殺してしまおう。

そういった辰巳の目は真剣で、俺の心が揺れた。

2年前。

俺の友達に紹介された時が、俺たちの出会いだった。

いや、正確に言えば、もっと前から辰巳の事を知っていた。

学校ですれ違って、気になっていた。

最初は恋だなんて気づいてなかったけど、途中から気づいた。

あぁ、これが恋なんだって。初めて思った。

だから友達になれて、嬉しかった。最初はお互い緊張してた。

でも、時を重ねていくうちに、どんどん砕けていって今では超仲いい親友。

それは凄く嬉しかったし、楽しかった。でも、思いは告げないと決めていた。

理由は、俺も男で辰巳も男。

それに、アイツには好きな奴もいる。

だから、このままで良かった。

一方的に想えるだけで良かった。

俺は約一ヶ月前から恋愛相談を受けていた。

相談を受ける度に俺は苦しくなった。

だけど、アイツは普通の人間で、女の子と恋をするのが普通で、俺の気持ちなんて邪魔なだけだ。

だから、俺は親友として、アドバイスをしてやる。ただ、それだけでいいんだ。

自分の想いは押し殺した。

辰巳が幸せになれるなら、俺の気持ちなんてどうでもよかった。

ー3日後ー

じゃあな、と言いながら辰巳は玄関のドアノブに手をかける。

颯爽とアイツは部屋を出た。

いつの間にか俺は、泣き叫んでいた。

俺は今まで抑えていた感情が溢れ出ていた。

嫌だ嫌だ嫌だ どうして 信じたくない これは夢だろ？ なんで 嘘だ どうしてだよ俺はお前が好きなんだ 嫌だ 他の奴の物にさせたくない なんで なんで俺の気持ちに気づいてくれないんだよ 嫌だ ずっと前から好きだった 好きなんだ 告白なんてしないでくれよ 行かないでくれ

告白なんて失敗すればいいんだ！

失敗してしまえ！

そう思った瞬間、アイツの笑顔が思い浮かんだ。

出来ない。アイツの幸せを奪うなんて。

次の日、俺は夕方まで寝ていた。

突然、家のインターホンがなった。

嫌な予感がして、恐る恐る扉を開ける。

そう言って辰巳は俺の目を真っ直ぐ見つめてくる。

嫌だ、聞きたくない。

ダメだ、聞かなければ。

そう言いながら俺の肩を叩く辰巳は嬉しそうだった。

駄目だ、抑えろ。

泣いてしまいそうなのを堪えて、いつものように強く笑った。

そう言い、アイツは幸せそうに笑っていた。

なぁ、辰巳。俺はちゃんと笑えていたか？

そう思っていると、

辰巳が部屋を出る。

そんな中、俺は1人呟いた。