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ReActress

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ReActress

2 - ReActress 1

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2019年05月16日

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もう少しで

あとほんの少しで

届くのに

私はーー

女子

『だれが……こんなこと……』

千里

『さあ、ね』

千里

『元はと言えば、貴方が悪いのよ……?』

私がこの場面で言うべきセリフはこれだけだ。

女子

『っ……』

女子

『あなただったの……?』

女子

『それでも……私は……嫌いになれないっ!』

でも、

私はこの場面が嫌いだった

千里

『なによっ……』

千里

『今更、遅いわよ……』

もし、私が、

この役の女の子本人であれば、

絶対に謝ったりはしない。

千里

『私だってやりたかったわけでは無いのよ……っ』

こんなセリフなんて言わない。

女子

『じゃあ、今からでも』

女子

『やり直しましょ?』

もし私が彼女なら、

そんな提案には乗らない。

千里

『え……』

絶対に言うわけがないのだ。

悪役は

悪役らしく

千里

『いいの……?』

突き通しましょう?

千里

なんて言うと思ったの?

女子

へっ……?

千里

私はね、あんたの事が大嫌いだったのよ

千里

昔から、ね

ああ、

そうだ

私は

嫌いだったのだ

目の前の彼女(ヒロイン)が。

千里

ふふっ

千里

どう?今の気分は

女子

いや、だって

女子

そんなセリフ……

千里

あら、どうしたの?

千里

もう1回言ってあげましょうか?

女子

あ、『貴方がそう言うのなら、良いわ』

千里

ええ、それでよろしいわ

この気持ちは

きっと

私(悪役)のものだ。

千里

じゃあ、ね

ー終了後

舞台から降りた後、すっと身体の力が抜けた。

千里

あ、れ

私は一体何をしていたのか

記憶は確かにあるのだ。

でも

それが、本当に私なのか

分からなかった。

千里

なに……これ……

まるで

私が

私で無かった

そう、

まさに

彼女(悪役)だった

女子

なに、あれ

千里

えっ……?

女子

いや、だからさ、さっきの

千里

あっ、

千里

その……

女子

まあ、いいけど。やめてよね。ああいうの。

千里

う、うん

早くこの場から立ち去りたい。

きっとみんな思っただろう

「なんだアイツ」って

千里

(嫌だなあ)

千里

(せっかく逃げてきたのに)

そもそもこの高校に来たのだって、中学の時にやらかしたからだ。

同じようなことを。

あの時も、せっかくの台本をぶち壊してしまった。

千里

(なんでこんなことになっちゃうんだろう……)

千里

はぁ

雪花

あー!!!

雪花

いたー!!!

千里

えっ……?

千里

あ、雪花ちゃん

雪花

千里っぴーー!

千里

なにその呼び方……っ

雪花

ねえ、あのさ、

千里

ん……?なに……?

雪花

演劇同好会、入らない?

手を握られて迫られた。

過去にも、これからにも無い真剣な勧誘だった。

千里

はい?

雪花

だから、さ、演劇同好会、入って欲しいの!

千里

え、いや、なんで……?

この時の私には不思議で仕方なかった。

雪花

あのね、さっきの見てたの。

雪花

千里っちの観てたら、ね、ほんとにその場に本人がいたように見えたの

雪花

あんなの観たら、もう、入れるしかないって思って……!

初めてだった。

怒られることはあっても

褒められることはなかったから。

だから、

私はこう返そう。

千里

うん、いいよ……っ

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