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【短編集】

8 - 命に変えても、君は守る

♥

40

2021年08月09日

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るいの

ん、あれ...ここは...?

目が覚めると、病院にいた。

ベッドには、自分が寝ていた。

るいの

(ああ、これが幽体離脱か)

そう、すぐに察した

そもそも、どうして病院にいるのか、それは意識が途切れる前、部屋でストーブを換気をせずに付け、毒と睡眠薬を飲んで寝てたからだろう。

ちなみに飲んだ毒というのは青酸カリだ。

青酸カリの作用だとしても、換気されずに排出され続けた一酸化炭素の作用だとしても、僕が死ぬのは確定だったはずだ。

それなのに病院で寝ているということは、意識不明か何かに陥っているのだろう。

るいの

(運がいいんだか悪いんだか...)

何故僕は自殺未遂を起こしたのかと言うと、恋の病とやらにかかっていたのだ。

僕のかかっている病は、叶うはずの無い恋。

るいの

(菜乃羽...)

菜乃羽とは、僕が想いを寄せている女(ひと)。

当然、女同士であるため、この恋が叶うわけなど無い。

るいの

(何で中途半端なことになっちゃったんだろう...)

そんなことを考えていると、病室に誰かが入ってきた。

菜乃羽

お邪魔します...

るいの

(菜乃羽...!?)

病室に入ってきたのは菜乃羽だった。

菜乃羽が来ることは、友達なのでおかしいことは何もないが、その時の僕はとてもテンパっていた。

るいの

(待って!?何で菜乃羽がここに...!?)

菜乃羽

るいの...もう1ヶ月たったんだよ...

菜乃羽

いい加減目を覚ましてよ...

菜乃羽

自殺未遂で植物状態...??

菜乃羽

何馬鹿なことしてるの...

菜乃羽

悩みがあるなら相談してっていつも俺に言ってたよね...??

菜乃羽

なのに...何で...

菜乃羽

何でるいのは相談してくれなかった訳......

るいの

(菜乃羽...ごめんね...)

涙を流しながら寝ている僕に話しかける菜乃羽を見て、僕は心の中で彼女に謝ることしかできなかった。

しばらく泣いた後、『また来るね』と呟き、菜乃羽は帰っていった。

るいの

...ごめんね、菜乃羽...

るいの

僕の悩みは、君には相談できなかったんだよ...

るいの

君だけじゃない

るいの

他の誰にも...

るいの

ん...

るいの

ここどこ...

あ、やっと起きた~

ヘラヘラと嘲笑的な笑いを浮かべながら若い青年が言った

るいの

貴方は...

俺?

一応神やってるよ

気軽に澪って呼んでよ~

るいの

は、はぁ...

まあ俺が澪なのは生前の名前がそうだからなんだけどね~

るいの

せ、生前...

そんなことは置いといて

お前さ、今植物状態でずっと寝てるのは把握してる?

直前までとは違い、しっかりとした雰囲気で神は問うた

るいの

あーはい、一応...

ん、了解

じゃあ、これだけは覚えておいて

生きている人間に手を加えてはいけない

さもなくば──

るいの

ハッ!

るいの

(夢...?)

夢じゃないよ~

るいの

(...ガチか...)

まあでも、人に手を加えずに過ごせばいいんだろう。

そう思ってた──

るいの

...

僕は、見舞いに来てくれた菜乃羽についてきて、商店街まで来ていた。

るいの

(用事でもあるのかな...)

その時

  

きゃぁぁぁー!!!

通り魔

うるせぇ!どけぇぇー!!

通り魔は、菜乃羽の元へ走っていった。

菜乃羽

え...

るいの

(危ない...!)

僕は菜乃羽をにタックルをしようとした。

その時、神の言葉が頭をよぎった。

生きている人間に手を加えてはいけない

さもなくば、君は死ぬだろう──

るいの

(いいよ...それだって...)

るいの

(菜乃羽を守れるなら、僕は死んでもいい...!)

ドンッ!

ドンッ!

菜乃羽

!?

俺は、何か、横からの力に飛ばされ、道の脇へと移動した。

菜乃羽

いたた...

通り魔の方を見ると──

菜乃羽

る...いの...?

るいの

────

通り魔

────

るいのと通り魔が取っ組み合いをしていた。

警察

動くな!警察だ!

そのまま、通り魔は現行犯で逮捕されていった。

通り魔

くそっ!どうなってるんだよ!

通り魔

見えない奴に足止めされたんだよ!

警察

はいはい、話は署で聞くから

菜乃羽

(見えない奴...?)

菜乃羽

(るいのは他の人には見えてなかったの...?)

確認しようと、るいの達が取っ組み合いをしていた場所に目を向けると...

るいのが消えかかっていた

菜乃羽

るいの...?

るいの

菜乃羽...

るいの

無事でよかった...

るいの

さよなら、幸せになってね

るいの

好きだった...

るいの

引かれると思って言わなかったけど...

菜乃羽

それってどうい──

そう問いかけた頃には

もうるいのの姿はなかった

看護師

通話終了

通話
00:00

その時、電話が掛かってきた。

菜乃羽

もしもし...

菜乃羽

はい...はい...

菜乃羽

そうですか...

菜乃羽

ありがとうございます...

電話の内容は、るいのが亡くなったという知らせだった

菜乃羽

好きだったって...

菜乃羽

引かれると思って言わなかったけどって...

菜乃羽

俺も好きだったよ...るいののこと...

菜乃羽

目を覚ますって信じてたのに...

菜乃羽

こんなのあんまりだよ...

菜乃羽

うっ...あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

その夜、一人の少女の泣き叫んだ声が響き渡ったのだという──

この作品はいかがでしたか?

40

コメント

21

ユーザー

わーーー(涙)

ユーザー

いい話だァ( ・ ∇ ・ )

ユーザー

おぉ〜!好き(・▽・)

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