アニキの無痛症-2
あの日、、
オレは神にあった。
初兎が死んでから1週間、
もう楽になりたくてマンションの屋上から飛ぼうと決めた日。
若いのか、 老いているのか
男か、 女か
無邪気さも、 不気味さも、 危うさも、、
オレの中で凍りついたと思っていた感情を、 ぐちゃぐちゃにしたようなその声は、
初兎を助けられる
と言った。
ただし…
オレの痛覚と引き換えに。
勿論承諾したオレは、いつしか痛みを感じなくなっていた。
そして…
悠佑
初兎
悠佑
初兎
初兎
悠佑
悠佑
悠佑
初兎
悠佑
家に帰ってから、仕事が忙しいからと早々に部屋に引き上げるまで。
一度も目を合わさない。
遠慮がちに帰宅を伝え、 何かから逃れようとするかのように部屋に籠る。
初兎
アニキは最近小さな怪我をすることが増えた。
ちょっと包丁で傷つけたり、 紙で指先を切ってしまっていたり、、
それも、 本人は全く気づいていないのだ。
初兎
初兎
初兎
突然の塩対応 増える一方の傷 何かに怯えた様子
初兎
初兎
パタン
軽い音を立てて閉まったドアに寄り掛かり、 ずるずるとしゃがみ込む。
横倒しになって目を瞑った。
冷たい床が心地よい。
痛みを失ったあの日から、 上手く笑えなくなった。
(このままでは、初兎を失う痛みまで忘れてしまうのではないか)
そんな不安さえ最早感じなくなった。
強く唇を噛み締める。
口内いっぱいに広がる鉄の味
唾液と混じって口の端を伝うそれを拭うことも、目を開けることもなく、 悠佑は眠りに落ちた。
初兎
彼と共に過ごす日々は幸福で
いつまでも続くようにと切に願った。
でも その幸福を感じる時
胸の奥に、 鋭くて、 どこか暖かい
小さな小さな痛みを感じている。
夜の大通りは家へと急ぐ大人で溢れかえっていた。
歩道橋を渡りながら眺める街の景色は 恋人と眺めるに相応わしく、 キラキラと輝きを放っている。
悠佑
初兎
他愛もない会話をかわし、家路につく
初兎
柄にもないことを思った初兎がうっすらと赤面した時、
悠佑
初兎
悠佑が走り出した
初兎
悠佑の視線の先には、 まさに階段から転がり落ちそうな人の姿。
誰のものかもわからない悲鳴だけが鼓膜に妙にこびりついている。
気持ちばかり焦って、なぜこんなにも気がせくのかもわからないまま 鉛のような足を持ち上げてよろよろと歩く。
見下ろした地面には、 緋色が飛び散り、 その中に眠るように横になる恋人は、
それでもなお笑っていた。
初兎
ふと、声が聞こえた。
生き返らせてやろうか 恋人なのだろう?
男か女か 若いか老いているのか わからない声は続ける。
ただし…
これにてこのお話は終わりになります
無理矢理場面を転換したり、 いきなり時間が飛ばしたりしたので、 読みにくい部分もあったかと思いますが
お付き合いくださった方、ありがとうございます😭
ちなみに、 『アニキの骨折』 はこのお話の後日談と思っていただければ、リンクするように作ってあります。
コメント欄に簡単に作者の考察を書いておきますが、
いろいろな読み方を、考察を していただけると嬉しいです😊
それでは!
おつなる!! ฅ^•ﻌ•^ฅニャァァァァァァァァァ!!!!!!
コメント
25件
はえぇぇ なるせさんに最近出会い、過去作を読み返していたらこんな神作に出会うなんて、、 言葉のチョイスとか展開とかもう好きすぎて何て言ったらいいのか… 他の作品も見ててめっちゃファンになりました笑
すごっ………あれ?これTELLERだよね…?表現力とストーリーが……ちょっと分けてもろて((( 白黒組の相手を思う優しさが泣ける(*T^T)
うーん…なるほどねぇ… お互いに恋人を生き返らせた…という解釈でよいですかね? ちょっともう1回呼んでこなきゃ…