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ねこねこにゃんこ
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#〔インターネット少年/少女〕
狸野 ゆゆせ
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配信開始の十分前から、朝比奈ひかりは落ち着かなかった。 いつもなら、レイと軽口を交わしている時間だ。 昨日は何を食べたとか、次の企画はどうするとか、どうでもいいような話をしながら、配信の準備を整える。 それが、今日は少し違う。 ひかりは机の上のマグカップを持ち上げて、ひとくちだけ紅茶を飲んだ。 ぬるい。
……いや、温度の問題じゃない。 ただ、胸の奥が落ち着かないだけだ。 十八話目。 レイと、あのカフェで向き合った日。 「ひかりのこと、気になるだけじゃ足りなくなってきた」と、レイは言った。 そしてひかりも、自分の気持ちを、ほんの少しだけ言葉にした。
気になる。 嬉しい。 レイのことが、やっぱり好きかもしれない。 そこまで分かってしまったあとで、今まで通りに笑うのは、想像よりずっと難しかった。
月城 レイ
イヤホン越しに、レイの声がする。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、言葉に詰まった。 画面の向こうでは、レイがきっと少しだけ笑っている。 その顔が浮かぶだけで、また胸が熱くなる。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイの声は、いつも通りみたいでいて、少しだけやさしい。 それが、ひかりには余計に危なかった。 こんな声を聞いて、平気でいられるわけない。 ひかりは、ひとつ深呼吸して、配信ボタンに手を伸ばした。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
配信が始まる。 画面には、いつもの二人のアバターが並んでいた。 だけど、今日はコメント欄の反応がやけに早い。
『待ってた!』 『今日の空気、なんか甘くない?』 『二人とも声やわらかい』 『昨日の続きですか?』 『距離近くない?』
朝比奈 ひかり
ひかりが声を上げると、レイが少しだけ笑った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その“へえ”が、いつもより少しだけ意味ありげに聞こえる。 ひかりは、画面の端に並んだコメントを見ないようにしながら、マイクに向かって笑った。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイが繰り返す。 その声が少しだけ低くて、ひかりの心臓がまた一つ跳ねた。 コメント欄は当然、騒いでいる。
『今の“普通に”が怪しい』 『レイくんの返しがやさしい』 『ひかりちゃんちょっと照れてる?』 『もう何かあるだろこれ』
朝比奈 ひかり
ひかりは反射で否定する。 レイが、少しだけ間を置いてから言った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、少しだけむくれた。 レイがいつもと違う。 いや、違うのはひかりのほうなのかもしれない。 好きだと気づいてから、レイの声が全部まぶしい。 ちょっとした言い回し。 ちょっとした沈黙。 ちょっとした気遣い。 全部が胸に残ってしまう。
今日の配信は、協力型の脱出ゲームだった。 二人で謎を解いて、仕掛けを見つけて、先へ進む。 難易度はそこまで高くないけれど、少しだけ連携が必要になる。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
そのやり取りに、コメント欄が湧く。
『息ぴったりw』 『レイくん、ちゃんと助けてるの優しい』 『ひかりちゃんの反応かわいい』 『この二人、雰囲気ふわふわしてる』
ひかりは、コメントを見て少しだけ顔をしかめた。 ふわふわって何。 でも、たしかに自分でも分かってしまう。 今日はいつもより、少しだけ空気がやわらかい。 その理由を考えると、ひかりはすぐに黙ってしまう。 レイの声がやさしいからだ。 たぶん、違う。 正しくは、レイの声が、ひかりに向けられるたびにやさしく感じるから。 ……それがもう、駄目なのかもしれない。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりの手が止まった。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、言葉を探した。 なぜそんなに反応してしまうのか。 自分でも分からない。 でも、レイにそういうことを言われるたび、胸がうるさくなる。 好きだから。 そうだとしたら、全部つながる。 でも、その答えをはっきり口にするのはまだ怖い。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、慌てて自分の頬を両手で押さえた。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
コメント欄を見たら、もう案の定だった。
『顔赤いのバレてる』 『レイくん、攻めてるな』 『ひかりちゃん、照れてるの隠せてないw』 『今日はだいぶ甘い』
朝比奈 ひかり
ひかりが即座に否定すると、レイが少しだけ笑った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは一瞬だけ黙る。 本当のことを言えるはずがない。 レイのことが好きだから、なんて。 そんなの、配信中に言えるわけがない。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
