りうら
今日も魔法の授業あるね。
ほとけ
ねー。
初兎
今日は何やるんやろな。
りうら
魔法の練習?
ほとけ
えー、つまんな。もうちょっと面白い課題がいいよね。
初兎
せやな、普通に飽きたよな。
りうら
いや、確定って訳じゃないけどさ。
初兎
でも多分そう大したことやらへんならそんなとこやろ。
ほとけ
もうちょい派手にワーってやりたいよね。実践の戦闘とかいろいろさ。
りうら
わかる、そっちの方が楽しそうだよね。
りうら
あ、予鈴。
ほとけ
始まるね。
先生
静粛に!これから授業を始める!
初兎
うわ来たよ先生。
先生
うわとは何だうわとは!
先生
今日は基本の魔導具の扱いを実践する!
先生
勿論、この学園に入学できるだけの技量は持っているだろうが······
今回は、その1歩先に踏み込む!
初兎
1歩先?
りうら
レースでもすんの?
先生
その通り!障害物を避けながら箒でレースをする!最下位は腕立て伏せ100回!
ほとけ
えー、やだ!
りうら
要するに、勝てば良いってことだよ。
初兎
えー、めんどくさいなほんま。
りうら
ていうか障害物なんて何処にあんの?
先生
これからコースを作る!お前らはさっさと準備を進めろ!
ほとけ
コース?
りうら
障害物的な?
初兎
なるほどね。
先生が杖を振れば土が盛り上がり、木が生え、岩石が浮かび上がる。
りうら
先生も大概凄いよね。
初兎
そりゃそうやろ、魔法の教員免許とれんのAクラス以上の人やねんから。
ほとけ
障害物の規模でっか!
りうら
わー、ほんとだ。全部デカい。
初兎
あの岩ぶつかってもうたら相当な怪我せん?
りうら
よく考えたらそうじゃん。痛そー
ほとけ
とりあえず箒、用意しよ。
りうら
そうだね。······来い!
杖を一振りする。
そして、目の前に自分の箒が現れた。
ほとけ
初兎ちゃん、そういえばらびまるは?
初兎
あー、寮置いてきたわ。
りうら
ラビマル?
初兎
僕の使い魔。いつもは、制服のローブの内側におるんやけど、流石にな。
りうら
見たことない·····
初兎
呼べば来るで?呼ぶ?
りうら
うん!
初兎
らびまるー!
ぴょこっと何もない空間から現れたのは、小さな白兎だ。
大きく長い耳、頬のハートマーク。
どことなくしょにだに似ている。
初兎
らびまるや。
ほとけ
呼んで良かったの?これから箒乗るんだよ?
初兎
ん?転移魔法で元に戻すから大丈夫やで。
りうら
しょにだ、転移魔法得意なんだね。
初兎
そうやな。結構な頻度で使うから。
りうら
へー、すごい。
初兎
······んじゃ、帰らすか。らびまる、帰ってええよ。
ほとけ
初兎ちゃん、学園に来る前に箒乗るときにはいっつも一緒に乗せてたんだよ。
りうら
使い魔だもんね。でも白兎の使い魔は珍しい気がする。
初兎
そう?
りうら
だって使い魔と言えば黒猫が主流でしょ。
ほとけ
僕らにとっては兎の方が身近だったけど····
初兎
な、らびまるがおったもんな。
先生
始めるぞ!位置につけ!
先生
これから10人ごとにレースを行う!わかったらA組の出席番号10番まではスタートラインへ行け!
先生
魔法の仕様は自由、ただし限度は守ること!
ほとけ
りうちゃん、何番だっけ。
りうら
りうらは15番。
初兎
じゃ、次のレースやな。
A組の10番までの人が箒で勢いよく飛び立つ。
それにしても、思ったより低空飛行をしていた。
りうら
随分低空飛行だね。
ほとけ
拍子抜けだね。
初兎
そうやな。······所詮こんなもんかって感じや。
りうら
高空飛行は魔力消費が激しいからじゃない?
