈羽
黈羽
いるまが薄く笑った。
茈月
茈月
五人の決意が、一つに固まり始めていた。
切見世。
翠嵐は、朦朧とする意識の中でふと視線を上げた。
煤けた柱に掛けられた、割れた鏡片。
そこに映る自分の顔は、もはや花魁ではなく、ただの病に蝕まれた男だった。
翠嵐
視界が滲み、涙と血が頬を伝う。
翠嵐
夜の闇が深まる中、翠嵐の躯は、確実に崩れ落ちていった。
16・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡170
主
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