言ってから、ひかりははっとした。 ……今の、自分で言ったじゃん。 気にしてくれているのが、嬉しいって。 レイも、それに気づいたのか、少しだけ黙る。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その“ふうん”が、妙に静かだった。 ひかりは、顔を真っ赤にしたまま、ゲーム画面へ視線を戻した。 でももう、心は全然そこにない。 だめだ。 今日は、ひかりのほうが先に崩れてしまう。
中盤、ゲームの仕掛けで少しだけ難しい場面になった。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
しばらくして、仕掛けが動く。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりが何気なくそう言うと、レイの操作が一瞬だけ止まった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、言ってから自分でしまったと思った。 でも、もう遅い。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイが、少しだけ黙った。 その沈黙が、ひかりにはいつもよりずっと長く感じられる。 コメント欄が、静かに騒いでいる。
『今の、かっこいいって言った?』 『レイくん、止まったぞw』 『ひかりちゃん、今の完全に本音だっただろ』 『甘すぎる』
ひかりは、モニターの前で完全に固まった。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイは、少しだけ言葉を切った。 そして、ほんの少しだけ声を落とす。
月城 レイ
ひかりの心臓が、どくん、と鳴った。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その一言に、ひかりは一気に顔が熱くなる。
朝比奈 ひかり
レイが、そんなことを。 こんなふうに、素直に。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは言葉を探して、でもうまく出てこない。 レイは少しだけ笑う気配を見せた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイが少しだけ黙る。 そのあと、わずかに声がやわらかくなった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、思わず笑ってしまった。 レイのその返しが、妙にずるい。 でも、嫌じゃない。 むしろ、嬉しい。 だって、いまのは。 ……ああ、だめだ。 こんなふうに思うのは、もう完全に。
レイが、自分に向けてくれる少しだけやさしい言葉。 少しだけ低い声。 少しだけ静かな間。 その全部が、ひかりには特別だった。 コメント欄は、もう完全に気づいている。
『今日、かなり甘い』 『レイくんがひかりちゃんにやさしすぎる』 『ひかりちゃんの反応が全部わかりやすい』 『もう隠せてないのでは?』
朝比奈 ひかり
ひかりが否定すると、レイがすぐに返す。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは、少しだけ笑った。 その笑い声が、また胸に落ちる。 好きだな、と思う。 こういう、少しだけ意地悪で、それでもやさしいところが。 気づいたら、ひかりはずっとレイばかり見ていた。 画面の向こうのゲームより、コメント欄より、レイの声のほうが気になって仕方ない。
配信は後半に入って、二人とも少し疲れてきたころだった。 ゲームのラスト手前、ひかりが少しだけ操作をミスして、敵に追いかけられる。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
そのやり取りの途中で、ひかりのキャラクターはなんとか逃げ切った。 画面の中で息を切らせるキャラを見ながら、ひかりは大きく息を吐く。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイが、少しだけ笑う。 その笑い声が、いつもより少しだけ低くて、やさしい。 ひかりは、その声を聞いた瞬間、胸の奥がどうしようもなく熱くなるのを感じた。 もう駄目かもしれない。 本当に。 レイが少しだけやさしくするだけで、こんなにも揺れてしまう。 その事実が、恥ずかしいけれど、嬉しい。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、少しだけ言葉を選ぶ。
朝比奈 ひかり
レイが、一瞬だけ黙った。 そして、少しだけ声を落とす。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは、少しだけ笑った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その返事が、ひどく静かで。 なのに、やさしかった。 ひかりは、画面の中のキャラを動かしながら、どうしようもなくレイのことを意識してしまう。 今日のレイは、いつもよりずっと近い。 声も、言葉も、目線も。 たぶん本人は、特別なことをしているつもりはないのだろうけれど。 それが、ひかりには危なかった。
配信の最後、クリア目前。
朝比奈 ひかり
ひかりの合図に合わせて、レイが操作する。 画面の中で扉が開き、キャラクターたちがゴールへたどり着いた。
朝比奈 ひかり