ほとけ
きっと魔力が持たないんでしょw
初兎
名門って聞いてたからどんなもんかて思うてたけど案外大したことなかったなw
りうら
そうだねw
ほとけ
あ、1着確定したよ。
1着の人は、今のところA組で上位の魔力量を持つと思われるガタイのいい男。
いずれにしろ順位はまとまっていて、そう大きな差はなかった。
初兎
次りうちゃんじゃあらへん?
りうら
あっ、そうだ。じゃ、行ってくるね。
全員がゴールしたところでスタートラインへ立つ。
自分の他には9人、なんとか最下位だけは防ぎたいが·····
何しろ他があの順位だ。
心配などほぼない。
先生
位置につけ!
先生
3、2、1·······スタート!
だが、いずれにしても障害物は比較的低い場所にしか設置はされていない。
なら、それより·····高いところへ行けば良いだけだ。
りうら
もっと·····もっと、高く。
障害物がないところまで、ずっと高いところまで上昇をしていく。
りうら
今だ!
障害物が無いところまで上昇したところで、一気に前進。加速する。
上昇してる間に何人にも抜かれていたが、その人達を一気に抜く。
7人ほど抜いたところでようやくトップまで躍り出た。
りうら
行けっ!
そのまま加速し、ゴールが見えたところで少しだけ高度を下げる。
高度を下げた分、スピードを底上げして勢いを保ったままゴールした。
他の人は、まだよく見えない。これが独走、というものなのだろうか。
先生
お前·····一体。
りうら
いやありうらがトップですね~
先生
お前は魔力量が多いな。だが、もう少し繊細な扱いを学んだ方がいい。
先生
今のように高度でごり押ししても悪くはないが、低空飛行で魔力消費を押さえつつ飛んだ方が効率が良いだろう。
りうら
はーい。
ほとけ
りうちゃん、魔力量多いね、なかなかあの高さまで行けなくない?
初兎
そうやな、僕も10mが限界や。
りうら
りうらは、魔力量多いけどどっちかっていうと繊細な技術に欠けるかなー
ほとけ
低空飛行の方が効率良いもんね。
りうら
それ先生にも言われた~
りうら
次2人じゃん、行ってきたら?
ほとけ
あっ、うん!
初兎
行くかー
2人は順番になったのでスタートラインへ向かっていった。
モブA
お、“りうら”ってお前か?
りうら
うん、そうだけど。
モブA
さっきのアレといい、この前の炎魔法といい、すげーなお前。
りうら
まぁね。
りうら
あれ、君は1組の1走で1位だった·····
モブA
ハリーだ。よろしく、りうら。
りうら
うん、よろしく。
ハリー
おー、B組のレース始まったな。
りうら
ほんとだ。
ハリー
1位は·····水色の奴だな、2位が僅差で白い奴だ。
りうら
おー、ほとけとしょにだじゃん。
ハリー
ほとけ···しょにだ····知り合いか?
りうら
うん、同じ班。
ハリー
お前、17班だっけ?17班レベチじゃねぇか。
りうら
だよね、りうらも思う。2年の先輩も、学力と魔法の学年1位だし。
ハリー
あー、もしかしてIf先輩?
ハリー
If先輩は···なんというか、やべぇよ。
りうら
ヤバい?
ハリー
あの先輩は、去年に乱闘起こして相手を退学処分にして···
去年の体育祭で、3年の先輩を追い越してノックアウトにした人数····58人。
ハリー
1人だけで、1学年分の人数潰してることになる。
りうら
まろが····?
りうら
うっそぉ·····
ハリー
気を付けろよ?
りうら
まろは······俺らには何もしないと思うし、理由なしにそんなことしないよ。
りうら
そりゃちょっとサイコパスだけどさ···
ハリー
大丈夫なら良いんだ。
·····あ、ちょっと呼ばれてる。じゃ、またな!
ハリーというその人は、それだけ言って行ってしまった。
ほとけ
りうちゃんただいまー
初兎
どうやった?俺ら。
りうら
········あ、ごめん。そんな見てなかった。
ほとけ
えー?因みに、僕達同率1位!最初は初兎ちゃんに勝ってたんだけどさ····
初兎
バーカ僕は計算した上であえて後ろを行ってたんだよ!
ほとけ
嘘つけー!
If。
2年生ながら、3年に劣らぬ実力を持つ魔法使い。
·····あの人は、何者なんだろう。