ひかりが声を上げる。
月城 レイ
レイの声も、少しだけ安堵していた。 コメント欄が一気に流れる。
『今の連携よかった!』 『今日も相性良すぎ』 『レイくんの声が甘い』 『ひかりちゃん、ずっと照れてた?』 『このふたり、空気がもう……』
朝比奈 ひかり
ひかりは、半分笑いながら半分本気で言った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その言い方が、少しだけやさしい。 ひかりは、画面越しにレイを見た。 見えないのに、見てしまう。 今日の配信は、ずっと落ち着かなかった。 でも、嫌じゃなかった。 むしろ、嬉しかった。 レイの声が、いつもより少しだけ自分に近かったから。 そのたびに、ひかりの心が揺れてしまったから。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
配信終了前の締めの準備をしながら、ひかりは少しだけ息を吸った。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは少しだけ黙った。 そして、短く答える。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、少しだけ笑った。 そして、その笑いのまま、最後の挨拶をする。
月城 レイ
配信終了。 画面が暗くなる。 その瞬間、ひかりは少しだけ肩の力を抜いた。 けれど、心の中の熱はまったく冷めていない。 配信後の通話がつながる。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、少しだけ黙る。 でも、もう隠せない気がした。
朝比奈 ひかり
レイが、静かに待つ。 ひかりは、そこでやっと言葉を選んだ。
朝比奈 ひかり
沈黙。 ひかりは、言ってしまってから、自分の顔が一気に熱くなるのを感じた。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイの声は、少しだけ静かだった。
月城 レイ
ひかりは、息を止める。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
言われてしまった。 完全に。 ひかりは、言い訳を探したけれど、もう遅かった。 レイは、少しだけ間を置いて、静かに言う。
月城 レイ
ひかりの頭が、真っ白になる。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイはそこで少しだけ言葉を切った。 その沈黙が、ひかりにはやけに長く感じられる。
月城 レイ
ひかりは、スマートフォンを握ったまま動けなかった。 今のは。 今のは――。
朝比奈 ひかり
かすれた声しか出ない。 レイは、少しだけ笑った気配を見せた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その一言で、ひかりの胸がきゅっと鳴る。 “誤魔化せない”。 まさに、その通りだった。 ひかりも、もう誤魔化せない。 好きだと自覚した気持ちも、レイのやさしさに揺れる心も。 全部、全部。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
言いかけて、止まる。 今ここで言ってしまったら、何かが変わる。 もう戻れない。 でも、たぶん、戻りたくない。 ひかりは、深く息を吸った。
朝比奈 ひかり
レイが、何も言わない。 たぶん、今の言葉を、ちゃんと受け取っている。 ひかりは、自分の声が震えているのを感じた。 でも、もう止められない。
朝比奈 ひかり
ようやく、はっきり言えた。 通話の向こうは、静かだ。 でも、その静けさの中に、たしかな熱がある気がした。
月城 レイ
やっと返ってきた声は、少しだけかすれていた。 ひかりは、スマートフォンを胸元に抱きしめる。
朝比奈 ひかり
短い返事しかできない。 でも、それで十分だった。 レイも、少しだけ息を吐く。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、息を止める。 何を話すのかは、まだ分からない。 でも、もう“好き”が消えることはない。
朝比奈 ひかり
小さく頷くと、レイが少しだけ笑った気配がした。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
今度は、はっきり聞こえた。 ひかりは、何も返せなかった。 でも、胸の奥がどうしようもなくあたたかい。
朝比奈 ひかり
それだけを、やっと絞り出す。 通話が切れる前に、レイがもう一度小さく笑った気がした。 そのあと、静かに通話は終わる。 ひかりは、スマートフォンを両手で抱えたまま、しばらく動けなかった。 好きだと言った。 言ってしまった。 そして、返ってきた。
もう、誤魔化せない。 けれど、怖くなかった。 むしろ、少しだけ嬉しかった。 ひかりは、ベッドの上に倒れ込みながら、顔を赤くしたまま小さく笑った。
朝比奈 ひかり
でも、その“ずるい”の中には、はっきりと甘さが混じっていた。
コメント
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やっば〜〜〜!!!第20話、もう甘すぎてしんどい😭💕💕 配信中に顔赤くなってるのバレるとことか、レイくんが「嬉しかった」ってさらっと言っちゃうとことか、全部エモすぎて叫んだわ!! 最後の「好きだよ」からの「私も」は完全に胸がきゅーってなったよ…ずるいよこの二人!! 次会ったときにちゃんと話すって約束も、もう尊すぎて泣く😢✨ 次話も絶対読みます!!ありがとうすがさん!!🌸